ビジネス文書は「拝啓」から始まり「敬具」で終わる形式に従って書きます。いざ書くとなると位置や改行をどこで入れるかなど、迷うことがありませんか?ここでは「拝啓」の持つ意味や書き方を解説するとともに、フォーマルな手紙の書き方と文例を紹介します。
「拝啓」と「敬具」の意味とは?
「拝啓」の意味は”手紙の書き出しに用いる「頭語」”
「拝啓」の意味は、“フォーマルな手紙の書き出しに用いる「頭語」とよばれる慣用語”です。「つつしんで申し上げます」という意味があります。
「頭語」から始まる【前文】が書き出しの挨拶
手紙は【前文】【主文】【末文】で構成されます。【前文】では「頭語」と「時候の挨拶」のあとに「繁栄や健康を喜ぶことば」や「日ごろのお礼」を順に述べます。これらで構成された前文をもって書き出しの挨拶が終わります。
「拝啓」の頭語から始めるフォーマルな手紙は、挨拶の手順を踏んでから本文に入ります。
「敬具」の意味は”頭語と一対の「結語」”
「敬具」の意味は、“手紙の最後にもう一度相手に敬意を表す言葉として書く「結語」”です。「謹んで申し上げました」という意味です。頭語と結語は他にもいろいろな言葉がありますが、自由に組み合わせて使うのではなく、頭語に対応した対の結語を用います。「拝啓」の対の結語は「敬具」です。
「結語」で終わる【末文】が締めくくりの挨拶
【主文】を書いたら【末文】に移ります。末文には今後の指導を願う言葉や相手の繁栄や健康を祈る結びの言葉を書き、「敬具」などの「結語」で終わります。手紙の構成に従って書くことで、礼を失さずにマナーにかなった手紙を書くことができます。
「拝啓」と「敬具」の位置と書き方とは?
「拝啓」の位置は手紙の冒頭
「拝啓」は手紙の冒頭に書きます。字は下げずに書き出します。
「拝啓」のあと改行せずに時候の挨拶を続けて書く
「拝啓」のあとに一字あけて、時候の挨拶や健康や繁栄を喜ぶ言葉を書き、そのあとで改行します。
「敬具」の位置は手紙の最後に改行して書く
結びの言葉を書いたら改行して、その次の行に「敬具」を書きます。縦書きの時は下に下げて書き、横書きの時は右寄せにして書きます。
「拝啓」を使ったビジネス文書や手紙の例文(文例)
ビジネス文書には取引のための取引文書と社交などを目的とした儀礼文書の2種類があります。取引文書、儀礼文書の例文をそれぞれ紹介します。
取引文書の例文
見積もりのお願い
拝啓 新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。日ごろは格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、早速ながら、下記商品につきまして…
つきましては、〇月〇日までに…
ご多忙のところ誠に恐縮ですが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
まずはとり急ぎお願いまで。敬具
記
・品名
・数量
・支払条件
・〇〇以上
儀礼文書の例文
◆お歳暮の挨拶状
拝啓 早くも師走の風に追い立てられる季節となりました。皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素はひとかたならぬご高配を賜り、心より感謝しております。
つきましては、ささやかな歳末のごあいさつをお届けいたしました。ご笑納いただければ幸いに存じます。
皆様よいお年をお迎えになられますよう、お祈りいたします。
まずはお歳暮のご挨拶まで申し上げます。敬具
代表的な「頭語」と「結語」の組合せ
代表的な「頭語」と「結語」の組み合わせを紹介します。
一般的な手紙やビジネス文書
「拝啓」+「敬具」
一般的な手紙やフォーマルなビジネス文書では「拝啓」+「敬具」を用います。最もよく使われる組み合わせです。
丁重な手紙やビジネス文書
「謹啓」+「敬白」
改まった手紙で、「拝啓」よりも丁重な表現にしたい時は、「謹啓」+「敬白」を用います。「謹んでうやまい申し上げます・申し上げました」の意味があります。
丁重な女性の手紙
「謹んで申し上げます」+「かしこ」
女性の場合は、「謹んで申し上げます」+「かしこ」を使うことができます。女性であってもビジネス文書の場合は女性らしさを出す必要はないため、「かしこ」は用いないことが一般的です。
返信の手紙
「拝復」+「敬具」
改まった返信の手紙の場合は「拝復」+「敬具」を用います。
前文を省略する場合
「前略」+「早々」
前文を省略する場合は「前略」+「早々」を用います。男性、女性とも「早々」は使えます。ビジネス文書ではそぐわない場合があります。
まとめ
ビジネス文書やフォーマルな手紙は、「拝啓」「敬具」を使い、決められた形式に従って書くことでマナーにのっとり、相手にも読みやすい文書にすることができます。一度形式を覚えておくと、メールにも応用できますのでビジネススキルがぐんとアップします。
※「時候の挨拶」を使ったビジネスレターの書き方は以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文!月別も紹介
※「ご清栄」を使った「繁栄を喜ぶ言葉」の使い方は以下の記事で詳しく紹介しています。
「ご清栄」の意味とは?「ご清祥」との違いや例文と類語も紹介