「○日以降」と言われたとき、その当日の「○日」を含むのか含まないのか…、正しく判断することができますか?今回は「以降」という言葉について解説します。「以降」の意味や使い方や、「以降」が示す範囲のほか、違いがわかりにくい類語の「以後」、対義語の「以前」についてもご紹介しましょう。
「以降」とは?
「以降」の意味は”それより後”
「以降」の意味は、”それより後”です。日常のさまざまな場面で使われており、「○日以降」「○時以降」「○月以降」など、年・月・日・時間を表す場合に使います。
クライアントとの約束のときなどに、先方から「○時以降であればいつでも結構です」などと言われることもあります。その場合は「○時より後ならいつでも結構です」と言われているのと同じと判断することができます。
辞書で「以」は「使う」という意味
「以降」という言葉は、ある時よりも後ということを表しますが、これは「以」という文字がポイントです。「以」という文字には「使う」「用いる」という意味があります。
さらに「降」には「後(のち)」という意味があるので、「以」と「降」を合わせると「あるときから後、かつ、そのあるときは用いる」となり、「○時以降」であれば「○時」も含まれることになります。
「以降」は当日を含む?含まない?範囲と使い方
「○日以降」は○日も「含む」
「以降」という言葉を使うときに気になるのが「当日は含まれるのか」ということです。「以降」は「以」という文字の働きで当日も含む表現なので、「12月31日以降」であれば12月31日は含まれます。
こちらが誰かに日時を指定する場合は、自分の都合が5月1日から良くなるのだとしたら「5月1日以降」と伝えることで、相手は5月1日を含めたそれ以降の日にちを検討することができます。
反対に自分が相手から「5月1日以降」と指定されたのであれば、5月1日を含むそれ以降の日にちの中から相手に予定を合わせることができるのです。
「以降」を使うときは「いつまで」が範囲なのかを設定する
「以降」という言葉は、「それから後」という意味なので「いつまで」という期限を設定しなければいつまでも「以降」の期限内となってしまいます。たとえば提出物などを期限付きで回収したい場合は「今日以降、3月31日まで」など、締め切り日の設定が必要です。
ちなみに「まで」は基本的に当日を含みません。「31日までに」とすれば「31日よりも前の日」までに提出していなければならないことになります。「31日」も締め切りに含みたい場合は「31日中」などとすると当日の提出も可能という意味にできます。
「以降」を使った例文
「以降」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「前回の会議以降、社内でアンケートを実施しています」
- 「8月10日以降の申込みのみ、受付させていただきます」
- 「弊社は午後7時以降は施錠しております」
- 「2010年以降、新入社員は採用しておりません」
- 「今回の決定以降、役員も朝礼に参加することになりました」
「以降」の類語とは?
以降の類語①「以後」
「以降」にはいくつか似た言葉があります。その中でも、特に「以降」と意味が混同しやすいのが「以後」です。「以後」も「以降」と同じで、当日を含んだ「それから後」という意味を持っています。
「以降」と「以後」の違いは”基準とする日”
「以降」と「以後」の違いは、どの日が基準となるか、というところです。以後は「今から後」という意味になります。たとえば、「以後気を付けてください」と使われる「以後」は、「今この瞬間から後」というニュアンスで使われます。「以降」のように過去や未来の日時を境にした後という意味ではほとんど使われません。
以降の類語②「以来」
「以降」や「以後」と似た意味を持つのが「以来」です。「前回の出場以来、姿を見せていない」などと使われる「以来」は”その状況が過去から現在も続いている“という状況を表します。そのため「以来」という言葉が、「来週月曜以来」など未来に使われることはありません。
一方で「先月以来顔を見せていなかったが、昨日来た」など、過去の状況の説明としてだけ「以来」が使われ、その状況が現在は続いていないという場合に使われることもあります。
「以降」の対義語とは?
「以降」の対義語・反対語は”以前”
「以降」という言葉は、ある日時よりも後という意味です。反対語は「○日よりも前」を表す「以前」となります。
「以前」も「以降」と同じで、当日を含みます。たとえば「7月5日以前」であれば7月5日も含まれるということです。契約や申込の締め切りなどを知らせる文書に使われていることが多く、「以前」の解釈を誤ると思わぬトラブルの元になることがあるので注意しておきましょう。
まとめ
「以降」という言葉は、頻繁に耳にする割には厳密に「いつから後なのか」という部分が明確になりにくいものです。「以降は当日も含んだそれより後」と覚えておけば、間違わずに「以降」を使うことができます。この機会に「以降」の意味と使い方をマスターして、間違いのない伝達ができるようになると良いですね。