「ストレスチェック制度」とは?目的や実施者の義務と導入方法も

多様なライフスタイルや複雑な職場環境など、従業員がストレスを抱える要因はいくつかあります。しかし、企業は目に見えない「ストレス」をどうやって認識し、対応していくことができるのでしょうか?

ここでは「ストレスチェック制度」の概要を中心に、導入の背景と目的、実施者(事業者)による導入方法を解説しています。今こそ、企業の課題でもある「メンタルヘルス」に注目する時です。



「ストレスチェック制度」とは?

早速「ストレスチェック制度」の概要との施行までの背景から解説します.

「ストレスチェック制度」は「心理的負担を把握するための検査」

「ストレスチェック検査」とは「心理的負担のレベルや内容を把握するために。労働者に対して実施されるメンタルヘルス・チェックのこと」です。ストレス制度実施マニュアルやストレスチェックシートなどを使用しながら、労働者のストレスレベルの実態を把握していきますが、実施の対象は従業員50名以上の事業所で年一回となります。

「ストレスチェック制度」が施行された背景

複雑な人間関係、避けられない残業、時間に追われた職場生活、同僚との成績争い、厳しいノルマ…。職場では至る所に「ストレス」となるべき要因が存在しています。将来への強い不安感や私生活での悩みなどを含め、労働者の50%以上が「ストレス」を抱えていると言われていますが、この「ストレス」が引き起こす問題は、企業内だけではなく、大きな社会問題であるとも指摘されています。

近年ではメンタルヘルス全般において不調を訴える人が増加しており、「ストレス」は職業や職種、役職や年齢に関わらず深刻化しています。この背景を受け「ストレスチェック制度」は成26年6月に公布され、平成27年12月に施行スタートとなりました。

「ストレスチェック」の実施者は事業主

「ストレスチェック制度」を実施するのは企業や組織などの「事業主」です。労働者のメンタルヘルスの促進と労働者が抱えるストレスへの気付きを促進するために、事業主は責任を持って「ストレスチェック」を実施をしなければなりません。

「ストレスチェック」は事業主の義務でもある

「ストレスチェック」の実施者は事業主となりますが、併せて「ストレスチェック」の導入と実施については事業主の義務となります。労働者が元気に働くことができる職場を維持するためにも欠かせない項目とも言えるでしょう。

「ストレスチェック制度」の目的と導入の仕方は?

続いて「ストレスチェック制度」の導入の仕方について紹介しましょう。

「ストレスチェック制度」の目的は「メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと」

「ストレスチェック制度」を導入する目的は「メンタルヘルスでの不調を未然に防止すること」です。ストレスは軽度のものから重度のものまでありますが、自分ではなかなか気付きにくく、また気付いていたとしても周囲に打ち明けることが困難であるのが現状です。

「ストレスチェック制度」を義務付けることで、事業主は労働者がどれだけストレスを抱えているかを把握できるのが最も大きな目的となりますが、ここをスタート地点とし、専門のカウンセラーからアドバイスを受けたり、仕事の量や方向性を修正したりすることも可能でしょう。

大切なのは、ストレスゲージが危険なレベルにならないうちに適切な対応をするということです。

厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」の入手する

「ストレスチェック制度」を正しく導入するために、厚生労働省が発行する「ストレスチェック制度実施マニュアル」を入手しましょう。ストレスチェックとは何なのか、いつまでに行えばよいのか、また導入に関する準備などがわかりやすく記載されています。下記にPDFファイルのリンクを挙げておきます。

厚生労働省「ストレスチェック制度簡単導入マニュアル」:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

「ストレスチェック」は「医師や保健師」に依頼する

まず、医師や保健師などに連絡をし、労働者に「ストレスチェック」の実施を依頼しましょう。医師や保健師はストレスチェックシートと呼ばれるチェック項目に従い、労働者の心理的負担のレベルを調べていきます。

「ストレスチェック」の結果は本人へ直送される

「ストレスチェック」が終わったら、結果は事業主ではなく「検査を受けた本人に直接送付」されます。たとえ事業主に「ストレスチェック」の義務があっても、検査を受けた本人の承諾なしに事業主に結果を提供することは禁止されています。

「ストレスチェック」の結果によって面接指導を実施

検査を受けた労働者は「ストレスチェック」の結果が一定の要件に当てはまる場合は、医師の面接指導を受けなければなりません。事業主は医師のアドバイスを受けながら、就業時間の短縮やタスクの見直し何など、就業における適切な対応を検討することが義務付けられています。

「ストレスチェック制度」のメリットは?

最後に「ストレスチェック制度」を導入するメリットを挙げてみます。

労働者はストレスの要因を事業主に伝えることができる

「ストレスチェック」を受けて医師との面接が必要になった場合、労働者は医師からのアドバイスをもとに、企業にストレスの要因となるものを軽減するように伝えることができます。これを受けて事業主は医師との面談をし、労働者のメンタルヘルス改善へと適切なアクションを起こすことが義務付けられています。

労働者から直接事業主に話をするわけではなく、認定を受けた医師や看護師が間に立ってヘルスケアへの改善を進めてくれるため、労働者が職場で立場上不利になることはありません。また、不利になるような行為は禁止されています。

事業主はストレスケアの促進で生産性向上が望める

事業主側から見て「ストレスチェック制度」の総合的なメリットは、労働者の心理的負担に気づくことにより、早めの対応ができるため、結果的に「生産性の向上」につながることでしょう。

「企業は人なり」という言葉があるように、労働者が健康で働ける職場は生産性が高く、職場に活気があるものです。「ストレスチェック」は「心理的負担の程度を図るためのツール」というだけではなく、ストレス改善への足掛かりとなる重要な取り組みでもあるのです。

まとめ

「ストレスチェック制度」は平成27年に施行が開始された「労働者のメンタルヘルス不調のレベルを知るための取り組み」の一つです。実施者は事業主で、医師や看護などを通して行うのが義務となり、対象は事業所の人数が50人以上で頻度は年一回です。

目に見えないストレスだからこそ、「ストレスの数値」を通して自身のストレスレベルを知ることはとても重要だとも言えるでしょう。事業主は労働者が「危険信号」を放つ前に「ストレス」の要因を把握しておくことが大切です。ぜひ、マニュアルに沿って「ストレスチェック」の準備を始めていきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。