履歴書や、会社で渡される書類など、扶養家族について記入する欄はよく目にします。しかし記入しようとすると、誰を扶養家族としてよいのか、書き方に迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は、扶養家族になる条件や扶養家族の書き方を紹介します。本記事を参考に、迷わず扶養家族欄を書けるようにしておきましょう。
「扶養家族」とは?
「扶養家族」とは、”面倒をみて養う家族のこと”
「扶養家族」とは、”自分1人で生活できない人の面倒をみたり、養うこと”です。主に収入面で、月々の収入の少ない人が、収入の多い人に生活費を出してもらっている場合などを指します。
日常の会話で使うだけであれば、生活費を出して養っている人を「扶養家族」と呼んでも問題ありませんが、履歴書や手続きに必要な書類に記入する「扶養家族」になるには、条件があります。
健康保険法の扶養家族と税法の扶養家族がある
履歴書や会社などの手続きで記入する書類に書かれている「扶養家族」には、健康保険法上の「扶養家族」と、税法の「扶養家族」の二種類あります。法律によって「扶養家族」となる人の範囲が少し違いますので注意が必要です。
手続きに使う書類が、健康保険に関する書類なのか、税金に関する書類なのかによって、記入する扶養家族が変わります。
健康保険法の扶養家族になる条件とは?
健康保険の扶養家族は、基本的に健康保険料がかからないというメリットもあります。「扶養家族」になれる人は、しておいた方がお得ですので、条件を確認しておきましょう。
条件①配偶者や子など「扶養親族」であること
健康保険の扶養家族になる一つ目の条件は、「扶養親族」であることです。「扶養親族」には以下の3種類あります。
- 配偶者・子・父母・孫・弟・妹
- 同居している3親等以内の親族(義父母・兄・姉・叔父・叔母など)
- 内縁の配偶者の父母・同居している配偶者の子
条件②収入が限度額内であること
扶養家族になることができる年収は基本的に130万円未満です。ただし、60歳以上の方や障害年金を受給している方は180万円未満になります。
基本的には、年収ではなく月収で考えますので、月の収入が130万円を12か月で割った10万8333円を超えたら扶養家族になることができません。
税法の扶養家族になる条件とは?
所得税には「扶養控除」という制度があります。「扶養家族」がいる場合に、一定の金額を所得から引くことができ、税金の額がお得になる制度です。ここでは扶養控除できる「扶養家族」になる条件を紹介します。
条件①配偶者以外の親族
配偶者以外の親族とは「6親等内の血族及び3親等内の姻族」のことを言います。簡単にいうと、血族が血のつながっている親戚、姻族が結婚などで親戚になった人です。
例えば、いとこの孫や、はとこなどは6親等の血族ですので、かなり広範囲の血族が含まれます。3親等の姻族とは、自分の叔父・叔母や姪・甥の配偶者などです。
税法上、配偶者は「扶養家族」にはなりません。配偶者には「配偶者控除」という制度があるからです。
条件②生計が1つであること
「扶養家族」となるためには、生計が1つでなければなりません。同居している必要はありませんが、納税者から仕送りをもらうなど、納税者の収入で生活していることが必要です。
条件③年間の所得金額が103万円以下か38万円以下
年間の所得金額が38万円以下の方が「扶養家族」になることができます。ただし、収入が給与収入だけの方は103万円以下であれば「扶養家族」になれます。
条件④納税者の個人事業を一緒に行っていないこと
納税者が個人事業主で、家族と一緒に仕事をしている場合は、その家族は「事業専従者」となります。
納税者が青色申告をしている場合は、「事業専従者」に給料を支払うと「扶養家族」になることができません。白色申告をしている場合は、給料の有無にかかわらず「扶養家族」になることができません。「事業専従者控除」などの別の制度があるためです。
配偶者が扶養家族になるポイントとは?
健康保険の扶養家族になれる130万円、106万円の壁
配偶者が健康保険法上の扶養家族になるには、年収130万円未満であることが必要です。基本的に月収で考えますので、月10万8333円を超えると、扶養家族になることができません。これがよく言われている「130万円の壁」です。
また、配偶者が自分で健康保険に加入したときにも扶養家族に入ることができません。社員数が501人以上の会社で週20時間以上働き、年収106万円以上になると、自分で健康保険に加入しなければならず、配偶者の扶養家族になれません。
この106万円も月収で考えますので、月8万8333円です。これが「106万円の壁」です。
税法上は扶養家族になれない
税法上は、配偶者は扶養家族になることができません。ただし、配偶者控除や配偶者特別控除という制度があり、年収が一定の金額以下であれば、納税者の収める税金額が安くなります。
履歴書の扶養家族欄の書き方とは?
扶養家族数は自分と配偶者を除く
履歴書には扶養家族数を記載する欄があります。基本的には税法上の扶養家族の人数を記載します。
扶養は、誰か1人にされているというのが基本です。例えば夫婦共働きで子どもが2人いる場合、夫婦どちらかの扶養家族が2人で、もう一方は0人と記載します。
まとめ
同じ「扶養家族」という言葉でも、健康保険法や税法など、関わる法律によって内容が異なります。何の手続きに使う書類なのかに合わせて、扶養家族を記入しましょう。一般的に履歴書は税法上の扶養家族の記入をします。自分が扶養している家族や、自分を扶養してくれている家族のことを把握しておき、スムーズに記入できるようにしておきましょう。