個人事業主の所得税の納め方は?計算方法から節税対策まで

会社に勤めている人は所得税などの税金を会社が計算して納税してくれますが、個人事業主として仕事をしていると自分で計算や納税を行わなければなりません。納めることを忘れていたり、方法が間違っていたりすると後々トラブルになりかねません。正しい計算方法や納め方をしっかりチェックしておきましょう。

個人事業主の税金の納め方と種類

個人事業主の所得税などの納め方

所得税は国税にあたります。また、個人事業者に係る消費税は通知がありませんので、自ら納付しに行かなければなりません。

所得税の納め方としては、税務署に出向いて納付書に現金を添える方法か、金融機関に行って納付するか、ネットバンキングを通じて電子納税する方法があります。

住民税と個人事業税は、地方税にあたり、確定申告をしっかり行っていれば問題ありません。税務署に所得に関する正しい情報が届いていれば、現在住んでいる地方自治体に連絡がいくようになっています。そこから個人事業主のもとに住民税と個人事業税の納税通知が地方自治体から届くことになります。

個人事業主の税金は所得税や住民税など4種類

個人事業主が納める税金は4種類です。多くの人にとってなじみの深い消費税と所得税は国に納める国税になります。残りの2つにあたる住民税と個人事業税は、地方税になります。厳密には消費税の一部は地方税です。

所得税はいついくら納付するのか?

納付期限は確定申告期限日

所得税の納付期限は確定申告期限日までとなっています。その年によって若干前後しますが、例年3月中旬頃が期限日となっているようです。ただし銀行振替による納税の場合は、4月中旬頃に振替が行われます。銀行振替を利用したい場合は事前に税務署へ書類を提出する必要があります。

納付金額の計算方法

所得税として一体いくらを納めれば良いのでしょうか?所得税の計算方法を紹介します。

所得税の計算式

収入 − 必要経費 – 所得控除-青色申告特別控除 = 課税所得金額

課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 = 所得税額

1年間で得られた収入から、事業に必要な家賃や設備費などの経費と医療費控除や扶養控除などを含む所得控除と青色申告特別控除を差し引いた金額が課税所得金額です。これに課税所得金額に応じて算出される税率をかけます。

この税率は所得金額が大きければ税率も大きくなるという累進税率になっており、5%から45%のいずれかの段階が適用されます。課税所得金額に税率をかけた金額から、さらに住宅ローン減税などの税額控除が引かれた額が所得税になります。

所得税0円の場合と予定納税

所得税0円でも住民税に注意

所得税は1年間の収入が少なかった場合や控除額が多かった場合など0円になることがあります。所得税0円になったからといって、住民税まで0円になるとは限りません。これは住民税の計算が間違っているのではなく、それぞれで受けることができる所得控除が異なるためです。

特に扶養控除や配偶者控除など、人に関する控除が多くなるほど所得税と住民税の所得控除の額に差が大きく出ます。人に関する控除によって所得税が0円になっている年の住民税には注意しましょう。

所得税は予定納税になる場合がある

5月中旬の段階で、前年分の税額などを元に計算した予定納税基準額15万円を超えているとされた場合、その年の所得税の一部を予定納税としてあらかじめ納付することができます。具体的には前年の申告納税額の3分の1の額を、7月と11月中にそれぞれ納付することができます。

予定納税を延滞すると延滞税が発生

予定納税は税務署長から前払いするようにと通知が届くものです。期限内に納めないと延滞税が加算されてしまうので注意が必要です。2か月未満の延滞であれば、2018年の延滞税は2.6%となっていますが、2か月を超えると8.9%と割合が高くなります。

予定納税を納めた後で急激に業績が悪化するなどして納めた金額より実際の納税額が低くなった場合、払い戻ししてもらえます。この時、還付加算金と呼ばれる利息をつけて返してくれます。2018年の利率は1.6%となっています。

所得税の節税対策

青色申告を行う

青色申告者には青色申告特別控除という特典が適用されます。この控除額は65万円と10万円の2種類があり、65万円の控除を受けるためにはいくつか条件を満たしている必要があります。正規の簿記である複式簿記で記帳をしていることや、事業所得を得る事業を営んでいること、法定申告期限内に確定申告の必要書類を提出することが条件となっています。

必要経費を増やす

所得から差し引かれる必要経費が多くなれば、所得税の額も少なくなります。必要経費として月額掛金を納めて解約時に掛けた金額が戻ってくるセーフティ共済に加入するという方法があります。これは本来、取引先が倒産してしまった場合に、迅速に融資を受けるためのものですが、個人事業主や中小企業ができる節税対策として有効です。

所得控除を増やす

所得税の計算の時に収入から差し引かれる所得控除を増やす方法もあります。個人型確定拠出年金や小規模企業共済の掛け金は全額所得控除ができます。また、生命保険や介護医療保険、個人年金に加入すると、それぞれ最高4万円まで控除を受けることができます。

まとめ

個人事業主の所得税について紹介してきました。正しく理解して納税することで、トラブルを防ぐこともできますし、節税対策も適切に行うことができるようになります。納税期限ギリギリの納税にならないよう、余裕を持って行動できるよう心がけましょう。