「爵位」の意味とは?日本とイギリスの爵位制度・序列も解説

「爵位」なんて昔読んだ物語の中の出来事のようですが、日本にはかつて爵位制度があり、またイギリスでは今でも爵位制度が残っています。ところでその爵位とはどのような制度でしょうか。この記事では「爵位」の意味から日本とイギリスの爵位制度について説明するとともに、ネット販売される爵位についても解説します。



「爵位」の意味とは?

「爵位」とは貴族にだけ与えられる称号

「爵位」とは「しゃくい」と読み、貴族だけに与えられた称号です。爵位により、身分の序列が表されて特権が付随することもありました。

現代において「爵位」が使われている国はほんの少数です。またそのほとんどの場合が特権は認められず、名目だけが残っている状態です。

「爵位」は英語で「title」

本の題名や部長や課長などの肩書という意味でも使われる「title」ですが「爵位」という意味もあります。また、特にイギリスの貴族に対しては「peerage」という表現も使われます。

例文:
“He inherits the title of Earl of Marlborough.”
「彼はマールボロー伯の爵位を継承する」
“He was given a peerage because of his retirement as cabinet secretary.”
「彼は内閣秘書官を退任したことで爵位を与えられた」

日本の爵位制度とは

華族に与えられた爵位

日本でも爵位があった時代はありますが、現在はすべて廃止されています。

古くは大和朝廷の姓(かばね)、奈良時代に施行された律令制では冠位十二階などの位階が爵位と考えられます。

爵位として制定されたのは1884年7月に施行された華族令においてです。公・侯・伯・子・男の5段階の爵位が制定されました。しかし戦後1947年に日本国憲法の施行に伴い、華族制度と併せて爵位もなくなりました。華族制度は、法の下の平等に反すると定義づけられたからです。

ちなみに華族制度は中国や西欧の爵位制度が参考にされて確立されて、イギリスの5爵制と一致しているのは偶然ではありません。

天皇は爵位を与える側

天皇とは歴代の君主の称号で爵位ではありません。天皇は爵位を受ける立場ではなく、爵位を授ける立場になります。

日本で爵位について話題になるとき、天皇も一緒に他の爵位と並列して説明されることがありますが、天皇という称号と爵位とは関係がないことを理解しておきましょう。

女性は爵位を授与できない

華族制度では爵位を授与できるのは家の戸主であり、しかも男性に限るという決まりがありました。また複数の爵を一人の人が受けることも、爵位が下がることもありませんでした。

ちなみに、爵位の授与は家の格と同時に実収入も判断基準になりました。

イギリスの爵位制度はどうなってるの?

現在、爵位制度はフランスやイタリアなど数か国で残っていますが、そのなかでも有名なのがイギリスの爵位制度です。

そこでイギリスの爵位制度はどのようになっているのか見ていきましょう。

貴族とは「爵位を持った人とその家族」

イギリスの貴族とは、爵位を持った人とその家族のことです。公爵から男爵まで各階位があり、どれも継承性です。その一家の長子が爵位を引き継ぎ、貴族の数は700人を越えています。

爵位の序列「公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵」

イギリスの爵位は、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番です。

最高位が公爵「Duke」(デューク)で、王族に属する公爵「王族公爵」とそれ以外のイングランド貴族公爵などの「臣民公爵」があります。王族公爵ならエリザベス女王の長男であるチャールズ皇太子やその息子のウィリアム王子やヘンリー王子が代表されます。

敬称は「Durk of ○○」で、○○の部分には姓ではなく爵位名が入ります。

例えばチャールズ皇太子の場合は、イングランドの公爵のひとつである「コーンウォール公爵」(Duke of Cornwall)とスコットランドの公爵のひとつである「ロスシー公爵」(Duke of Rothesay)と名乗ります。

また貴族の中でも公爵のみが「Your Grace」(閣下)と尊称されます。

「Lord(ロード)」は侯爵・伯爵・子爵・男爵の敬称

公爵の後には、侯爵「Marquess」、伯爵(Earl)、子爵(Viscount)、男爵(baron)と続き、敬称に「Lord」(ロード)を名乗ることができます。

Lordに爵位名を続けますが、ウィンチェスター公爵の場合、家名はポーレットですがロード・オブ・ポーレットとは呼ばれずロード・オブ・ウィンチェスターになります。

女性も爵位を継承することがある

継承されていく爵位は男女の性に関係なく、直系の一族の長子が受け継いでいきます。そのため女性が爵位を継承することがあります。また爵位を持つ人の妻も爵位を授与されます。

例:公爵夫人「Duchess」

個人に与えらえる「一代貴族」

またイギリスには一個人に与えられる一代貴族もあります。社会に貢献したイギリス人が主で、首相によって推薦されて女王により決定されます。

爵位は男爵になり、首相や閣僚経験者などが授与されますが、サッチャー首相もこの爵位を受けました。

また一代貴族には男爵よりも格下の爵位として「準男爵」と「ナイト」(騎士)があります。どちらの敬称も「Sir」(サー)になりますが、ナイトは一代限りですが、準男爵は世襲制という違いがあります。

準男爵を授与された有名人はビールメーカーのベンジャミン・ギネスやロールスロイスの創設者のヘンリー・ロイスなど、またナイトにはミュージシャンのポールマッカートニーやマイクロソフト創設者のビル・ゲイツなどがいます。

「辺境伯」という爵位がある?

「辺境伯」は辺境地域の高官

「辺境伯」とはフランク王国とローマ帝国が国境を防衛する高官に与えた称号です。「辺境伯」はドイツ語の「Markgraf」(マルクトグラフ)の訳語になります。

辺境伯は与えられた地域の行政・軍事・司法のすべてにおいて最高権力を有していました。職位の継承が進むにつれて、その地域の君主、つまり領邦君主として成長していきました。

後に辺境伯は爵位として確立したものの、19世紀にはなくなってしまいました。

「爵位」はインターネットで買える!?

爵位らしきものを販売しているサイト

「もしも王家に生まれていたらどうなるだろう」と子供のころの夢を叶えてくれるようなショッピングサイトがあります。それは爵位を販売しているサイトです。

爵位が数万円から数億円まで価格もいろいろですが、本来、爵位とはお金で購入できるものではありませんので、これらのサイトで売られているのは「爵位らしきもの」であり正当な爵位ではありません。

まとめ

爵位とは貴族が与えられる称号で、現在では形式的に残っているのみです。それでもその伝統が残されている国があり、爵位継承の文化を守ろうとしています。日本ではなくなってしまった爵位制度ですが、そうしたことがあったという事実を知っておくことは大切でしょう。