「単刀直入」とはビジネスシーンでも使う機会が多い四字熟語です。前置きを省いてすぐに本題から入ることを意味するため、会議などでも「単刀直入に言うと」という話の切り出し方をします。
今回は「単刀直入」の意味と由来、類語や対義語を解説します。また、目上の人・取引先などに対して使う際の注意点や英語表現も紹介します。
「単刀直入」とは?
「単刀直入」の意味は”前置きを省きすぐ本題に入る”
「単刀直入」の意味は、”前置きを省略してすぐに本題に入る”です。結論に至った経緯や理由・自分の考えなどを前置きとして述べるのではなく、すぐに要件や結論など本題を話すことを表す言葉です。
「単刀直入」の読み方は「たんとうちょくにゅう」です。
漢字違いの「短刀直入」は誤用
「単刀直入」を「短刀直入」と書くのは誤りです。「単刀」の「単」は「一(単)振り」を表しています。「短」の漢字を使うと「短い刀」となってしまい、言葉の意味を成さなくなります。
「単刀直入」の由来は”一振りの刀を持って敵に突入する”
「単刀直入」の由来は、中国の宋の時代に記された書物「景得伝灯録」です。「単刀」は「一(単)振りの刀」、「直入」は「直接入っていく」をそれぞれ意味します。
本来「単刀直入」は、「一振りの刀を持って一人敵の中に突入する」との意味合いを持つ言葉でした。
「単刀直入」の使い方と例文とは?
「単刀直入」は本題から話したいとき・聞きたいときに使う
話を本題からはじめる場合には、「単刀直入」であると相手に先に伝えておくことが、円滑なコミュニケーションにつながります。
ビジネスの場では、結論など本題のみを求める相手もいれば、プロセスや考えなど前置きを重要視する相手もいるので、あなたが今からどのように話すつもりであるのかを相手に最初に理解してもらうことは重要です。
また、相手の話で本題のみを聞きたいときにも「単刀直入に言ってください」と最初に伝えておくことで、相手からスムーズに本題を聞き出すことできます。
目上の人や外部の人に「単刀直入」を使う場合は「敬語」も使う
目上の人や外部の人に「単刀直入」の言葉を使う場合は、敬語をあわせて使うようにしましょう。「不躾ながら」や「恐れ入りますが」などをあわせて使うことで、前置き抜きで結論に入ることの違和感や、話す内容によっては無礼と感じることを和らげるクッションの役割を果たしてくれます。
「単刀直入」を使った例文
「単刀直入」を使った例文をご紹介しましょう。
- 単刀直入に申し上げてもよろしいでしょうか?
- 不躾ながら単刀直入にお伺いしますが、お値引きの件はどのような結論になりましたでしょうか?
- 会議の時間が押しているので、各自報告は単刀直入に済ませるよう心がけてください。
「単刀直入」の類語とは?
「単刀直入」の類語は”端的・手短に”
「単刀直入」の類語は「端的に」「手短に」があります。「端的」は「手っ取り早い」を意味する言葉で、「端的に言うと」と言う表現があります。これは「単刀直入」同様「すぐ用件に入る」意味を持ちますので、議論や話をはじめる際の前置きとして使われる場合が多い言葉です。
「手短に」は「簡潔に」の意味です。「手短に話す」は「簡潔に話す」ことを意味します。「単刀直入」は前置きを省き早く話に入るという意味で使いますが、「手短に話す」は話の全体を通して要点だけに絞りムダな話をしないという意味になります。
「単刀直入」と「率直」は意味が異なる
「単刀直入」と「率直」はどちらも「はっきりと結論を述べる」と言う点から近い言葉となりますが、それぞれで異なる意味を持つため、意識して使い分けるようにしましょう。
「単刀直入」は回りくどい話をせずにすぐ結論に入ることを指していますが、「率直」は遠慮や気遣いをせずに自分が感じたままの意見や感想を述べることを指しています。
「単刀直入」の対義語とは?
「単刀直入」の対義語は”回りくどい・遠回し”
「回りくどい」は「話が回りくどい」「回りくどい表現」などと使われる、マイナスの印象を持つ言葉です。「単刀直入」がすぐ本題に入るのに対し、「回りくどい」はなかなか話の本題に至らず結論が見えづらいことを指します。
「遠回し」とは、相手に言いにくいと感じた内容を、そのまま話すのではなく、相手が気づくように別の表現や近い表現で伝えることを意味します。「単刀直入」が内容をずばり伝えているのに対し、「遠回し」は最終的に結論が伝わらないままの恐れがあります。
「単刀直入」の英語表現とは?
「単刀直入」の英語表現は”cut to the chase”
「単刀直入」を英語で表現する場合は、「要点を早く言う」の意味を持つ「cut to the chase」という表現を使います。「cut」は「切る」「削除」を意味する動詞で、「chase」は「追跡」や「探し求めるもの」の意味を持つ名詞となります。
「Cut to the chase」「Let’s cut to the chase」のフレーズは、相手に対して早く要点を言うように促す時に使う表現です。
一方自分が要点から話しはじめるときには、「Let me cut to the chase」のフレーズを使うことで、「要点からお話しします」と前置きを述べることができます。
まとめ
「単刀直入」は、前置きを省略してすぐ本題に入るという意味を持つ言葉です。話をはじめるときに使うことで、ビジネスの場や日常会話の中において、本題をより際立たせ前置きなしでもコミュニケーションを円滑に進めることができるメリットがあります。
ただし、前置きがないと相手に不快な思いや誤解を与えてしまう内容もあるでしょう。適切に使うとともに、そもそも「単刀直入に」話すべき内容であるのかを考えることも大切です。