「ホワイトカラーエグゼンプション」とは?導入メリットや見直し法

「ホワイトカラーエグゼンプション」という言葉を聞いたことがありますか?ニュースや新聞など見聞きしますが、一体どのようなものなのでしょうか?

ここでは「ホワイトカラーエグゼンプション」の意味をはじめ、日本での提言の背景、ホワイトカラーそもそもの意味、導入の目的や対象者、メリット・デメリットもまとめています。早速、紹介しましょう。

「ホワイトカラーエグゼンプション」とは?

 

最初に、「ホワイトカラーエグゼンプション」の意味、「ホワイトカラー」そのものの意味や内容について紹介します。

「ホワイトカラーエグゼンプション」とは「労働時間規定の適用免除のこと」

「ホワイトカラーエグゼンプション(white collar exemption)」とは、アメリカを中心にヨーロッパで浸透している「労働」に関する制度の一つで、「ホワイトカラーの人たちに対し、労働時間規定の適用免除をすること」を意味しています。ちなみに「ホワイトカラーエグゼンプション」の「エグゼンプシ(exemption)」は「免除」のことです。

具体的には、労働規定や労働法などによる義務や法律の適用を免除するというもので、実際の労働時間に関わらず「成果に対して報酬が支払われるシステム」となります。

「ホワイトカラーエグゼンプション」の対象者は「年収900万円以上」

「ホワイトカラーエグゼンプション」の対象者は「年収900万円以上」です。一日8時間、週にすると40時間を超える勤務を行った時でも、「残業代は支払われない」ことになっていることが最も大きな特徴ですが、高収入と呼ばれる層に属する「知識作業労働者」だけに適用する制度となることに注目が集まっています。

「ホワイトカラー」とはアメリカで生まれた概念

「ホワイトカラー」の英語のスペルは「white collar」となり、意味は「白襟」となります。「ホワイトカラー」は、労働者の中でも事務系でワイシャツとネクタイ、スーツ姿で仕事をする人を指す言葉です。

「ホワイトカラー」という言葉は1950年代にアメリカで最初に提言され、世界に広まった表現の一つで、頭脳を使った仕事をメインにする事務職の人たちの多くが「白いワイシャツ」を着用していることから生まれました。

ちなみに「ホワイトカラー」に対して、肉体労働者を指す言葉が「ブルーカラー(blue collar)」です。作業の際に青色の服を着用していることが多いことが語源となっています。

「ホワイトカラーエグゼンプション」のメリットとデメリットは?

 

続いて、日本での導入が見送りになってしまった「ホワイトカラーエグゼンプション」のメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。

メリットは「成果に見合う報酬でモチベーションがアップする」

最も期待できるメリットは労働時間に対して報酬を与えるのではなく「クオリティーや成果に見合った報酬を受け取る制度」であることで、モチベーションのアップにつながることです。

ホワイトカラーの中には、規定の労働時間内でクオリティーをキープしながら効率よく仕事をこなし、定時で上がる人もいます。しかし、一方で「時間内で仕事を終わらせなくても、残業代が出る」という意識がどこかにあれば「効率」という点でのモチベーションが下がってしまうことも考えられるでしょう。

そういった点で「ホワイトカラーエグゼンプション」を採用した暁には「モチベーションのアップに貢献できる」ことが予想されるのです。

「ホワイトカラーエグゼンプション」のデメリットは「残業代がゼロ」 

「ホワイトカラーエグゼンプション」では、一部の労働組合から「反対」の声が強く上がりました。それは、どれだけ一生懸命仕事をしても結局「残業代が全く出ない」ということです。

経営者側の視点で言えば「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入で「残業代を削減」できますが、ホワイトカラーの人たちからは「残業代が出ないのだから、大量の業務量で効率性まで求めないでほしい」と言われるのがおちでしょう。経営者は「業務量」と「クオリティー」のバランスよい配分を改めて検討する必要が出てきます。

また、もう一つ見逃せないデメリットとして「過労死が自己責任になる可能性がある」ということが挙げられます。過労死の原因は個人でさまざまですが、最も多いのが「尋常ではない残業時間」です。この点がスッキリ改善してしまえば、どのような理由であれ「過労死」での認定が困難になる場合も出てくるでしょう。

「ホワイトカラーエグゼンプション」の提言と見直しついて

続いて「ホワイトカラーエグゼンプション」がどのように提言されたのか、内容の見直しを含め、実際に施行されたのかについて解説します。

日本では平成18年末に「ホワイトカラーエグゼンプション」が導入

アメリカや欧米ではすでに当たり前の概念のなっている「ホワイトカラーエグゼンプション」ですが、日本への導入については、平成18年末に経団連が導入を提言しています。働き方改革への強い意識の中、労働規制を統括する「厚生労働省」も日本への導入に前向きで、実際に閣議決定された新しい制度でもありました。

もちろん、日本でも労働環境の多様性や労働者のニーズ、そして仕事への価値観などを考慮した結果、雇用問題や労働法への規制緩和を目指し「ホワイトカラーエグゼンプション」への導入も目前とされていました。しかし、「過労死問題」や「家族団らんの時間」を考慮する意図も含まれていましたが、実際には施行にまでは至りませんでした。

「高度プロフェッショナル制度」として再提出/可決

「ホワイトカラーエグゼンプション」への導入ではさまざまな懸念点があり、法制化されることはありませんでしたが、働き改革法案で「高度プロフェッショナル制度」という姿に形を変え、2019年から施行されることになりました。

「高度プロフェッショナル制度」は「高プロ」とも呼ばれ、いくつかある労働に関する法律の中でも批判の多いものと言われています。対象者は1075万円以上の年収のる専門職です。

まとめ

「残業代ゼロ問題」や「過労死促進」などの問題を抱えながら、「ホワイトカラーエグゼンプション」は「高度プロフェッショナル制度」として再提出され可決されました。しかし、この制度を軸に、企業内では報酬に対する公平な「評価制度」の見直しが必須となることでしょう。

「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入では、世間の間で賛否両論の声が上がりましたが、現在では「ダラダラ残業」や「付き合い残業」といった流れを断ち切るためにも、まだまだ「ホワイトカラーエグゼンプション」から目が離せない状況です。