手紙やメールを書いていて相手の学校のことを、どのように呼べばいいのか迷ったことはありませんか。
「貴校」なのか、それとも「貴学」なのか。今後、迷ったりしないように「貴学」の意味と正しい使い方をご紹介します。また「貴学」の似た言葉「貴校」「御校」との違いなども解説します。
「貴学」とは?
「貴学」の意味は「相手の学校」特に「大学」のこと
「貴学」の意味は、“相手の学校”です。特に「大学」のことです。「あなたの大学」という意味の尊敬表現なので、相手の大学にたいして敬った表現をするときに「貴学」を使います。
「貴学」は口語よりも、手紙やメールなどの書き言葉として使われます。また「貴学」の別の言い方には、「貴大学」や「御大学」があります。
読みは「きがく」
「貴学」の読み方は”きがく”です。
大学院も「貴学」を使う
また大学院は「学院」とついているので「貴学院」(きがくいん)と言いそうになりますが、これは間違いです。なぜなら「大学院」は大学に付属した研究機関だからです。大学院には「貴学」を使います。
「貴学」の正しい使い方とは?
「貴学」は書類や手紙などの書き言葉に使う
「貴学」は話し言葉としても使えるのですが、慣習的には書き言葉として使われています。
メールや手紙で、相手の大学の敬称として「貴学」が用いられます。大学への応募書類や志望理由を書くとき、または大学へ電報などを贈るときなどには、ぜひ「貴学」を活用しましょう。
例文
- 「私の父は貴学を卒業しています」
- 「○○の理由で、貴学に入学を希望しています。お手数ですが、入学書類を郵送していただけないでしょうか」
面接や電話の話し言葉には「御大学」を使う
話し言葉には「御大学」(おんだいがく)を使うのがいいでしょう。これは「御大学」と言ったほうが相手にとって聞き取りやすくなるためです。面接や電話などで相手の大学の関係者と話をするときに使われます。
例文:
- 「御大学の入学条件は何でしょうか」
- 「御大学には大変お世話になりました」
学部や学科にも「貴」を使える
貴学とは大学のことですが、大学の学部や学科についても「貴」を使うことができます。学部なら「貴学部」(きがくぶ)、学科なら「貴学科」(きがっか)という言い方をします。
ただし「貴学貴学部貴学科」のように使うとしつこいですから、「貴学における貴学部では…」といったように離して使うか、「貴学の経済学部に…」と多用を避けた書き方もできます。
「貴学」の類義語とは?
「貴学」と「貴校」の違いは「大学か、それ以外の学校か」
「貴学」と「貴校」(きこう)は大学か、そうではない他の学校で使い分けされます。
大学には「貴学」、大学以外の小学校、中学校、高等学校、専門学校など「校」のつく名称に対して「貴校」が使われるのが一般的な使い分け方です。
ただし大学のことを「貴校」と呼んでも間違いではありません。相手の学校に対して敬った敬称が「貴校」です。大学も学校のひとつですから、「貴校」と呼ぶことができます。
「御大学」は「貴学」の同義語
すでに紹介した「御大学」(おんだいがく)の意味は「貴学」と同じく「あなたの大学」という意味です。「貴学」と違い「御大学」は書き言葉としてだけでなく、話し言葉にも適しています。
「御学」は一般的な用語ではない
「御大学」を略した「御学」(おんがく)という表現を耳にすることもありますが、一般的な用語ではありません。そのため「御学」より「御大学」を使った方がいいでしょう。
「御校」は同義語だが話し言葉として活用
相手の学校、相手が属する学校のことを敬って「御校」(おんこう)と呼びます。小学校から高等学校、専門学校など様々な種類の学校が対象で、大学もそのうちのひとつに入ります。
「御校」をはじめとする「御社」(おんしゃ)など「御」のつく敬称は、書き言葉としてでなく口語としても活用されています。
相手の学校のことが話題に出たときは、貴校や貴学ではなく「御校」を使うようにしましょう。
自分の大学は「本学」「本大学」「当大学」
また自分の大学のことは、「本学」(ほんがく)「本大学」(ほんだいがく)そして「当大学」(とうだいがく)を使います。「本」は自分の側に属していると意味の接頭語です。「本日」や「本校」などと使われます。
「当」は接頭語ではないのですが、名詞の前に冠して「その」や「この」「今の」という意味を表します。「当社」や「当人」のように使われます。
「本校」は学校関係者の使う言葉
自分の大学という意味で「本校」(ほんこう)も使うことができますが、一般的には「本校」は学校関係者が使う言葉です。
大学の学生が自分の大学について言うのなら、「私の大学」や「わが大学」、またはすでにご紹介した「当大学」などが適しています。
「貴学」の英語表現とは?
「貴学」の英語表現は「your university」
尊敬語のない英語では、「貴学」は「your university」(和訳:あなたの大学)です。「当大学」なら「my university」です。
相手を敬った表現にしたいのならば、文章全体で敬意を表すようにします。動詞の前に「would」や「could」を多用して、省略的な表現を避けることで相手に尊敬の念を表します。
例文:
“I would like to enroll in your university.”
「私は貴校に入学したいです」
“Could you invite me to the next seminar at your university?”
「貴校で開催されるセミナーに招待していただけませんか」
“Could you tell me when the date of the entrance examination at your university is?”
「貴校の入学試験の日程を教えていただけませんか」
まとめ
相手の学校を敬った言い方をするときに使う「貴学」は、主に大学に対して使われます。一方「貴校」はどの学校に対しても使える言葉なので重宝するでしょう。また自分の大学を指すときは「本学」や「当大学」を使うようにします。