「いただけます」の意味は?「いただきます」との違いや使い方

「いただけます」という言葉を意識せずに使っているビジネスマンは多いのではないでしょうか。「いただけます」は、正しく決断や選択を相手に委ねる、配慮のある言葉です。今回はこの「いただけます」について解説します。「いただけます」の意味や「いただきます」との違いなどについてもご紹介します。

「いただけます」の意味とは?

「いただけます」の意味は”「できます」の敬語”

「いただけます」の意味は、”「できます」の敬語”です。「ご覧いただけます」「お使いいただけます」など、日常で頻繁に使われています。

「いただけます」はひらがなで書く場合は補助動詞としての役割をします。「ご連絡をいただけますか?」「お越しいただけますか?」など、メインとなる動詞を丁寧に表現する場合の言葉です。この場合の「いただけます」を自分や自分の身内に対して使うことはなく、相手への敬語として使うのが一般的です。

漢字の「頂けます」は”自分が食べる・飲む”という意味

「頂けます」と漢字で書くと「食べることができます」「飲むことができます」という意味となります。この場合の「頂けます」は「自分が食べる・自分が飲む」という意味なので、自分に対して使います。

「この水はきれいなので頂けます」「特にアレルギーはないので頂けます」など、食べたい・飲みたいという欲求よりも自分がそれを食べることや飲むことができるか否か、という判断の意味で使う言葉です。

「いただけます」と「いただきます」の違いとは?

「していただきます」は強制力を持つ

「いただけます」という言葉は補助動詞として使う場合、相手の行動について使います。「いただけます」と似た「いただきます」は相手へ行動をある程度強制する言葉です。「いただけます」が行動を起こすかどうかの判断を相手に委ねることに対して、「いただきます」は行動を起こすことをこちら側が決めています。

「ご出席いただけます」は出席するかどうかを決めるのは相手であり、基本的には出席も欠席も自由です。「ご出席していただきます」は出席をしてください、と言っているのと同じで基本的に欠席は認められないというこちら側の意思を相手に伝えています。

漢字の「頂きます」は「食べます」の意味

「頂けます」と似た言葉に「頂きます」があります。食事の始めに手を合わせて言う「いただきます」と意味は同じで、「頂きます」は「食べます・飲みます」という意味となります。「頂く」という言葉を動詞として使う場合は謙譲語なので、食べたり飲んだりするのが自分や自分の身内の場合にのみ使います。

自分や自分の身内以外の人が食べたり飲んだりする場合は、「召し上がる」という敬語を使うことが多いでしょう。

「いただけます」の用法と使い方とは?

「いただけますか」で疑問文に

「いただけます」という言葉は相手に「あなたは~することができます」と伝える言葉ですが、疑問形にして相手にその意思があるかどうかを確認することもできます。

「ご出席いただけますか?」と言えば「出席することはできますか?」と言っていることになります。これは相手が出席できるかどうかがわからないときに使える疑問文です。状況や相手との関係によっては、ある程度出席することがわかっていて、その確認、または「ぜひ出席して欲しい」という気持ちを表す言葉として使われる場合もあります。

「ご確認いただけますでしょうか」で依頼系に

相手に何かの行動を促すときに「~してください」という一方的な言い方をせず、「~していただけますか」と敢えて依頼系でお願いすることがあります。これは「ご確認いただけますでしょうか」「お名前をおっしゃっていただけますでしょうか」など、「確認する」「名前を言う」という行動をしてもらうことが決まっていても、相手に強要する言い方をしないというビジネスマナーのひとつです。

「いただけますようお願いいたします」は間違い

「いただけます」という言葉は「いただけます」または「いただけますか」「いただけますでしょうか」など、変化させることができますが、ベースとなっているのはすべて「判断は相手に委ねる」ということです。そのため「いただけますようお願いいたします」という使い方は誤りとなります。

相手に何かの判断をお願いしたい、何かを頼みたい場合は「~していただきますようお願いいたします」「~のほどお願い申し上げます」などが良いでしょう。

「いただけます」を使った例文

「いただけます」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「この席ではパソコンをお使いいただけます」
  • 「お電話はエレベーター前であればお話いただけます」
  • 「当日よりご利用いただけます」
  • 「このお店では新鮮な魚料理を召し上がっていただけます」
  • 「サンプルであればすぐにご覧いただけます」

「いただけます」の類語とは?

類語①「頂けますと幸いです」は相手に敬意が伝わる

相手に何かをお願いしたい場合は「いただけます」以外の言葉でも、気持ちを表すことができます。たとえば「頂けますと(いただけますと)幸いです」という言い方は大変丁寧で、相手への敬意が良く伝わる言葉です。ただし、相手の状況によっては意図に沿ってもらえない可能性もあります。

類語②「お願いできればと存じます」は大げさ過ぎない類語

「頂けますと幸いです」という言い方では、相手との関係上大げさ過ぎる場合も出てくるでしょう。その際には「お願いできればと存じます」に言い換える方法もあります。

「○○の件について、ご確認をお願いできればと存じます」などとすれば、大げさ過ぎることもなく、意図に添うかどうかの判断までも相手に委ねることにはなりません。

類語③「~してくださいませんでしょうか」は柔らかい依頼表現

「いただけます」という言葉を相手に投げかけることで、何かを依頼することがあります。「ご連絡をしていただけますか?」と言えば、それは暗に相手へ「連絡をしてください」と言っているのと同じです。そのため相手への配慮として、「ご連絡をしてくださいませんでしょうか」または「ご連絡をお願いできませんでしょうか」などと言い換えると良いでしょう。

まとめ

「いただけます」という言葉はとても便利に使える敬語です。そのためつい多用してしまって、ふとその使い方に疑問を感じることがあります。「いただけます」の使い方に自信がないときは、その「いただけます」が何に使われているのかを考えてみましょう。相手に決断や選択を委ねる場面であれば「いただけます」は概ね誤りなく使えるので、その点を基準に考えてみるとわかりやすいかもしれません。