「気の置けない」の意味と正しい使い方!類語や例文も解説

「気の置けない友人」と聞いて「どっち?」と思ったことがある方は多いのではないでしょうか。今回は誤認されやすい「気の置けない」という言葉について解説します。「気の置けない」はなぜ「仲が良い」ということになるのか、「気の置けない会話」とはどんなものなのかなどについてもご紹介します。

「気の置けない」とは?

「気の置けない」の意味は”気を使わなくても済む”

「気の置けない」の意味は、”気を使わなくても済む”です。自分が気を使わず、遠慮しない様子は「気の置けない」という言葉で表すことができます。「気の置けない仲間」とは「気を使わなくて済む気心の知れた友人」のことです。

「気の置けない」は人以外にも「気の置けない会話をする仲」「気の置けない雑談ができる相手」などと使うこともでき、いずれにしても「気遣いが不要」「遠慮が要らない」という意味です。

「置けない」の語源は”使わない”

「気の置けない」の「置けない」という部分が「気の置けない」の理解を難しくしますが、この場合の「置けない」は「使わない」という意味を持っています。「気を置く」とは「気を使う」の慣用句です。そのため「気を使わない様子」は「気の置けない」という言葉で表します。

「置く」を「置かない」ではなく「置けない」とするのは「気を置きたくても(使いたくても)、それができないほどのざぅくばらんな様子」を表すためです。

「気が置けない」とも言う

「気の置けない友達」「気の置けない会話」などに使われる「気の置けない」は一般的に広く使われている言葉です。「気の置けない」という言葉は、人によって「気が置けない」と言われることもあります。「気の置けない」「気が置けない」はどちらも意味は同じで、どちらも間違いではありません。

「気の置けない友達」は誤用に注意

「気の置けない友達」という言葉を耳にしたときに「仲が良くない友達」と理解する人は大変多いようです。しかしこの場合の「置けない」は「気を使わない」なので、意味は真逆の「仲が良い友達」ということになります。

「~ない」という打ち消しの言葉が入っていることで、なんとなく否定的なイメージを持ちやすくはなりますが「仲が良い」は「気の置けない」ですので、誤用に注意しましょう。

「気の置けない」の類語とは?

類語①慣用句なら「肩のこらない」

「気の置けない」という言葉は、その意味から「気を使わない」「遠慮の要らない」「気遣いが不要な」など、他の言葉に言い換えやすい意味を持っています。この「気の置けない」を慣用句で言い換えるのであれば「肩のこらない」などが良いでしょう。

「肩のこらない」というのは「緊張しない」という意味です。「気のおけない」と同様に人との関係や、その場の状況や雰囲気を表すときに使います。「緊張すると肩がこる」という一般的な様子から「肩のこらない友人」「肩のこらない会話」などと使って、その人との関係ややその場の雰囲気がいかに気楽なものであるかがわかる言葉です。

類語②ビジネスで使うなら「懇意・昵懇」

「気の置けない」「肩のこらない」という慣用句は、会話の中で比較的フランクに使われます。これらの言葉をビジネスの場面で使うこともできますが、その場合の多くは目上の方が部下に対して用いることが多いでしょう。「気の置けない同僚はいるの?」「肩のこらない会合にしたいと思ってる」などです。

しかし自分が目上の方へ、第三者との気の置けない関係を伝える場合にはもう少しビジネス感のある言葉が良いかもしれません。たとえば「懇意(こんい)」「昵懇(じっこん)」などです。

「懇意」とは「互いに打ち解けて仲良くする様子」を表し「○○さんとは懇意にしています」「○○部長はA社の○○会長と懇意にされている」などと使います。

「昵懇」は「遠慮なく付き合えるほどに親しい関係」という意味で「○○さんとは昵懇の仲です」「○○さんと課長は昵懇の仲らしい」などと使います。

ただし「懇意」「昵懇」は人との関係にしか使うことができません。「気の置けない会話」「気の置けない付き合い」などのように、状況を表す場合には使えないので注意しましょう。

「気の置けない」の反対語とは?

気の置けないの対義語は「気の置ける」

「気の置けない」という言葉の反対の意味と言えば「気を使う」「遠慮する」という意味です。その様子は「気の置ける」という言葉で表すことができます。

「○○さんとはまだ気の置ける関係だ」「みんなお互いに気の置ける様子だったよ」などと使うことで、その人との関係やその場の状況に緊張感や気遣いが見られることを表せます。

しかし自分が「気の置ける」という言葉を「気を使う」という意味で使っても、相手が「気の置けない」「気の置ける」という言葉を正しく理解していなければ通じません。相手の言葉に対する認識を判断できない場合は「気を使う」「遠慮する」「気兼ねする」など一般的な言葉を使った方が間違いがないでしょう。

「気の置けない」の例文とは?

「気の置けない」を人に使う例文

「気の置けない」を人に使う場合の例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「彼と私は学生時代からの付き合いで、気の置けない仲だ」
  • 「○○さんと××さんは気の置けない関係で有名だよ」
  • 「課長と部長は同じ趣味を持っていることもあって、お互いに気の置けない友人なんだそうだ」
  • 「気の置けない友人がひとりでもいればと思うことがあるよ」
  • 「彼女には気の置けない友達がいないらしい」

「気の置けない」を会話や雑談に使う例文

「気の置けない」を会話や雑談に使う場合の例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「同期と一緒に昼休みは、気の置けない雑談に花が咲くもんだ」
  • 「気の置けない会話ができるようになればいいのに」
  • 「今日の会議は気の置けない雑談が多くて楽しかったな」
  • 「○○さんとの会話はいつも気の置けないもので時間を忘れる」
  • 「家族と気の置けない時間を過ごしてリフレッシュした」

まとめ

「気の置けない」という言葉は意味を勘違いしやすく、自信を持って使えないという人も多いようです。しかし一度「気の置けない」の意味がわかってしまえば「とても仲良し」「何でも話せる」などといくつもの言葉を重ねなくても、一言で相手との関係を的確に表すことができます。この機会に自分にとっての「気の置けない」を探してみるのも良いですね。