ビジネスシーンでは取引先やお客様を呼び出す場面があります。相手に来てもらうお願いをするときや、来てもらったお礼を伝える際には、メールや電話を利用して「ご来訪」を適切に使いましょう。今回は「ご来訪」の使い方と注意点、類語での使い分けや「来訪者別お礼メールの送り方」まで幅広く解説します。
「ご来訪」の正しい意味
ご来訪は「相手にきてもらう」こと
「ご来訪」とは、「相手に来てもらう」という意味です。「ご来訪」は一見「自分の会社や家に来てもらう」という認識をもつ人が多いですが、喫茶店や駅前などの待ち合わせを始め、何処に来てもらう場合でも「相手に来てもらう」ことを総称して「来訪」と表現できます。
「ご来訪」の類語と反対語
来訪に似た表現方法として、「所」が付く場所の場合は「ご来所」、「園」が付く場所の場合は「ご来園」などさまざまな類語があります。ビジネスでよく使う類語を紹介していきます。
ご来訪の類語は「ご来社」「ご来所」など
相手に来てもらうことを総称して「ご来訪」といえますが、場面によっては類語を使い分けられるようにしておきましょう。来訪してもらう場所によってさまざまで、会社では「ご来社」、事務所では「ご来所」、店では「ご来店」、会場では「ご来場」、学校では「ご来校」、家では「ご来宅」が適切なワードです。
ご来訪より強い敬意を込めた表現も
ご来訪だけでも敬語ではありますが、さらに敬意を込めた表現も可能です。「ご来駕(ごらいが)」は来訪よりも敬意を込められており、「ご尊来(ごそんらい)」は来訪より少し堅い敬語の表現で「‐賜りますように」などを続けると良いでしょう。他にも「ご光臨(ごこうりん)」という、より強い敬意を込めた表現には「‐の栄を賜わり」などを続けて使います。
ご来駕・ご尊来・ご光臨は敬意を強く込めた表現のため、一般的な来店などで使うには少し大げさな言葉ですが、この3語は来訪頂いたお礼状などに使うとより適切です。相手との関係性や場所などに応じて、上手に使い分けましょう。
ご来訪の反対語は「ご訪問」
先述のように、「来訪」は「相手の行動」に対する表現で、自分が行く場合では間違えた表現になります。自分が行くときは「ご訪問」で、来訪とは反対語だということを頭に入れておきましょう。また、他にも「伺う」や「参る」が適切な表現です。
「ご来訪のお願い」をする場合の使い方
来訪依頼に限らず、社会人には「来る」や「行く」を使うケースが多くあります。「来てください」という言い回しを他の敬語に変える方法を覚えておくと、さまざまな場面で役に立ちます。
「ご来訪」のメールでの使い方
取引相手などへメールで来訪依頼を送る場合、スケジュールの提示は依頼側から先に提示するのがマナーです。最低でも3つほど来訪希望する日時を箇条書きで記載しておきましょう。先方のスケジュール調整や返信のしやすさにも気を遣い、候補日は少なくても3日程度は挙げる配慮が大切です。
ご来訪くださいの言い回し例
取引をする上で、たとえ相手が目下の立場にあたる人でも「依頼する立場」として丁寧な言い回しを覚え、以下の敬語表現などを使ってお願いしましょう。また、相手への配慮も欠かさず、「大変恐縮ですが」「お手数をおかけして申し訳ございませんが」などのクッション言葉を先に明記しておくと、より丁寧な言い回しが可能です。
では実際に来訪を依頼するときのメール例文を紹介します。来訪依頼メールを作成するときの参考にしてみてください。 件名:○○(打ち合わせ など)日程のご相談【株式会社〇〇】 株式会社□□□□ 平素よりお世話になっております。 本日は○○に関するお打ち合わせをお願いしたく、ご連絡させていただきました。 誠に勝手ではございますが、この度のお打ち合わせでは、●●までお越し願いたく存じます。 お打ち合わせが可能な日時を下記に記載致します。 【お打ち合わせ日時候補】 お手数をおかけいたしますが、△△様のご都合の宜しい日時をご連絡いただけませんでしょうか。 ご多忙のところ大変恐縮ですが、□月□日(○)までにご連絡いただけますと幸いです。 ご確認のほど宜しくお願い申し上げます。 =============== 来訪依頼を出すときは、メールと電話のどちらで行うと良いのでしょうか。どちらもメリットとデメリットがあるので、参考にしてみてください。 ■メリット ■デメリット ■メリット メールと電話でどちらが良いかはケースバイケースですが、基本的にはメールを使用し、場合によっては電話も併用すると良いでしょう。 面談の日程が調整完了したときや相手が見えたときなど、ご来訪を使う適切なタイミングや言い回しを始め、組み合わせて使うことの多い「ご足労」の使い方もマスターしましょう。 一般的に「ご来訪」の後に続く表現として使えるものは、「‐いただく」「‐くださる」「‐になる」があげられます。「ご…いただく」などは適切な敬語のパターンのため、二重敬語になる?と心配する必要はありません。ただし「‐される」では二重敬語になるので「‐になる」と表現するようにしましょう。 「‐お待ちしております」…来訪依頼の最後など、来訪頂くに日時調整が完了したとき 「ご足労」はビジネスの場面で使いやすいクッション言葉で、来訪の依頼メールを送るときの文末に「ご足労をおかけし大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします」などとセットにして使う人も少なくはありません。ここで注意したいのが「ご足労」の正しい意味を知ることで、ご足労とは「わざわざお越しいただいた」という「事後」に関する感謝を表現した言葉のため、来訪依頼の段階で使用することは不自然なビジネス敬語になります。 「ご足労」は来てもらう前を含め、さまざまなシチュエーションで使えますが、来訪後に使うことが最適の表現です。実際に来訪いただいたときや来訪後のお礼メールなどで「ご足労いただきありがとうございます。」や「ご足労をおかけして申し訳ございませんでした」と使いましょう。「ご足労」は目下の人に対して使う言葉でもあるため、取引相手には「お気をつけてお越し下さい」などの表現がおすすめです。 また、「ご足労」を使用するときに「強要する」ような表現方法は間違いです。「弊社までご足労ください」「ご足労のほど、よろしくお願いします」といった使い方は失礼にあたるので注意が必要です。ご足労には「いただく」または「おかけする」などの表現を組み合わせるように心がけましょう。 面談後、来てもらった相手に対してお礼のメールを送るのがマナーです。来訪のお礼メールを送る時に確認しておきたいポイントを紹介します。 来訪してもらうということは、相手に移動の時間を費やしてもらうということです。取引先やお客さまなど大切な人に来訪してもらった時には、お礼は当日中に伝えるのがマナーです。お礼メールの表現方法ももちろん大切ですが、誠実な気持ちを伝えるにはタイミングも重要だと心得ることも大切です。 お礼メールを送る目的は、忙しい中で時間を割いてもらい、来てもらったことへの感謝の気持ちを伝えること。お礼メールでの商品PRや宣伝などは極力控えるのが礼儀です。業務上で連絡しなければならない事がある場合は、「ご来訪いただいたお礼/契約商品データの添付」などと一目でわかる件名を設定し、メール本文では簡潔にまとめるようにしましょう。 ここまで説明したチェックポイントをもとに、お礼メールの文例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。 株式会社□□□□ 平素よりお世話になっております。 本日はお忙しい中、ご来訪頂きありがとうございました。 ※略(ここでは会話の内容などを振り返り、相手の人柄や考え方、体調などにも触れるようにすると尚良し) お打ち合わせさせて頂いた件は内容をまとめ、後日メールでお送りさせていただきます。 何卒、今後ともご指導ご支援の程よろしくお願い致します。 =============== 株式会社□□□□ 平素より大変お世話になっております。 本日はお忙しいにもかかわらずご来訪頂き、誠にありがとうございました。 ※略(ここでは会話の内容などを振り返り、相手の人柄や考え方、体調などにも触れるようにすると尚良し) △△様にご提案頂いた内容は、弊社で慎重に検討させていただき、○月○日(○)迄にはご回答申しあげます。 引き続きご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。 =============== △△ △△ 様 平素よりお世話になっております。 この度はお忙しい中、お越しくださりありがとうございました。 ※略(ここでは会話の内容などを振り返り、相手の人柄や考え方、体調などにも触れるようにすると尚良し) ご案内致しました弊社商品「○○」をご検討いただけましたら幸いです。 ご質問やご不明点など御座いましたら、お気軽にご相談くださいませ。 今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。 =============== 来訪のお礼メールを送る前に、来訪者から先にお礼メールが来ることもあります。同じ要件のメールを行う場合は、件名に「Re:」を残してそのまま返信するようにしましょう。「件名:こちらこそありがとうございました」などに変更する必要はありません。 ビジネスメールでは宛名の後に挨拶文「お世話になっております」で書き出すのが基本です。その後はお礼メールをくれた先方に対する気遣いへの感謝や、「ご足労」または「お越しいただき」などを用いて来てもらったことへの感謝の意を伝えます。次回のスケジュールが決定している場合は確認の意味も込めて、末尾へ簡潔な箇条書き程度に記載しておきましょう。 株式会社□□□□ お世話になっております。 本日はお忙しいにもかかわらずご来訪頂き、誠にありがとうございます。 また、ご丁寧なメールまで頂戴し、本来でしたらこちらからお礼のご連絡を差し上げるべきところ、誠に恐れ入ります。 ※略(会話の内容などを振り返り、相手の人柄や考え方、体調などにも触れるようにすると尚良し) 次回の日程ですが、予定通り下記日時で宜しくお願いいたします。 日程:□月□日(○)△時~ 取り急ぎ、ご面談とご来訪のお礼を申し上げます。 =============== 取引先やお客様などに関わらず、相手にきてもらう「ご来訪」ですが、基本的に立場が上の人が呼び出す側になります。しかし、配慮の欠けた来訪依頼は、立場がどうであれ失礼にあたります。「相手が時間を費やして来てくれる」という意識をもち、丁寧な対応を心がけましょう。来訪依頼をメールでする場合の例文
××部 △△ △△ 様
(初めての場合:突然のご連絡、大変失礼致します)
(久しぶりの場合:大変ご無沙汰しております)
株式会社○○、□□部の社会 太郎です。
・□月□日(○)△~▽時
・□月□日(○)△時
・□月□日(○)終日可能
※ご面談時間は△時間を予定しております。
いずれの日程もご都合の悪いときには、ご遠慮なくお知らせくださいませ。
株式会社〇〇
□□部 社会 太郎(シャカイ タロウ)
〒XXX-XXXX
▽▽県▽▽市▽▽▽1-2-3
電話:
FAX:
E-mail:
(この項目は以下の文例では「署名」と記載します)
===============来訪依頼はメールと電話、どちらがいい?
■デメリット「ご来訪」を使う際の注意点
「ご来訪される」は二重敬語にあたる
「‐お待ちしておりました」…来訪頂いたときの挨拶として感謝の気持ちと共に
「‐ください」「‐くださいまうようお願い致します」…来訪をお願いするとき
「○○様が‐になりました」…予定していた来訪者が到着したとき「ご足労」の間違えた使い方に注意
ご足労は「事後」の表現
ご来訪頂いた相手へのお礼メールの書き方
ご来訪頂いた場合には「その日のうちに」お礼メールを送る
ご来訪頂いた場合には「ありがとうの気持ち」を率直に伝える
ご来訪に対するお礼のメール(例文)
××部 △△ △△ 様
株式会社○○、□□部の社会 太郎です。
署名
===============
××部 △△ △△ 様
株式会社○○、□□部の社会 太郎です。
署名
===============
株式会社○○、□□部の社会 太郎です。
署名
===============来訪者から先にお礼メールがきた場合の返信方法
来訪者から先にお礼メールがきた場合の返信例
××部 △△ △△ 様
株式会社○○、□□部の社会 太郎です。
場所:●●
署名
===============まとめ