様々な分野で聞かれる「モジュール」という言葉。聞く機会は多いものの、どんな意味なのかそれぞれ違ってわかりにくい言葉でもあります。
そこで「モジュール」の本来の意味を抑えつつ、IT関連、情報システムや製品製造分野、建築分野、そして歯車の大きさに至るまで、各分野でのモジュールの意味を解説します。
「モジュール」とは
「モジュール」の意味は「寸法・機能の単位」
「モジュール」の意味は、「寸法」「機能の単位」です。
各分野ごとに「モジュール」の詳細な意味は変わってくるのですが、代表的な意味としては、次のようになります。
- 建築材の寸法
- 歯車の大きさを表す値
- 装置や機械、コンピュータープログラムなどの構成する部分
- 工業製品で交換可能な部品
- 宇宙船の母船から切り離すことができ、単独で活動できるユニット
- 教育での学習時間を分割した一単位
「モジュール」は英語で「module」
「モジュール」は英語の「module」を語源にしたカタカナ語で、その意味はカタカナ語「モジュール」と変わりません。
IT関連での「モジュール」の意味
「モジュール」とは「プログラミングの部品」
「モジュール」とはプログラミングの1パーツであり、これだけでは機能しません。モジュールとほかのモジュールを組み合わせてファイルとしてまとめ、さらにファイルを組み合わせていくことでプログラムが作られます。
つまり「モジュール」とは、プログラムの一部として組み込まれたときに初めて機能します。
「モジュール強度」とはモジュール内部の関連性の強さ
モジュール強度とは、モジュール内部にある機能の関連性の強さを表しています。
具体的にいうと、モジュールが一つの機能だけを提供する「機能的強度」と呼び、最もモジュール強度が高い状態となります。
一方、モジュール強度が低い状態とは「暗号的強度」で、機能間の関連性などの無視してまとめられたモジュールのことを指します。
「モジュールの結合度」とはモジュール同士の結合の強さ
モジュールの結合度とは、モジュール同士がどれほどに結びつくのかを示しています。
プログラミングにおいては、モジュールの結合度が低いほどいいとされています。つまり、モジュールの独立性が高いほど、よいプログラミングとなります。
「モジュール設計」とは「モジュールを設定すること」
システム開発におけるプログラミングの部品であるモジュールですが、その一つ一つの内部を設定をすることを「モジュール設定」と言います。
「モジュール」「プログラム」「ソフトウェア」の違い
「モジュール」は一番小さな単位
パソコンで扱われるプログラムとは、モジュールを集めたプログラムとして機能させたものです。
つまり「モジュール」とは、プログラムの要素であり、一番小さな単位です。それそのものでは機能しないものの、プログラムとしてまとめられることでその機能が実行されます。
一方「プログラム」は、モジュールを組み合わせて作られていて、それ自体で実行することができます。
さらに「ソフトウェア」は「プログラムの組み合わせ」であり、ソフトウェアとなった時に一般のPCユーザーが使うことができます。
Pythonの「モジュール」とは
Pythonのモジュールは「機能別ファイル」のこと
言語プログラムPython(ぱいそん)では、計算機能など機能ごとに分けたスクリプトファイルのことを「モジュール」と呼んでいます。そのモジュールを組み合わせてプログラムを作成します。
言語プログラムとしてPythonが人気の理由は、世界中のプログラマーがすでにたくさんのモジュールが作成していて、それらを共有することができるため、比較的簡単にプログラムを作ることができるからです。
情報システムと製品製造においての「モジュール化」とは
各分野において「モジュール化」という表現が使われることがあるのですが、それぞれどのような意味で使われているのでしょうか。ここでは情報システムにおいての「モジュール化」と製造分野での部品の「モジュール化」について説明します。
情報システムでのモジュール化
複雑化したシステムをわかりやすくするために、それぞれの構成要素をモジュールとして役割分担をして相互に連動する状態へと導くことをモジュール化と言います。
システム全体をモジュールごとに区分することで、システム全体を見直したときにどこが問題なのかを見つけやすくなるだけでなく、改善されやすいというメリットがあります。
部品のモジュール化で互換性が向上
製品が多数の部品で構成されていますが、その各部品をモジュール化することで、より顧客のニーズに合わせた商品づくりが可能になります。
製品の変更を製品全体で行うのではなくモジュール単位で変更することで、能率的な商品を作ることができるようになります。
建築用語としての「モジュール」とは
「モジュール」は寸法のこと
建築用語としての「モジュール」とは、建築を設計するときに用いられる寸法のことです。
日本では「尺モジュール」と「メーターモジュール」が使われています。
「尺モジュール」とは伝統的な寸法
「尺モジュール」とは日本ならではの伝統出来な寸法で、「910㎜=3尺」と考える単位を基準にしています。
「メーターモジュール」は最近の建築設計に採用
最近では「メーターモジュール」つまり「メートル法」を基準にした寸法方式も、採用されるようになってきました。
一般住宅に「メーターモジュール」を使えば、同じ間取りでも「尺モジュール」を使った建築物よりも広く設計されるため、総工費は全体に上がる傾向があります。
歯車の「モジュール」とは
歯車の大きさを表す単位「モジュール」
歯車の周りについたギザギザした部分の大きさを表す単位に「モジュール」が使われています。
歯車とは円状でその周囲に歯が付いていて、別の歯車の歯とかみ合うことにより動力がほかに伝えることができる部品です。
その歯車の直径を歯車の数で割った数値を「モジュール」という単位で表します。例えば歯車の直径が50㎜で歯の数が10枚なら、そのモジュールは50÷10=5で「モジュール5㎜」と表します。
まとめ
「モジュール」とは一つの「機能」であったり「寸法」や「単位」だったりと分野ごとに様々な意味があります。これらに共通していることは、モジュールとは一つの単位だということです。この点を抑えれば、それぞれの意味を理解しやすくなるでしょう。