「魑魅魍魎」の意味や類語とは?使い方と例文や英語も紹介

「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」という言葉、いかにもおどろおどろしい雰囲気ですが、新聞の記事などで見かけることがあります。「魑魅魍魎が跳梁跋扈する」などと使われることもありますが、読み方からして迷ってしまいます。

この記事では「魑魅魍魎」の意味や由来を解説するとともに、「跳梁跋扈する」を用いた使い方や例文も紹介します。



「魑魅魍魎」の読み方と意味とは?

まずはじめに漢字の読み方と意味、あわせて語源も紹介します。

「魑魅魍魎」の読み方は「ちみもうりょう」

「魑魅魍魎」の読み方は「ちみもうりょう」です。「魑魅魍魎」で一つの名詞です。

「魑魅魍魎」の意味は「自然の精気から生じる化け物」

「魑魅魍魎」は「自然の精気から生じる化け物」という意味です。転じて、「狡猾に人を出し抜いたり悪だくみをしたりする化け物のような人間」の意で使われることがあります。一般常識では理解できないような奇怪な言動をする人のことを表すときに、人知を超えて存在する妖怪のイメージがぴったりするからだといえるでしょう。

「魑魅魍魎がうごめく政界」などと政界に対して使われることが多いようです。

「魑・魅・魍・魎」すべての語が化け物の意味

一つの名詞である「魑魅魍魎」の語は、「魑・魅・魍・魎」のすべての語が自然界の化け物という意味を表しています。

さらに、すべての語に「もののけ」という訓読みがあてられていますが、一般的なもののけの漢字は「物の怪・物の気」と書きます。「物の怪・物の気」の意味は人知を超えた妖怪という意味で、「魑魅魍魎」と同じ意味です。

「魑魅魍魎」の語源や由来を紹介

中国の戦国時代または前漢時代に書かれたとされる『春秋左氏伝』に、「魑魅魍魎」に触れる次の文章があります。

かなえを鋳て物をかたどり(鬼神を絵形にして)、百物これが備えをし、民をして神姦(あやしきもの)をしらしむ。故に民、川沢、山林に入って不若(ふじゃく:よからぬもの)に逢わず、魑魅魍魎、よくこれに逢うことなし

鬼神の絵形を作って備えたので、人々が山林に入っても化け物に逢うことがなくなった、というくだりで魑魅魍魎の言葉が使われています。

中国前漢の時代に司馬遷が著した『史記』にも「魑魅」が登場し、その注記に「山林中にいる怪物で人に害をする」と記されています。

日本においては、18世紀に出版された『百鬼夜講化物語(ひゃっきやこう ばけものがたり)』において、「魑魅」と「魍魎」は獣と人間を合体させた姿をもって描かれています。

「魑魅魍魎」の使い方と例文

化け物としての「魑魅魍魎」の意味が転じて、わけのわからないものに対して使われるときの使い方と例文を紹介します。

「魑魅魍魎」は人知を超えた怪物のような人や事柄に使う

妖怪や化け物の意味での「魑魅魍魎」は、一般的な会話で使う機会はあまりないかもしれませんが、「奇怪な人間や常識を超えた事柄」についてその意味を強調するときに、次のように使うことができます。

  • 魑魅魍魎がうごめく詐欺グループ
  • 魑魅魍魎が化かし合う資本主義の末路

「魑魅魍魎が跋扈する」「魑魅魍魎が跳梁跋扈する」の例文

魑魅魍魎の常識を超えた行動や恐ろしさを強調するときに「魑魅魍魎が跋扈する」「魑魅魍魎が跳梁跋扈する」というような表現をします。

「跋扈(ばっこ)」とは「勝手なふるまいをする」、「跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)」とは、「悪人などが勝手なふるまいをする」という意味です。

  • 魑魅魍魎が跋扈するブラック企業を告発した
  • 魑魅魍魎が跳梁跋扈する政財界の闇に切り込む

「魑魅魍魎」の類語や似た意味の四字熟語

次に「魑魅魍魎」の類語や似た意味の四字熟語を紹介します。

「魑魅魍魎」に似た四字熟語の「妖怪変化」

「妖怪変化(ようかいへんげ)」とは、人知を超えた怪しい化け物という意味です。「妖怪」「変化」ともに怪しい化け物の意味です。「魑魅魍魎」とほぼ同じ意味です。

「魑魅魍魎」に似た四字熟語の「百鬼夜行」

「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう・ひゃっきやこう)」とは、化け物たちが夜中に列をなしてうろつくことという意味です。悪人たちや得体のしれない人たちが横暴な態度で身勝手なふるまいをすることにも使われ、「百鬼夜行の〇〇」というように使われます。

「魑魅魍魎」の類語の「伏魔殿」

「伏魔殿(ふくまでん)」とは、魔物のひそんでいる中枢の建物という意味と、陰謀や悪事が絶えず行われている所という意味があります。「政界の伏魔殿」などと陰謀がうずまく政界の裏側を表現するときによく使われます。

「魑魅魍魎」がひそんでいるところが「伏魔殿」です。

「魑魅魍魎」の「対義語」はない

化け物や妖怪の意味の「魑魅魍魎」には対義語はありません。あえて挙げるとすれば、人間ではないものを意味しているという意味の対義語としては「人間」ということになり、邪悪なものの意味の対義語であれば「善良」ということになります。

「魑魅魍魎」の英語表現を紹介

「魑魅魍魎」のような妖怪を表す英語表現はあるのでしょうか?カタカナ語でもよく使われる「モンスター」(英語:monster)は「怪物・化け物」の意味ですが、得体のしれない「魑魅魍魎」とはニュアンスが違います。

「山や川の邪悪な霊」を意味する、「evil spirits of mountains and rivers」という表現があります。「evil spirits」は直訳すると「邪悪な霊」です。「自然の精気から生じる化け物」に近い表現だといえます。

まとめ

「魑魅魍魎」は、もともと「自然の精気から生じる化け物」という意味ですが、転じて常識では想像できない奇怪な事柄や人物を比喩する使い方をされる言葉です。

特に「政界の怪物」などという表現もあるように、熾烈な権力闘争が繰り広げられる政界や財界を怪物である魑魅魍魎にたとえて使われることが多いようです。類語を全て動員して、「政財界は、妖怪変化の魑魅魍魎が跳梁跋扈して百鬼夜行する伏魔殿だ」とはさすがに言いすぎでしょうか。