エンパワーメントの意味とは?福祉や教育など業界別の使い方も解説

エンパワーメントという言葉をどこかで耳にしたことはありませんか?社会運動や企業、保健医療の分野などさまざまな場面で使われたり、実践されたりしているものです。ここではエンパワーメントとは一体どんなものなのか、その意味や各業界でどのように扱われているものなのか、企業の実践例も紹介していきます。



「エンパワーメント」の意味とは

ビジネスにおけるエンパワーメントの意味

ビジネス用語でのエンパワーメントは「権限委託」の意味が強くなります。企業では、従業員全員が経営のあらゆる段階に参加し、それぞれの権限を委託します。単純に委託して終わりではなくフォローアップを行って、全体の生産性を高めていくというものです。

心理学におけるエンパワーメントの意味

心理学用語では「湧活」の意味があります。これは生きる力となる能力を湧き出させる、つまり能力開花のことを指します。否定的評価を受けて生活力を失った対象者に対して勇気づけをして、自らの内なる力に自ら気づいてそれを引き出していくということです。これは、人間は生まれながらに素晴らしい才能や能力を持っているという前提のもとに成り立つ考え方です。

エンパワーメントの語源である英語表現と言葉の背景

エンパワーメントは英語で”empowerment”と書きます。その意味は、「権限付与」「権限を与えること」や「自信を与えること」「力をつけてやること」などがあります。組織に属する人のすべてが、改革や発展に必要となる力をつけるという意味の言葉です。1980年代の女性の権利獲得運動で使われるようになりました。現在は教育や社会運動、企業でも使われています。

各業界におけるエンパワーメント理論

分野によって、「エンパワーメント」の捉え方が異なります。今回は、教育をはじめ看護・介護、社会福祉の分野におけるエンパワーメントの考え方(エンパワーメント理論)についてご紹介します。

教育におけるエンパワーメント

教育の分野においてエンパワーメントは「人は誰しも生まれながらに素晴らしい力を持っており、障害を通してその力を発揮し続けられる」という考えに基づき、その力を引きだすことにあります。人々に勇気や希望、夢を与えることで、それぞれが持つパワーや可能性を溢れ出させます。

子供に何かの物事を手取り足取り教えるのではなく、本来持つ能力を信じて見守ることが重要となります。そうすることで子供自身が試行錯誤して、自分のやり方を発見していくのです。

看護や介護におけるエンパワーメント

看護や介護などの分野では、患者などのサービスを利用する者が自立することを最終的なゴールとしています。患者や利用者自身が抱える問題が本人の本来の能力を奪っていると考え、その問題を本人が解決し、本来の能力を引き出すように働きかけます。自分自身が日常生活で人生の主役となれるよう、自己選択を行い、生活や環境をコントロールできるように支援を行っています。

社会福祉におけるエンパワーメント

社会福祉におけるエンパワーメントでは、これまで行ってきたサービス提供の方法とは別に、受益者に渡す補助金を増やし、その権利を与えることで自立を促し、政府の介入を極力減らそうと考えます。また、社会的弱者が自分の置かれている立場や問題の要因に気付き、状況改善に必要な方法や自信、決定力などを強化するための援助や理念を指すこともあります。

エンパワーメントの使い方・高め方

エンパワーメントリーダーシップを実践

エンパワーメントリーダーシップとは、リーダーシップの類型の1つです。部下に戦略に基づいた意思決定やある程度の権限を与えることで、本人の管理能力や主体性の向上を目指します。上司やリーダーの立場にある者が部下の自律性を促し、支援に回ります。具体的な指示は出さず、部下自身が問題を発見したり、不足した能力を開発したりできるような環境を整えることが大切です。

ゴール設定や動機づけをする

人の能力は自分の持つレベルから背伸びをして初めて成長が見られます。組織や個人の課題を現在のレベルより少し高いレベルのゴールに設定します。エンパワーメントにはこのゴールに動機づけできるかどうかが大切になってきます。

ゴールに対して自分はやれば出来るという自己効力感や影響感、ゴール達成で得られる価値、自己決定感などからエネルギーを得ることで、仕事でのパフォーマンス向上につなげることができるのです。

エンパワーメントの実践例

星野リゾートの例

全国で30のリゾートや旅館を運営する(株) 星野リゾートでは、それまでのトップダウン方式の経営方針からスタッフのモチベーションをあげるためエンパワーメント理論を取り入れました。現場スタッフに、トップが全ての情報を公開することで情報の共有や現場の声のくみ上げに成功し、フラットな組織文化を確立しました。

出世やキャリアなどの働き方にも自由度を与え、昇進したい人には立候補で機会を与えています。それらの取り組みは、離職率の低下や組織のモチベーションアップにつながっています。

まとめ

エンパワーメントはあらゆる分野で個人の成長だけでなく、組織の成長や活性化にもつながるものです。明確なゴールや方向性を持って、途中でやめることなくしっかりと最後までやり抜くことが大切です。まずはエンパワーメントについて詳しく知ることで、自分の属する組織や立場に取り入れられるかどうか検討してみましょう。