「招聘」という言葉をご存知ですか。ビジネスでは「招聘状」が必要になることもあります。よく使う言葉ではないので、初めて見ると戸惑ってしまうかもしれません。今回は「招聘」の意味や「招待」「招請」との違いを紹介します。また、ビジネスで使う「招聘状」についても解説しているので参考にしてください。
「招聘」とは?
「招聘」の意味は”丁寧に人を招く”
「招聘」の意味は、”礼儀を尽くして、丁寧に人を招くこと”です。多くの場合、「招聘」が使われるのは「地位や待遇を用意して来てもらうとき」です。
「招聘」を使う場面は、人を招く側が目上の人で、招かれる側が目下です。例えば、サッカーの監督が海外で活躍している日本の選手を日本代表として招くときに、「監督が選手を招聘する」と使います。
「招聘」の読み方は”しょうへい”
「招聘」の読み方は”しょうへい”です。「招」は、「招く」という漢字で、「招待」や「紹介」と同じく「しょう」と読みます。
「聘」は、常用漢字ではないので、目にする機会が少ないでしょう。新聞などでは「招へい」とひらがなで表記されています。
「聘」は「礼を厚くして人を招く」という意味と「礼を厚くして他国を訪れる」という意味があります。また、「訪問するときの贈り物」の意味もあります。
スポーツ選手や教授、研究員などを招くときに使う
「招聘」は目上の人が目下の人に、地位や待遇などを用意して来てもらうときに使う言葉です。スポーツ選手が監督に招聘される例をお伝えしましたが、その他にも、大学などが大学教授や研究員を招聘することもあります。
「招聘」と「招待」と「招請」の違いとは?
「招聘」「招待」「招請」は、どれも「招」という漢字が含まれた言葉です。すべて「招く」という意味の言葉ですので、場面に応じて使い分けが必要です。ここでは「招聘」と「招待」と「招請」の違いを紹介します。
「招聘」と「招待」の違いは”立場”
「招待」とは、「客を招くこと」や「招いて、もてなすこと」という意味の言葉です。「招聘」のように「礼を尽くす」という意味は含まれておらず、広範囲で人を招くことを指しています。
「招聘」は、目上の人が目下の人に地位や待遇を用意して招くという、限定的な場面を表していますが、「招待」は立場にかかわらず使うことができます。
「招聘」と「招請」の違いは”お願い”
「招請」とは、「頼んできてもらう」という意味の言葉です。「請」は「要請」や「請求」などで使われるように、「お願い」や、何かを「頼む」という意味の漢字です。
「招聘」は、「礼を尽くして招く」という意味ですので、「頼む」という意味は含まれていません。「お願いする」「頼む」という状況のときには「招請」を使い、「礼を尽くす」ときには「招聘」を使います。
「招聘状」とは?
「招聘状」はビザ取得審査で必要になる招待状
「招聘状」は、「招聘」する目上の人が、「招聘」される目下の人に宛てて書く招待状です。招待される人が所属する会社などに宛てて書かれることもあります。
主に、ビザ取得に利用されており、「招聘理由書」と呼ばれることもあります。「招聘状」には、招聘する理由や、そこに至った経緯などを書くのが一般的です。
「招聘状」や「招聘理由書」の書き方
「招聘状」の書き方に決まりはありませんが、ビザ取得の審査で使いますので、以下の内容は最低限忘れずに記入しましょう。
- 招聘する人の住所・氏名・連絡先・会社の場合は会社の情報
- 招聘される人(ビザを申請する人)の国籍・職業・氏名・生年月日
- 招聘の目的・経緯
- 招聘する日時・場所
外務省のホームページでは「招聘理由書」がダウンロードできますので、「招聘理由書」が必要な方は利用するとよいでしょう。
「招聘状」の英語表現とは?
招聘状は英語で「invitation letter」
ビザの申請をするなど、「招聘状」は海外とのやり取りで使うことの多い書類です。「招聘状」の英語表記を覚えておきましょう。
招聘状は英語で「invitation letter」です。「インベーションレター」と呼び、略して「インビ」と呼ぶこともあります。
「invitation letter」に使っている「invitation」は「招聘」という名詞です。「招聘する」と動詞で使う場合には、「invite」か、「地位を提供する」という意味の「offer a post」を使います。
まとめ
「招聘」は「しょうへい」と読み、「礼を尽くして、丁寧に人を招く」という意味です。多くの場合、目上の人が目下の人に対して、地位や待遇などを用意して招くときに使います。似ている言葉である「招待」は、目上などの立場に関係なく、幅広く人を招くときに使うことができ、「招請」は、お願いして来てもらうときに使います。海外の人を招聘するときには、ビザの申請のために「招聘状」が必要になることもあります。英語では「invitation letter」といいますので覚えておくとよいでしょう。