「あります」の敬語とは?正しい使い方や「ございます」との違い

「あります」という言葉の敬語について疑問を感じたことはありませんか?今回は「あります」の敬語や、使い方、「ございます」との違いなどについて解説します。間違いやすい「あります」という言葉の意味や、「あります」を使った例文などもご紹介します。ぜひこの機会に「あります」の使い方を見直してみてください。



「あります」が持つ2つの日本語の意味

「あります」は漢字の「有る・在る」の丁寧語

「あります」という言葉が持つ、1つ目の意味は「ここにこれ(物)が有る」という物の存在と、「ここに誰が(人)が在る(ある・いる)」という人の存在です。そしてこの「あります」という言葉は言葉の分類では「丁寧語」に属します。

丁寧語とは「電話」を「お電話」、「連絡」を「ご連絡」というのと同じで、言葉をきれいにする「美化語」です。相手に対して「少しでも美しく聞こえる言い方を選ぶ」という気持ちを表したいときに「丁寧語」が使われます。

物と人は一見、まったく違う存在のように見えますが「そこに存在している」という意味での丁寧語は同じ「あります」です。

補助動詞としての「です」「います」の意味

「あります」が持つ2つ目の意味は、状態や状況を表す場合の補助動詞です。「彼は学生であります」「窓を開けてあります」など、主となる内容を補助する役割を「あります」が担います。

この場合の「あります」は「有る・在る」のときの丁寧語としての役割よりも、敬語に近い役割をしており、「~であります」と言うととても丁寧な印象を持った言葉になります。日常生活で使われるよりは、格式の高いフォーマルな場面や、規律を重んじる場所などで多く使われている言葉です。

「あります」の敬語

目上の方やお客様に対しては「ございます」を使う

「あります」という言葉は丁寧語として頻繁に使われています。決して乱暴な言葉ではありませんし、文法的に誤りもない場合がほとんどです。しかし、相手が目上の方やお客様など、より丁寧な表現を使いたい場面では「ございます」が使われます。

「ございます」も丁寧語ではありますが、謙譲語としての役割も持っているので、相手に対してへりくだっている様子をわかりやすく表すことが可能です。「ここに書いてございます」「あちらにございます」などとすることで、「あります」を使うよりも相手を敬っている様子を伝えることができます。

「あります」も「ございます」も示している内容に変わりはありませんが、どちらの言葉を選択するかで、相手に対する丁寧さに違いが出てくると言えるでしょう。

「在ります」の敬語は「いらっしゃる」

「あります」が持つ意味の1つに、人の存在を示す「在ります」があります。この場合の「あります」は丁寧語なので、自分や自分の身内の存在を示す場合に用います。「在ります」は口語的には「おります」と発音されることがほとんどで「私は今、会議室におります」「弊社部長の○○は出張に出ております」などと使われます。

この場合の「おります」を敬語にすると「いらっしゃる」となります。目上の方の存在を示す場合は「○○様はロビーにいらっしゃいます」「課長は休憩室にいらっしゃいました」など敬語を使って表すのが一般的です。

「有ります」に敬語表現はない

「あります」が持つ意味の中で、物の存在を表す「有ります」は相手が目上の方であっても「あります」または「ございます」しか使いません。これは「有ります」には敬語表現がないためです。

物は人と違って、物自体を敬うということがありません。物は「有る」または「有りません」「無い」という言葉でその存在を表します。

ちなみに、自分のことや自分の身内のことを「○○でございます」というのは「ご注文のコーヒーでございます」「ご依頼の契約書でございます」などと同じで、「私(またはその身内)は物と同等のようなものです」という意味で「ございます」を使っています。

「あります」の使い方と用法

「~に~があります」で物の存在を示す

物の存在を示すときの「あります」は何気なく使っているようで、直前に来る助詞によって微妙に意味が異なります。

たとえば「~に~があります」という言い方は、物の存在とその場所を同時に示す表現です。丁寧に表現したい場合は「~に~がございます」などとすれば相手に失礼がありません。

「~に~はあります」で存在を強調する

物の存在を示す言い方では、時に「それなら有る」と、その物を強調することもできます。たとえば、AとBという2つの物を探していて「倉庫にAはあります」と言えば、同時に「でもBはありません」と言っているのと同じです。一言で特定のものだけの存在を相手に伝えることができます。

この場合も、相手に丁寧に伝えたいのであれば「~に~はございます」、さらにその物だけの存在を強調したい場合は「~に~ならございます」「~に~だけはございます」など、他の言葉と組み合わせて使うこともできます。

「~は~にあります」でその物がある場所を示す

物の存在を表すときに、その物よりも、その物が存在している場所を強調したいことがあります。たとえば、人にその物がある場所を聞かれたときなどです。「~は~にあります」と言えば、場所が伝わるだけでなく、その物についても言葉にすることで、双方が認識している物が共通しているということを確認することもできます。

「Aという本は本棚にございます」など「ございます」を使えば、相手が目上の方であっても失礼がありませんし、「Aという本」という部分を復唱していることでお互いの認識を無意識にすり合わせることもできます。この認識のすり合わせを含めた返答をすることも、目上の方へのビジネスマナーのひとつです。

「ありますか」は「ありますでしょうか」「ございますか」で丁寧に

自分が相手に何かの有無を確認したいときにも「あります」を使うことができます。たとえば「この日は何かご予定がありますか」などとすれば、相手のその日の予定の有無を伺うことができます。

「ありますか」でも良いですが、丁寧な口調にしたいのであれば「ありますでしょうか」も良いでしょう。「ありますか」よりも「ありますでしょうか」の方が、言葉の音がやわらかく、相手にプレッシャーを与えにくくなります。さらに「ありますでしょうか」を「ございますか」「ございますでしょうか」にすることで、目上の方へ相応しい言葉とすることができます。

「~でありますように」は希望を表す

「あります」を物の有無ではなく、補助動詞として使うときに「こうであってほしい」など、自分の希望を表すこともあります。たとえば「今年は良い年でありますように」などです。これを目上の方へ向ける場合には「~でありますよう、お祈り申し上げます」など別の言葉と組み合わせて、自分の希望を伝えます。

「あります」を使ったメール例文

  • そのデータはAというフォルダにあります
  • ここにありますのは今回の配布分です
  • そうではありますが、まだ検討する必要があると思います

まとめ

「あります」という言葉は何気なく使ってはいるものの、ふとしたときに使い方に疑問を覚えやすいものです。「あります」が持つ意味や、言葉の役割を知ることで「合っている、間違っている」という判断がしやすくなるでしょう。この機会に日頃使っている「あります」を振り返ってみて、より適した言葉がある場合は言い換えるように意識してみると良いかもしれません。