様々な分野で使用される「ベンチマーク」という言葉。耳にしたことはあっても、詳しい意味は分からないという方は多いのではないでしょうか?ベンチマークの元の使い方である測量での意味に加え、自動車業界やIT業界、経営でのベンチマークの意味を説明します。

「ベンチマーク」とは?

「ベンチマーク」の意味は”測量の水準点”
「ベンチマーク」の意味は、”測量の水準点”です。
設定したベンチマークを基準とし、建物の位置や高さを決めていきます。建造物を作るときの基準となるベンチマークは、建設中や工事期間中に動く可能性のないポイントを設定します。すでに建っている建造物をベンチマークに設定しますが、周囲に建物が無い場合は杭をベンチマークに設定します。
「ベンチマーク」の使い方は各業界で異なる
元々は測量で使われていた言葉ですが、「基準となるポイント」という点が応用され、IT界や自動車業界など幅広い分野で使われています。
業界により、ベンチマークが持つ意味は少しずつ異なるため、各業界での意味を紹介していきます。
経営における「ベンチマーク」の意味と使い方とは?

ベンチマークとは「評価の指標」を意味
企業経営における「ベンチマーク」とは、会社の経営状態や業績を評価する際に、その指標として競合他社を基準に設定することです。ベンチマークに設定するのは会社だけでなく、マーケティング手法の場合もあります。
ベンチマークを利用して自社の課題や問題点を解決していく経営手法を特に「ベンチマーキング」と言います。
ベンチマークする対象は自社よりも優れた会社
他社をベンチマークに設定する場合は、自社よりも優れた会社を選ぶ必要があります。業績や評価の低い会社をベンチマークに設定し、比較したところで学べるものは多くありません。自社を客観的に評価し、成長へと繋げるために、自社よりも優れた会社をベンチマークに設定します。
- A社をベンチマークに、業務の効率化を図るのが今期の目標だ。
- EC展開を始めるにあたり、ベンチマークとしたのはB社だ。
IT業界における「ベンチマーク」の意味と使い方とは?

PCやスマホの性能を評価する「ベンチマークテスト」
IT業界では、製品の性能を比較・評価するため、テスト用プログラムを使って性能の評価を行います。このときのテストを「ベンチマークテスト」、テストの結果を「ベンチマークスコア」と呼びますが、これらを「ベンチマーク」と呼ぶことが多いです。
ベンチマークテストには、全体のパフォーマンスを総合的にテストするものと、CPUの処理速度、メモリのアクセス速度など特定の性能のみを対象としたものがあります。ベンチマークテスト用のソフトウェアは無料・有料があり、いずれもインストールして実行するだけで簡単にベンチマークスコアを測定できます。
ベンチマークスコアからCPUやGPUの性能を比較
パソコンやスマホでは、頭脳にあたるCPUの比較にベンチマークスコアが頻繁に活用されています。ベンチマークスコアを利用することで、異なるメーカーや世代間のCPUの性能比較を簡単に比較できます。
ベンチマークスコアは、目的に合った性能のパソコンを選ぶときにも役立つ数値です。例えば、特に高い描画性能が求められるゲームを快適に楽しみたいなら、GPU(グラフィックプロセッサ)のベンチマークスコアの高いものを選びます。
- ベンチマークテストを行ったところ、新機種は旧機種の1.5倍のスコアを叩き出した。
- GPUのベンチマークスコアが3000だと、そのゲームをプレイするには厳しいかもしれない。
自動車業界の「ベンチマーク」の意味と使い方とは?

完成度の高い車がベンチマークに
ITや経営の分野では「比較するための指標」としてベンチマークが使われますが、自動車業界では「目標」として使われ、意味が異なります。
ベンチマークに設定されるのは、完成度が高く、自動車を製造するにあたり目標となる車です。ベンチマークを超える高性能な車が作られ、その完成度が認められればベンチマークは更新されていきますが、歴代の人気車が変わらずベンチマークとされる例もあります。
自動車業界のベンチマークは曖昧
ベンチマークとなる「完成度の高い車」というのは、明確な定義がなく曖昧です。ベンチマークに設定する基準は、数字では定められておらず、自動車評論家による評価で決められることから、定義が無く曖昧なものとされています。
- フォルクスワーゲンのゴルフは、40年以上コンパクトカーのベンチマークとされている。
「ベンチマーク」の英語表現とは?

ベンチマークは英語で「benchmark」
ベンチマークを英語で表すと「benchmark」です。
「the benchmark of my companies」で、”自社のベンチマーク”を表現することができます。
まとめ
「ベンチマーク」は元々、測量での「水準点」を意味していた言葉です。現在は、自動車業界やIT業界、経営など様々な分野でも使われていますが、それぞれ意味や使い方が少しずつ異なります。正しく理解しておきましょう。