「懸念が生じる」や「懸念がある」などの使い方をする「懸念」という言葉。「不安」を意味する言葉ですが、ただ単に不安がる様子を表しているというわけではありません。「懸念」の意味と正しい使い方、類語との違いを紹介するので参考にしてください。
「懸念」の意味と読み方とは?
「懸念」の意味は”気にして不安がること”
「懸念」の意味は、”気にして不安がること”です。気がかりで心から離れない様子を表す時に使われます。単に「心配な様子」や「不安な様子」を表しているのではなく、まだ起きていない未来の事柄に対し心配する状況で使ってください。
例えば、「自分の将来を懸念する」という文章だと、将来に対して不安を感じている様子を表していることになります。
「懸念」の読み方は”けねん”
「懸念」の読み方は”けねん”です。「懸念」の「懸」という漢字は、「けん」とも読めるため、「けんねん」と言い間違えないよう注意してください。
「懸念」の使い方とは?
不安な点を意味する「懸念事項」
気にしている事柄や不安な点を意味するのが、「懸念事項」という言葉です。ビジネスでのかしこまったシーンでも使用され、敬語表現を加えることで目上の人へ使えます。単に「心配事」や「不安な点」で「懸念事項」を使うのではなく、未来に起こるかもしれない不安な点を表す状況で使用してください。
不安な気持ちを持つという意味の「懸念を抱く」
心の中に不安な気持ちを持つことを意味するのが、「懸念を抱く」という言葉です。「抱く」の読み方は「いだく」であり、「懸念をだく」ではないため注意してください。
例えば、「日本経済に関するニュースを目にするたび、将来への懸念を抱いてならない」という文章。上記の例文では、「日本の経済のニュースを見るたびに、日本の将来に対する不安を感じている」という意味になります。
不安が生まれることを意味する「懸念が生じる」
「懸念」の使い方の1つに「懸念が生じる」という言葉があります。「生じる(しょうじる)」は、新しく生まれることを意味しており、「懸念が生じる」は「不安な事や心配事が新しく生まれる」という意味になります。
かしこまったシーンでは「懸念が生ずる」と表現することもありますが、意味に違いはありません。「生ずる」は古めかしい言い方となるため、堅苦しいと感じる場合は「生じる」を使用しましょう。
「懸念」を使った例文とは?
「懸念がある」の例文
「懸念」を使った言い回しの1つが「懸念がある」です。不安な気持ちがあることを意味しており、かしこまったシーンでも多く使われます。例えば、「新しい事業を始めるにあたり、様々な懸念がありますが、まずは行動しなければ始まりません」という例文。
上記の例文では、「新しい事業を始めるにあたり、色々と不安なことはあるだろうが、まずは始めてみよう」という意味になります。例文のように、敬語表現に変換することで目上の人へも使える文章になります。
「懸念点」の例文
「不安な点」を意味する「懸念点」という言葉。「懸念の使い方」でも説明した「懸念事項」と同じ意味を持ちます。例えば、「懸念点が解消されますよう、全力を尽くします」という文章。上記の例文では、「不安な点が解消されるよう、全力で対応する」という意味になります。
「懸念」の類語と対義語とは?
懸念の類語①「危惧」
心配し恐れることを意味する「危惧(きぐ)」という言葉。「懸念」の類語に当てはまり、恐れていることが起きないように願う、という意味も含まれています。類語ではあるものの、「危惧」の方は恐れている内容が具体的で、ハッキリしているという違いがあります。
例えば、絶滅するかもしれないと不安視されている動物を「絶滅危惧種」と表しますが、「絶滅懸念種」とは表しません。「ある特定の動物が、絶滅するかもしれない」という具体的な恐れであるため、危惧が使われています。違いを理解して使い分けましょう。
懸念の類語②「懸案」
問題視されつつも、解決できていない問題のことを意味している「懸案(けんあん)」という言葉。軽く悩む程度の問題ではなく、長期に渡り解決できずに悩み苦しんでいる様子から、「懸念」の類語に当てはまります。
類語ではあるものの2つには違いがあり、状況に応じて使い分ける必要があります。「懸念」は「恐れ、心から不安が離れない様子」を意味しているのに対し、「不安視されている問題そのもの」を意味しているのが「懸案」です。不安がる「様子や気持ち」を表しているのか、不安となる「問題」を表しているのかで、使い分けてください。
「懸念」の対義語は”放念”や”確信”
「懸念」の対義語となる言葉が、「放念」や「確信」です。「放念」は「気になっていることを忘れ、心にとめないこと」を意味しており、「確信」は「信じて疑わない様子」を意味しています。
「放念」を目上の人へ使用する場合、「ご放念ください」となり、「気にしないでください」という意味になります。ビジネスシーンでも使用されるため、覚えておくといいでしょう。
「懸念」の英語表現とは?
英語では「concern」
英語では「concern」が「懸念」を意味します。例えば「A matter of concern」だと、「懸念されること」を意味し、「I was concerned about that」だと「私はそのことを懸念していた」という過去の文章となります。状況に応じて使用してください。
まとめ
「不安がること」や「心配事が心から離れない様子」を意味する「懸念」という言葉。単に不安な様子を意味しているのではなく、起こるかもしれない未来の出来事に対して使います。類語には「危惧」や「懸案」が当てはまりますが、それぞれ少しずつ意味が異なるため、状況に応じて使い分けてください。