「ありき」の意味とは?誤用しないための使い方や類語を紹介!

「結論ありき」や「ありきで考える」などの使い方をする「ありき」という言葉。正しい意味は理解していないが、なんとなく使っているという方は多いのではないでしょうか?誤用されがちな「ありき」の正しい意味と使い方を紹介するので、参考にしてください。

「ありき」とは?

「ありき」の意味は”あった・ある”

「ありき」の意味は、”あった・ある”です。「ありき」は”過去にあった”ものと、”現時点である”ものに対して使われる言葉です。例えば「○○という人ありき」という例文だと、「○○という人がいた」という、過去を表す文章となります。上記の例文は古典の表現方法であり、現代ではほとんど使用されません。

現代では「ありき」を過去ではなく現時点で「ある」ものに使われます。「ありき」の使い方としてよく耳にする「お客様ありき」という言葉で考えると、「お客様が前提にあり、そのおかげで商売が成り立っている」という意味になります。

古語では「歩き回ること」を意味する場合も

古語では「ありき」に「歩き回ること」という意味が込められています。古い時代の言葉であり、現代では使われていません。古文や古典では様々な古語が出てくるため、「歩き回ること」を意味する「ありき」も覚えておくといいでしょう。

「ありき」の類語は”前提”や”念頭”など

「ありき」が現時点で「ある」ことを表す場合、「前提」や「念頭」が類語となります。「事を成り立たせるための前置き」を意味する前提。例えば、「読者ありきで執筆作業を行っている」という例文に類語である「前提」を使うと「読者がいることを前提に、執筆作業を行っている」となります。

もう1つの類語「念頭」は「胸の内」を意味する言葉です。上記の例文に「念頭」を当てはめると「読者がいることを念頭に置いて執筆作業を行う」となります。

誤用を防ぐ「ありき」の使い方とは?

未確定なことに「ありき」は誤用

「ありき」は過去に「あった」ものと、現時点で「ある」ものに対して使うことを説明しました。未来を想像して「あるだろう」ものに使用するのは誤用であると言えます。

例えば「予算については来年の売上高ありきで決めればいいだろう」という例文だと、来年の売上高というのは未来の確定していないものであるため、「ありき」を付けるのは誤りであると言えます。

誤用ではあるものの、ビジネスシーンでの会話で未来を予想して「ありき」が使われるのも事実です。「ありき」の正しい使い方を知っている人からすると、違和感のある日本語となってしまうため、注意してください。

お客様を前提とした「お客様ありき」

「ありき」を使った言い回しの1つが「お客様ありき」です。「お客様がいる」ことを表しており、「商品やサービスを買ってくれるお客様がいるから、ビジネスが成り立っている。そのため、お客様を第一に考えよう」という解釈の仕方もあります。

結論がすでに決まっている「結論ありき」

「ありき」を使った言葉でよく耳にする「結論ありき」という言葉。結論とは議論をした結果として出るものですが、「結論ありき」はすでに結論が出ている状態を意味します。「結論ありきの議論」となると、「結論が決まっているうえで形式のみの議論を行う」と捉えられます。

例えば、「結論ありきの議論などやらない方がましだ」という例文では、「結論がすでに決まっている議論などやらない方がまし」という意味となります。マイナスなイメージを持つ批判的な文章にも使われるため、使用する場合は注意してください。

「ありきで考える」とは何かを前提に考えること

現時点で「ない」ものや事を、「ある」と仮定して考えることを意味する「ありきで考える」という言葉。本来「ありき」は、「過去にあった」や「現時点である」ものや事に対して使われるため、「ある」と仮定している「ありきで考える」は誤用となります。

誤用であるものの、ビジネス会話や日常会話でも「ありきで考える」は使われているのも事実です。「ありき」の意味をしっかりと理解している人からすると、おかしな言い回しと捉えられることもあるため、特に丁寧な日本語が求められるビジネスシーンでは使用しない方がいいでしょう。

「ありき」を使った例文とは?

「結論ありき」の例文

結論がすでに決まっていることを意味する「結論ありき」という言葉。例えば、「結論ありきの話し合いで、何が生まれると言うのか」という例文だと、結論は元々決まっているのだから、話し合いは無駄という意味になります。

「他人ありき」の例文

「他人がいる」ことを意味する「他人ありき」という言葉。例えば「他人ありきで自分の存在意義を見出している」という例文だと、「他人がいることにより、自分の存在意義を見出している」という文章となります。

まとめ

「ありき」とは「過去にあった」ものや、「現時点である」ものに対して使われます。古典や古文では、古語の1つとして「歩き回ること」を意味する言葉でもあります。未来を想定して「あるだろう」ものに使われることもありますが、本来は誤用であるため使用しない方が良いでしょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。