「返答」をメールで使うには?敬語の使い方や返事の書き方も解説

ビジネスメールで「返答をお願いいたします」と相手に依頼したり、自分が返信する場合は「返答いたします」と書いたりする場面が多いでしょう。「返答」は頻繁に使用しますが、敬語表現の正しい使い方や「返事」との使い分けについて、曖昧かもしれません。「返答」という言葉の使い方について解説します。

「返答」の意味と敬語としての使い方

意味は「質問などに対して、こちらから答えを相手に伝えること」

「返答」の意味は、「相手からの質問・依頼・要求などに対して、こちらからその答えを相手に伝えること」です。「返答に窮する」「メールで返答する」などと用います。また、「返答」は「主に口頭で伝えること」と辞書に記載されていることが多いのですが、「返事」が「口頭または文書での回答」を意味することに対比しての説明の意味合いが大きいと思われるため、メールや書面など口頭でない場合でも「返答」を用いるのに問題はありません。「返事」との使い分けについては、後述します。

「相手に返答を求める場合」は敬語表現を使う

ビジネスの取引先や目上の人に対してなんらかの答えを求めたい場合は敬語表現を用います。「ご返答をお願いいたします」とお願い表現にすることが一般的です。あるいは、「待つ」の謙譲語「お待ちする」を添えて「ご返答をお待ちしております」もよく使われます。いずれも「返答」には必ず「ご」をつけて丁寧語にします。さらに「ご返答お願いいたします」ではなく、「ご返答を」というように間に「を」を入れると丁寧な印象になります。

また、相手からの返答をもらいたいのだが、こちらが何らかの状況により弱い立場にあるなど、より丁寧な表現が必要な場合もあるでしょう。そのような時は次のような表現例があります。

「恐れ入りますがご返答をいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」

構造を細かく説明すると次のようになります。

  • 「恐れ入りますが」「何卒よろしく」とクッション言葉をプラス
  • (「もらう」の謙譲語「いただく」)+(丁寧語「ますように」)で「いただきますよう」とし、謙譲の気持ちを表現
  • 「言う」の謙譲語「申し上げる」を使うことで、お願い表現に謙譲の気持ちを表現

さらに状況的に相手に返答を求めるのが厳しいようなシチュエーションの時は

「お忙しいところ誠に恐縮ではございますが、ご返答をいただければ幸いでございます」

などとクッション言葉を重ねて用いてから、返答いただければ嬉しい、という婉曲表現にすることで命令口調を回避することができます。この場合、文章としては相手に返答するかどうかの判断をゆだねているかのようですが、実際は返答をしてもらう必要があるので、「〇月〇日までに」という期限をさりげなく入れるなど、状況に応じて工夫が必要です。

「相手の返答に返信する場合」の使い方

「返答」をお願いしてその返信をいただいたら、そのリアクションに対してお礼の文章を返信することになります。その場合は「ご返答ありがとうございます」「ご返答をいただきありがとうございます」「ご返答をいただきまして誠にありがとうございます」などと、相手との関係性や状況に応じて適当な表現を用います。

「相手の求めに対して自分が返答する場合」の使い方

取引先や上司から返答の依頼があり、自分が返答する場合に「ご返答」と自分の動作に「ご」をつけていいのか、迷う人が多いようです。結論として返信メールや文書、口頭で「ご返答いたします」と表現して間違いはありません。「返答」となる元の言葉に「ご…いたします」という謙譲語の基本形を使用しているからです。「ご説明いたします」「ご案内いたします」「ご遠慮いたします」などと同様の表現形です。

「ご返答いたします」が正しいのかどうか迷ってしまう原因としては、「ご返答」の「ご」が相手に対して用いる場合は「尊敬語」であるため、自分の行為に尊敬語を用いるのはおかしい、と感じる人がいることが考えられます。しかし自分の行為の「返答」につく「ご」は上述したように「謙譲語」となるため、間違いではありません。

ビジネスメールでの使用例

最近は直接会って対話したり電話で会話したりするよりメールのやりとりで仕事を進めていくことが多くなっています。様々なシチュエーションで「返答」を使いこなせるよう、ビジネスメールでの使用例を紹介します。

「返答」を求める場合

  • ご返答のほど、よろしくお願い申し上げます。
  • お忙しいところお手数ですが、ご返答をいただきますようお願いいたします。
  • ご返答をいただければ幸いです。
  • 誠に恐縮でございますが、〇月〇日までにご返答をいただければ大変助かります。
  • ご返答をお待ちしております。

自分が「返答」する場合

  • 添付資料のとおり、ご返答いたします。
  • 次のとおり、ご返答させていただきます。
  • 〇〇の件につきまして、ご返答申し上げます。

「返答」の類語

「返答」の類語には「回答」「返事」があります。どちらも同じような意味ですが、使い方に違いがあります。

類語①「回答」

「回答」は「文書による正式な返事」の意味合いがあります。「回答を求める」「回答を迫る」などと用い、「返答」と文書で書くよりも形式にのっとった返事を強く要求する意味が強くなります。

類語②「返事」

「返事」は「呼びかけに対して答えること、またその言葉」という意味合いがあります。質問に対して「返答」する場合と同じように「返事」も用いられますが、名前を呼ばれて返事をする、というように動作に用いられることがあります。また狭義では「答えの手紙を出す」という意味があり、「すぐに返事を出す」などと用います。

まとめ

「ご返答をお願いいたします」と取引先に依頼したいことがある時の敬語表現には、工夫が必要な場合があります。特にメールの文面は事務的で冷たい印象になりがちなため、丁寧語や謙譲語をうまく使いこなせるようにしておきましょう。また、自分の動作に「ご」をつける「ご~いたします」という謙譲表現がさっと出てくるよう、普段から意識して周囲の会話を聞き、フレーズとして覚えておくのも一案です。