車やバイク、時計などの「機械」に対して「オーバーホール」という言葉を使う時があります。すでにカタカナ語として生活に浸透している言葉の一つですが、正しい意味や使い方をしていますか?
ここでは「オーバーホール」という言葉に着目し、語源をはじめ意味と使い方などについてまとめています。これを機会にビジネスパーソンとしての語彙力を高めていきましょう。

「オーバーホール」の意味と語源

最初に「オーバーホール」の意味について解説します。
「オーバーホール」の意味は「徹底的に点検する」
「オーバーホール」の意味は「徹底的に点検する」です。おもに車やバイク、時計やパソコン、エレベーターなどの「機械」や「マシン」に対して使われ、「整備や修理を行うこと」「分解して調査や検査をする」といった意味を含む表現となります。
また「オーバーホール」には「徹底的に見直す」という意味もあります。たとえば、企業における「予算案の見直し」「事業案の見直し」「社員教育の見直し」などのように「徹底的に原因を洗い出して改善への見直しを全体で図る」という場面で使われることが多いです。
そういった意味では「ものごとの状態を元に戻して初めからやりなおす」「調整や改良をして性能や状態を元の状態に近づける」といったニュアンスがあると言えます。
「オーバーホール」の語源は英語の「overhaul」
日常的によく見聞きするカタカナ語の多くは「英語」が語源となっている場合が多いですが、「オーバーホール」もそのうちの一つです。「オーバーホール」は英語の「overhaul」のことですが、ごくまれに「overwhole」「overhole」などと誤表記をしてしまうことがあります。この2つは誤りとなるため注意をしましょう。
ちなみに、英語で「over」のつく単語は「全て」「ひっくるめて」「まるごと」「徹底的に」などのニュアンスを含む言葉が多く「overhaul」も例外ではありません。
「オーバーホール」の使い方と例文

続いて「オーバーホール」の使い方を注意点と例文と併せて見てみましょう。
「オーバーホール」は修理や見直しが必要な時に使う
「オーバーホール」を使う時のタイミングは修理や見直しが必要な時です。企業においては「生産性が向上しない」「部下の成果が上がらない」「離職率が下がらない」など「負」の要素が問題となっていることもあるでしょう。これらの問題について原因を分析した上で「徹底的に状態を白紙に戻し、改善に向けてスタートからやり直す」という場面でも「オーバーホール」を使うことができます。
ちなみに、容易に修理や見直しができる場合はほとんど「オーバーホール」は使いません。あくまで状況が明るくない場合の最終手段として使用します。また、問題が一部であっても、全体的な改善や見直しが必要な場合には、「オーバーホール」を使います。
「オーバーホール」を使った例文
「オーバーホール」を使った例文を挙げてみます。
<日常的に使う時>
- 車の調子が悪いため、オーバーホールを依頼した。
- オーバーホールをしたおかげで、お気に入りの腕時計が元通りになった。
- バイクのオーバーホールで、欠陥と破損個所があることがわかった。
- 3年に一度、カメラのオーバーホールをすることにしている。
<職場で使う時>
- 半年連続で売り上げが上がらず、営業戦略のオーバーホールをする必要がでてきた。
- 予算案のオーバーホールをする時期がやってきた。
- ライフスタイルの多様化に伴い、企業モットーをオーバーホールする必要がある。
- 業績が上がらないAさんについて、行動記録のオーバーホールが求められた(調査の意味)
「オーバーホール」の類語と対義語

最後に「オーバーホール」の類語と対義語を挙げてみます。
類語は「メンテナンス」「修理点検」
「オーバーホール」の類語は「メンテナンス」や「修理点検」「整備点検」などです。ビジネス的な環境や職場においては「徹底見直し」「徹底改善」などの言葉を言い換えとして使いましょう。
対義語は「破損」
「オーバーホール」の対義語となる正式な言葉はありませんが、オーバーホールを「修理」と解釈すれば「破損」が最も近い言葉であると考えられます。カタカナ語なら破損を意味する「ダメージ(damage)」や「コラプション(corruption)」などが対義語に近い表現と言えるでしょう。
まとめ
「オーバーホール」は英語の「overhaul」のことで、基本的な意味は「徹底的に点検や整備を行う」となります。おもに車やバイクなどの乗り物や、カメラや時計、パソコンなどの機械製品において調子がすぐれず正常に機能しない場合、また徹底的な点検をする場合に「オーバーホール」を使うことがほとんどでしょう。
ビジネスシーンでは「予算の見直し」「計画の見直し」など、最初に戻って全体的に一から改善を狙う際に使うことがあります。しかし、全体に対して一部だけを修正する場合、また容易に改善できる場合には「オーバーホール」を使って表現することはありません。使い方に注意をしながら、「オーバーホール」を会話に取り入れて行きましょう。