「御用達」の意味と読み方!「宮内庁御用達」とは商人のこと?

「御用達」という言葉を正しく読んで、使うことができていますか?今回は「御用達」という言葉について解説します。「御用達」の読み方や意味、さらには街中やテレビで時々見かける「宮内庁御用達」の本当の意味などについてもお伝えしますので、ぜひこの機会に「御用達」を正しく使えるようにマスターしておきましょう。

「御用達」とは?

「御用達」の意味は”お気に入りの”

「御用達」の意味は、”お気に入りの”です。現代では主にこの意味で使われることが多く、誰かがその品や店、またはメーカーなどを気に入っていることを「○○さん御用達の店」などと表します。「御用達」は読み方だけでなく意味も時代と共に変化しました。

読み方は「ごようたし」「ごようたつ」

「御用達」という言葉は読み方に迷いやすく、意見が分かれるところです。現代での主な読み方は「ごようたし」であり、辞書などにも記載されています。

しかし元々は「ごようたつ」または「ごようだち」と読まれていたこともあり「ごようたし」ごようたつ」「ごようだち」のどの読み方でも間違いではありません。

「ごようたし」という読み方は誤用ではない

中には元々の読み方である「ごようたつ」または「ごようだち」を推奨している書籍などもあり、「ごようたし」が誤用だと認識している方もいます。

確かに「ごようたし」という読み方が誤っていると言われていた過去もありますが、「御用達」に限らず言葉は使い続ける内に読み方や意味が変化することが多いものです。「御用達」もそのひとつであり、現代では「ごようたし」という読みが正しいとされています。

由来は「特定官庁に出入りする商人」

「御用達」の元々の意味は現代のような「お気に入り」というニュアンスのものではありませんでした。元々は「特定の官庁に出入りする商人」のことを指しており、現代のように品や店について「御用達」という言葉が使われることはなかったのです。

特定の官庁とは、主に宮内庁を指していました。1954年以前の宮内庁では出入りする商人が認可制であり、宮内庁が品や商人そのものを認めた場合にしか出入りができなかったと言われています。この宮内庁に認可をされた商人のことを「御用達」と呼びました。

しかし1954年に宮内庁の商人に対する認可制度が廃止され、それ以降は厳密に言えば「宮内庁御用達」はなくなっています。現代で「宮内庁御用達」と謳っている商品や店は、歴史を遡ると宮内庁御用達がいた、または現代の宮内庁で同じ商品を使っている、のいずれかです。

「御用達」使い方とは?

「芸能人御用達」は有名人のお気に入り

「御用達」という言葉はさまざまなところで使われていますが、基本的には「○○が気に入っている商品、または店」という意味で使われます。商品や店を紹介するときなどに使われることが多く、自分がその商品や店を自信を持って紹介する理由として「○○御用達の品」「○○御用達の店」などと言います。

テレビなどで話題のお店や商品が紹介されるときにも「芸能人御用達」などが頻繁に使われており「芸能人も気に入るようなおいしい食べ物」「芸能人も気に入ったサービス」ということを宣伝文句としています。

「御用達のお店」は位の高い人が贔屓にしているもの

「御用達」という言葉は宮内庁や芸能人以外でも使うことができます。身近な人や直接ではなくても知っている方が贔屓にしている品や店について「○○さん御用達」という言い方をします。

「御用達」という言葉には「御」という高い位を表す言葉が入っているので、基本的には自分や自分の身内、同僚や部下が贔屓にしているものについては使いません。しかし、そこを敢えて使うことで少し冗談っぽく親しみを込めて商品や店を紹介することもあります。

「御用達」を使った例文

「御用達」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「会長御用達の和菓子を買って参りました」
  • 「この○○は宮内庁御用達として有名です」
  • 「○○様御用達と聞いて早速私も購入いたしました」
  • 「雑誌で話題のモデル御用達コスメ」
  • 「ここは社長御用達の店です」

「御用達」の類語とは?

類語①「行きつけ」は気に入って通う様子

友人同士や上司などとの会話の中で「御用達」よりも気軽に使えるのが「行きつけ」です。「行きつけ」は主に「店」に対して使います。商品や品物に対しては使いません。

「今日の店は私の行きつけでして」「課長の行きつけと聞いています」などと使うことで、暗に「だからきっと気に入ってもらえると思います」という、お勧めをする気持ちを込められます。

ただし「行きつけ」という言葉には「御用達」の「御」のように、敬意を表す言葉が含まれていないので目上の方の行きつけの店に対して使う場合は「○○様がよくいらっしゃる」など他の表現を使った方が良い場合もあります。

類語②「お気に入り」は好んで使っているもの

一般的に自分や他人が好んで使う物や、好んで通う店を「御用達」と言いますが相手との関係や立場によっては少し大げさに感じやすいものです。

その場合はシンプルに「お気に入り」という言葉を使うこともできます。「ここの○○が私のお気に入りです」「○○部長のお気に入りの店はここです」など、商品や店などに使うことができます。

自分が気に入っているものについて「お」を付けるのは、本来であれば誤った使い方ですが「お気に入り」については相手と気軽なコミュニケーションが取れる場合は一般的によく使われています。「お」を付けずに同じ意味を言葉にしたいのであれば「私が気に入っている○○です」などが良いでしょう。

類語③「贔屓」は物だけでなく思い入れもある

自分や他人が気に入っている物や店のことを表す言葉に「贔屓(ひいき)」があります。「私はここを贔屓にしています」「社長がご贔屓にされている店」「○○様ご贔屓の品」など幅広く使うことができます。

「贔屓」という言葉は、物や店の良さが気に入っているというだけでなく、その品や店、あるいはチームや団体などその人にとっての思い入れがあるもの全般に使うことができます。

「贔屓にしている」「贔屓にされている」「ご贔屓の」「ご贔屓にされている」など、言葉のバリエーションも豊富なので、状況に合わせて使うことができます。

まとめ

「御用達」という言葉は聞く機会はあっても、自分が使うことがあまり無い言葉かもしれません。しかし誰かに何かを紹介するときや、自分が確かな物や店を選びたいと思っているときにはとても心強い言葉です。自分が日頃愛用している物や店を思い浮かべて、それが自分の御用達であるかと考えてみると「御用達」が持つイメージを実感することができるかもしれません。