「脱退一時金」とは?支給要件や計算の仕方・退職金との違いも

「脱退一時金」とは、「外国籍の人が年金から脱退して支給されるお金」なのですが、国民年金と厚生年金の脱退一時金では支給要件や支給額の計算方法が違います。

この記事では、「脱退一時金」の意味や支給要件、支給額の計算の仕方のほかに、「退職金」との違いや確定申告の有無なども解説します。

「脱退一時金」とは何か?

「脱退一時金」とは、外国籍の人が年金から脱退して支給されるお金

「脱退一時金」とは、外国籍の人が年金から脱退して支給されるお金です。公的年金である国民年金または厚生年金から、国外に出国することで国民年金を受け取れない状況になった時、または厚生年金の被保険者としての資格を失くしたときに、脱退一時金は支給されます。

脱退一時金の請求期限は日本の住所がなくなった日から2年以内

「脱退一時金」は、脱退一時金を支給してもらえるように請求しなくてはいけません。請求できる期限は、日本の住所がなくなった日から2年以内になります。

脱退一時金の請求方法と必要書類

脱退一時金を請求するためには、日本年金機構のホームページから脱退一時金請求書をダウンロードして記入します。そのほかの必要書類には、パスポートの写しや住民票の除票の写し、さらに所有する銀行口座の口座情報、国民年金手帳などがあります。

請求書類の提出先は、国民年金か厚生年金に加入していた場合には日本年金機構に、それ以外の年金などに加入していた場合には各共済組合も提出先になりますので、勤務していた会社で確認しましょう。

脱退一時金をもらえる支給要件とは?

国民年金の脱退一時金の支給要件

国民年金の脱退一時金の条件とは、次の通りです。

  • 日本国籍を持っていないこと
  • 国民年金か厚生年金の被保険者ではないこと
  • 国民年金の保険料として6ヶ月以上、納付したこと
  • 日本国内に住所がないこと
  • 公的年金から脱退してから2年以上経っていないこと

厚生年金の脱退一時金の支給要件

厚生年金の脱退一時金の条件とは、次の通りです。

  • 日本国籍を持っていないこと
  • 国民年金か厚生年金の被保険者ではないこと
  • 厚生年金の加入期間が6ヶ月以上
  • 老齢年金の受給資格期間を満たしていないこと
  • 日本国内に住所がないこと
  • 公的年金から脱退してから2年以上経っていないこと

脱退一時金はいくらもらえる?

国民年金の脱退一時金の計算式

国民年金から受け取れる脱退一時金は、保険料を納付した期間によって変わります。

脱退一時金の支給額の計算式

最後に納付した月の保険料額×1/2×支給額計算に用いる数

支給額計算に用いる数は、保険料の納付期間が12ヶ月未満だと「6」ですが、それ以降は、月数に応じて、支給額計算の数は増えていきます。

保険料納付期間と支給額計算に用いる数

保険料納付期間

支給額計算に用いる数

12ヶ月~17ヶ月12
18ヶ月~23ヶ月18
24ヶ月~29ヶ月24

厚生年金の脱退一時金の計算式

厚生年金から受け取れる脱退一時金の計算式は、次のようになります。

脱退一時金の支給額の計算式

厚生年金に加入していたときの平均標準報酬額×1/2×支給率

支給率は、保険料の納付期間が12ヶ月未満だと「6」ですが、それ以降は、月数に応じて、支給額計算の数は増えていきます。

最終月が2022年4月以降の支給率は下記の表をご参照ください。

保険料納付期間と支給率

保険料納付期間

支給率

12ヶ月~17ヶ月

12
18ヶ月~23ヶ月18
24ヶ月~29ヶ月24

「脱退一時金」と「退職金」との違い

脱退一時金は外国籍の人しか受け取れない

脱退一時金と退職金のどちらも退職をすることにより受け取るお金ですが、脱退一時金は外国籍の人しか受け取れないという大きな違いがあります。脱退一時金は企業年金制度から脱退した人で、外国籍を持ち国外に転出される人が申請をして受け取ることができるお金です。一方、「退職金」は、勤めていた企業を退職することで受け取れるお金で、国籍はかんけいありません。

「退職金」とは「退職したときにもらえる一時金」

「退職金」とは「退職したときにもらえる一時金」です。ただし、退職金制度を導入している企業に勤めていれば、退職時にもらえるお金です。退職金制度を導入していない企業もありますし、また、退職金として受け取れる金額も企業によって違います

「脱退一時金」と「税金」の関係

厚生年金の脱退一時金には所得税が課せられる

脱退一時金でも、国民年金の脱退一時金は課税対象になりませんが、厚生年金の脱退一時金には所得税が課せられています。脱退一時金の支給の際に20.42%の税金が源泉徴収されています。

厚生年金の脱退一時金は確定申告により還付を受けられる

課税されている厚生年金の脱退一時金は、確定申告により還付を受けられます。ただし、還付申告ができるのは、脱退一時金を受け取った次の年から5年間で、日本国内に銀行口座を持っている場合に限られます。

国内に銀行口座を持っていない場合には、国外に転出する前に納税管理人を指定して税務署に申告しておきます。還付の際には、納税管理人を通して還付金を受け取れます。

まとめ

脱退一時金とは外国籍の人で国民年金か厚生年金から脱退したときに受け取れるお金です。6ヶ月以上の保険料の納付や、国外に転出することなどが条件として挙げられていて、申請手続きも行わなくてはいけません。厚生年金の脱退一時金は所得税が課せられていますが、確定申告をすることで還付金を受け取れます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。