日本が海外のどの国より負けないところ、それは「新しい言葉を生み出す力」です。中でもカタカナ語は英語が苦手な人でもスムーズに学べる便利な言葉でもありますが、最近ビジネスでも使われるようになった戦略的用語に「ブラフ」があります。
ここでは「ブラフ」の意味と語源、使い方と例文、似た言葉である「ハッタリ」との違い、そして「ブラフ」を使った熟語表現を紹介しています。やはり、ビジネスにも「ブラフ」は必要なのでしょうか?
「ブラフ」の意味と語源とは?
「ブラフ」の意味は”大きく見せる・空威張りする”
「ブラフ」の意味は、”自分を大きく表現する・空威張りをする”です。英語の「bluff」で、日本語で言う「ハッタリをかける」と極めて近い意味ですが、「ブラフ」の方が「人を騙す」「事実に輪をかけた、または異なる情報で相手を誘導する」というような策略的な意味を多く含みます。
「ブラフ」を人に対して虚勢を張ることで、相手の勢いを緩め、自分の立場や状況を優位に立たせようとする狙いのある言葉です。
「ブラフ」の語源は”絶壁に立たされた末の結果”
「ブラフ」には「絶壁」という名詞的な意味を持ち合わせています。実はこれが語源であり、背景には「絶壁に立たされたが、怖くて飛び降りなかった」という状況が転じ、「実際とは異なる行動」そして「ハッタリ」「空威張り」と次第に意味が発展していったと言われています。
英語の「ブラフ」には”ぶっきらぼうな・やせ我慢”の意味も
語源である英語の「bluff」には、人に対して「ぶっきらぼうな」「粗野な」という意味があり、「He is a bit bluff(彼は、ややぶっきらぼうである)」というように使われます。また、実際の事に上乗せして大きく表現することから「やせ我慢」という意味でも使われています。
「ブラフ」と「嘘」はどの点で異なる?
「ブラフ」と意味の近い言葉「嘘」との違いについて解説します。勝つための「ブラフ」なら当然「ゲーム」にも欠かせません。使い方と併せて紹介しましょう。
「ブラフ」と「嘘」の違いは「真実性」の有無
「ブラフ」に似た言葉に「嘘」がありますが、この二つの言葉の意味の違いには「真実性があるかどうか」ということが挙げられます。「嘘」は相手を騙すつもりがあってもなくてもついてしまうことがありますが、「ブラフ」は自分を優位なポジションに置くために、自分を大きく見せて相手を威嚇しようとする意図が存分に含まれています。
加えて「嘘」の場合は、言葉そのもので語られることがほとんどです。しかし「ブラフ」は顔の表情や周囲の雰囲気を作り出すことで、相手を騙したり、自分の策略に乗っかるように誘導したりします。
さらに「嘘」には「相手を傷つけないようにつく嘘」また「相手を喜ばせるためにつく嘘」などがありますが、「ブラフ」は「自分優勢」「自分本位」に使われます。
ボードゲーム/ポーカーで「ブラフ」は必須
「ブラフ」は人生における「勝つための秘策」とも言えますが、ボードゲームやポーカーなどにおいて「ブラフ」は欠かせません。
たとえばポーカーの場合、自分が弱いカードを持っていても、相手に「強いカードを持っている」ということを確信させる必要があります。それは巧みな言葉での駆け引きの場合もあれば、思わせぶりな表情で示す場合もあるでしょう。これを「ブラフをかける」と言います。
「ブラフをかける」は嘘や偽りの情報を示すことで「相手を錯乱させること、また惑わすこと」を意味します。つまり、実際のことや事実よりベターであると相手に思わせるということです。全くの「嘘」とは異なる、策略的な要素が色濃いのも「ブラフ」の特徴と言えるでしょう。
「ブラフ」のビジネスでの使い方と例文とは?
「ブラフ」の使い方と例文を挙げてみましょう。
「ブラフ」はビジネスシーンでも有効
「ブラフ」を商談や交渉の際の手段として使うのも有効的です。ビジネスには嫌というほどの競合が存在し、言葉巧みに勝つための戦略をしかけてくるでしょう。その際に相手にハッタリをかけ、自分を大きく見せることで相手を自分が優位になるように誘導することは、ビジネスシーンでも効果的な戦略の一つと言えます。
「ブラフ」で実力以上の結果がでることも
たとえば、自分の実力が5であるのに、10と相手に「ブラフ」をかけてしまったとしましょう。「嘘から出た誠」ではありませんが、この「ブラフ」が思いのほか、仕事へのモチベーションにつながったり、思わぬ結果に結びつくことがあります。
つまり、「ブラフしてしまったから、後はやるしかない!」と自分を奮い立たせる「絶好の理由」とにもなり得るということです。もちろん、「ブラフ」のし過ぎはストレスにつながる可能性があり、決して良いとは言えませんが、心理的な作用を利用して実力以上の結果を出すことができれば、ブラフを自分自身にも上手に使っていきたいものです。
「ブラフ」の熟語表現①ブラフをかける
「ブラフをかける」をポーカーやギャンブル、ボードゲームなどで「ハッタリをかける」ことや、日常的に自分を大きく見せたり、相手を威嚇する時に使います。
- ポーカーでブラフをかける。
- ブラフをかけて相手を惑わす。
- 商談でブラフをかけたが、契約には至らなかった。
「ブラフ」の熟語表現②ブラフを張る
「ブラフを張る」は「相手に罠を仕掛ける」というニュアンスで使われる表現です。自分を大きく見せて相手を誘導するだけではなく、その先の結果まで見据えた意味合いがあります。
- ブラフを張って相手の行動を観察してみよう。
- なかなか「Yes」の返事がもらえないため、ブラフを張って勝負に出た。
- ブラフを張ったが、少なくとも相手の気持ちを動かすことはできたと思う。
「ブラフ」の熟語表現③ブラフ合戦
「ブラフ合戦」は「空威張りのし合い」「騙し合い」という意味で使われます。ゲームの世界でもビジネスシーンでも勝つための手法として「ブラフ」を活用することがありますが、それは自分自身だけではなく、相手も周囲も同じだということを理解しておく必要があるでしょう。
- 競合10社。まさに過酷なブラフ合戦の始まりである。
- ここはひとまず「ブラフ合戦」を観戦するとするか。
- ブラフ合戦においての真実は一つ。「勝利への執着」である。
まとめ
「ブラフ」は「自分を大きく見せる」「空威張りをする」という意味のある言葉です。悪意を持って使われることは少なく、あくまで自分を優位に運ぶ手段として「ブラフをかける」ことがほとんどでしょう。
しかし、「ブラフ」の使い過ぎは相手に不信感を与えてしまう原因となり得ます。とくにビジネスにおいては「ここぞ!」という場面にのみ使うようにし、商談や交渉での説得の中で自分を勝利へと導くための一つの戦略として活用するようにしましょう。