「旨」の読み方と意味は?使い方の例文と類語も併せて解説

日本の常用漢字の中には「読めそうで読めない」「使えそうで使えない」言葉は数多くあります。中でも社会人になってから多く目にするのが「旨」です。

ここでは「旨」について、読み方と意味をはじめ、言葉の使い方や類語、また英語表現を含めて紹介しています。言葉の理解を深めてビジネスで活用していきましょう。

「旨」の意味と漢字の読み方

最初に「旨」の読み方と意味から紹介します。

「旨」の意味は「中心となる内容」「意向」

「旨」の意味は「中心となるものや内容」です。他にも「考えの意向」「重要なこと」「述べたことの中心」「趣意」などの意味があります。つまり「言いたことや述べたいことの狙いや心の内」「大事な点」が「旨」です。

「旨」の別の意味は「味がいいこと」

「旨」は別の読み方で「旨い(うまい)」となります。意味は「食べ物の味が良いこと」「美味しいこと」で、たとえば「旨味(うまみ)」「旨酒(うまさけ)」などの熟語表現で使われています。

「旨」の読み方は「むね」「うまい」「シ」

「旨」は訓読みで「むね」「うまい」、また音読みでは「シ」となります。ビジネスシーンで使われる「旨」は、「むね」の場合が多く、音読みの「シ」は「主旨」「趣旨」などの熟語表現で数多く使われています。

「旨」の使い方とビジネス例文

続いて「旨」の使い方とビジネス例文について解説します。

「その旨」を使う時は内容を明確にする

「旨」をビジネスメールやビジネス文書で使う際、長々と説明した文章であっても、後半部分で「その旨」を使って省略することができるためとても便利です。しかし、「その旨」にあたる内容が明確でなければ、相手に正確に伝えることができません。中でも複数の事柄を一件のメールや手紙で送る時は、「その旨」がどの部分にあたるのか、相手に分かりやすいように文章でまとめるようにしましょう。

加えて、「その旨」を使う時は、あくまで内容を省略をした表現であることを意識し、文章を送る前に読み返してみることも大切です。「その旨」にあたる「その内容」を相手に理解してもらえるように工夫することも大切です。

「その旨」を使った例文

ビジネスでよく使われる「その旨」の例文についてみましょう。

  • 明日は休日となるため連絡ができません。その旨を伝えていただけませんか?
  • 新作発表会の日程が来週に変更になりました。その旨をお伝え願いいただけますと幸いです。
  • 販売開始は明日となります。その旨ご理解いただけますようお願いいたします。
  • 社長は所用で本日不在です。その旨ご了承ください。
  • 計画の詳細を送っていただきありがとうございます。その旨承知いたしました。
  • 本日の来訪はキャンセルでございますね。その旨を担当に申し伝えます。
  • 繁忙期のため長期アルバイトを募集しています。その旨を新聞に掲載しましょう。

「旨」の類語や英語表現は?

続いて「旨」の類語について紹介しましょう。

「旨」の類語①「主旨」「考え」「趣意」

「旨」の類語には「主旨」「考え」「趣意」「所存」「旨意」「旨趣」「論意」などがあります。ものごとの全体の意味、考えをまとめた内容、総体的な意見などを表す言葉が「旨」の類語と言えるでしょう。

「旨」の類語②「意図」「作意」「魂胆」

「旨」の類語である「主旨」や「考え」を軸に、ものごとの方向性や計画などを含む内容と捉えれば「意図」「作意」なども類語と考えられるでしょう。「魂胆」はやや戦略的な意図を含む表現となります。

「旨」の英語表現は文脈による

「旨」を英語で表現するには、文脈の意味に注目して単語や熟語を選ぶ必要があります。何に対する、どのような「旨」なのか、まず文章全体の意味を把握してみましょう。以下に例を挙げてみます。

  • say that presentation has been cancelled
    プレゼンがキャンセルになった旨を伝える
  • send email of the project in process
    プロジェクト進行の旨をメールで送る
  • This is the notice of closing the shop.
    これは閉店を示す旨の通知である。

英語で「旨」を使う際のコツは「~であること」「~である内容」と言い換えてみることです。「旨」にあたる直接的な単語はないため、適切な動詞を使って意味を兼用していきましょう。

まとめ

「旨」はビジネスメールやビジネス文書などでよく登場する表現で、意味は「中心となる内容」「意向」、また「述べたいことの狙いや心の内」などになります。よく使われる言い回しの例は「その旨よろしくお願いいたします」「その旨ご了承下さい」「その旨ご返信願います」などです。

また、「その旨」という表現を使えば、長い文章を再度説明することもなく「上記で述べた主旨」というニュアンスでシンプルに文章をまとめることができるためとても便利です。その際は「その旨」にあたる部分を明確にしておくことを忘れないようにしましょう。