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個人事業主に開業届の提出は必要?出さないとどうなる?

起業やフリーランスなど、個人事業主になるときに気になるのが、「開業届」の提出です。提出が必要なのか、どのタイミングで出せばよいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。今回は、個人事業主は開業届の提出が必要なのか、提出した場合のメリットや開業届を出さないとどうなるのかなどを解説します。

個人事業主に開業届の提出は必要?

個人事業主は、”開業届の提出が必要”

個人事業主は、開業届の提出が必要です。所得税法では、事業所得を生ずべき事業を開始した場合、開業届を1ヶ月以内に管轄する税務署に提出しなければならないとされています。つまり、法律では提出しなければならないとされています。

開業届を出さないと罰則はないがメリットもない

開業届を出さない場合でも、罰則はありません。実際に、開業届を出さなくても、確定申告をして売上を申告し、税金を支払っている人はいます。開業しているという届出を提出せずに、事業で得た収入を申告できるというのも不思議ですが、手続きに支障はありません。

しかし、開業届を出すメリットを得られないため、提出はしておいたほうがよいでしょう。

開業届を出すメリットとは?

メリット①青色申告ができるので節税効果がある人も

事業で売上があれば、確定申告をしなければなりません。確定申告には、簡単にできる「白色申告」と、簿記のルールで帳簿をつけるとできる「青色申告」があります。「青色申告」をすると、「所得」から65万円引いた額に税金がかかるので、税金が安くなることがあります。

「青色申告」をするためには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。「青色申告承認申請書」を提出するためには、「開業届」の提出が必要です。つまり、「開業届」を提出することで「青色申告」ができるようになり、節税効果があります。

メリット②屋号の銀行口座を作ることができる

事業を始めるときに、「屋号」をつけることができます。「屋号」とは、個人事業主にとっての会社名のようなものです。「株式会社」など「会社」という単語は使えませんが、店舗名などを「屋号」として使うことができます。

銀行で手続きをすれば、事業で使う銀行口座の名前に「屋号」をつけることができます。銀行によって必要書類は異なりますが、基本的に「開業届」の控えを提出する必要があります。つまり、開業届を提出しなければ、「屋号」のついた銀行口座をつくることはできません。

メリット③職業を証明するときに使えることもある

高額な買い物など、何か手続きをする際に、職業を証明しなければならないことがあります。会社員の場合は社員証や、会社で在職証明書を発行してもらいますが、個人事業主の場合は、「開業届」の控えを提出するように言われることがあります。書類を求める相手にもよりますが、「開業届」は職業を証明する書類になることもあります。

開業届を出すデメリットとは?

デメリット①失業手当がもらえなくなることも

失業手当とは、「失業」している状態の人がもらえる手当です。「開業届」を提出するということは、仕事があるとみなされますので、「失業している」とは言えず、失業手当がもらえなくなることが多いです。

デメリット②扶養に入れないことがある

夫の扶養に入っている妻が起業する場合などは、夫の扶養から抜けなければならないこともあります。夫が加入している「健康保険組合」の決まりによりますので、事前に確認しておきましょう。

妻が自営業の場合は、「年収が一定額を超えていなければ扶養に入れる」ところと、「自営業として起業した時点で扶養に入れない」ところがあります。扶養に入れる条件を確認してください。

デメリット③支払う税金が増えることはない

開業届を出すことによって、支払う税金が増えるというデメリットが挙げられることがあります。しかし、税金が増えることはありません。開業届の提出にかかわらず、収入があれば税金を支払わなければならず、払わなければ「脱税」です。

「脱税」は、開業届の有無でバレたり、バレなかったりするものではありませんので、手続きは正しく行いましょう。

開業届はいつまでに提出?

開業日から1ヶ月以内に管轄の税務署へ

開業届の提出は、「開業日」から1ヶ月以内に事務所のある管轄の税務署へ提出します。開業届は提出していなくても、提出が遅れても、罰則がありません。すでに1ヶ月以上経過している方は、早めに提出しにいきましょう。

開業日は心に決めたタイミングでいい

「開業日」は、どのタイミングなのか迷う人も多いです。法的に決まっているルールがなく、「今日を開業日にする」と決めた日が開業日です。

初めて収入があった日を開業日とする人もいますし、事業を始めようと初めて経費を支払った日や、名刺が完成した日を開業日にする人もいます。開業すると心に決めて準備を始めた日でも問題ありません。本人が「開業した」と考える日が「開業日」です。

個人事業主の開業届の書き方とは?

開業届はダウンロードできる

開業届は国税庁のホームページからダウンロードできます。「開業届」の正式名称は「個人事業主の開業・廃業等届出書」です。A4用紙1枚ですので記入欄も多くありません。印刷して記入し、郵送で提出ができます。

自宅で印刷できない方は、最寄りの税務署に行けば、用紙がおいてあります。印鑑や身分証を持参すれば、その場で手続きが可能です。

開業届の書き方

開業届には、以下の項目があります。それぞれ紹介します。

  • 税務署長
    左上に下線と税務署長と書かれているスペースがあります。この下線の上には、管轄の税務署名が入ります。渋谷税務署が管轄であれば「渋谷」と記入します。
  • 提出日
    税務署長の欄の下に、「提出」と書かれた日付の記入欄があります。提出する日を記入しましょう。郵送の場合は、ポストに投函する日を記入します。
  • 納税地
    基本的には、自宅の住所です。自宅以外に事務所や店舗がある方は、事務所や店舗の住所を納税地にしてもよいですが、その場合には、納税地の下に自宅の住所も記入しましょう。
  • 名前・生年月日・個人番号
    個人情報です。名前と生年月日、個人番号を記入しましょう。名前の欄には押印も必要です。
  • 職業
    事業として行う仕事を簡単に記載しましょう。例えば、デザイナー、コンサルタント、飲食業などです。複数の事業がある場合は、複数書いても問題ありません。
  • 屋号
    店舗名など、屋号を設定する場合は、記載しましょう。屋号を設定しない方は記入しなくても提出できます。
  • 届出の区分
    左上の「開業」に丸をつけましょう。
  • 所得の種類
    事業所得に丸をつけます。
  • 開業・廃業等日
    自分で決めた「開業日」を記入しましょう。
  • 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
    「青色申告承認申請書」を一緒に提出する方は、1段目の「有」に丸をつけます。無い方は「無」に丸をつけましょう。消費税に関する「課税事業者選択届出書」を提出する方がいれば、2段目も「有」に丸をつけます。「課税事業者選択届出書」は、消費税を免税から課税に変えたい方が提出する書類です。起業直後の消費税は免税ですので、基本的には「無」に丸をつけます。
  • 事業の概要
    仕事内容を具体的に記載します。「ホームページのデザイン」「ラーメン屋の経営」など、短くまとまっていても問題ありません。

まとめ

個人事業主の開業届は、提出する決まりになっていますので、開業後1ヶ月以内に提出しましょう。手軽に書ける様式ですし、節税などのメリットもあります。自宅でダウンロードし、郵送で提出ができますので、本記事を参考に提出してみてはいかがでしょうか。