「孟母三遷」の意味とは?由来や類義語についても解説

人が立派に成長するには「環境」が大切ですが、この教えを説いた言葉が「孟母三遷(もうぼさんせん)」です。少子化の影響を受けて、子供に対する教育のあり方も熱心になってきましたが、周囲の影響力というものは恐ろしくパワフルなものでもあります。

早速「孟母三遷」について語源と意味、言葉の使い方と例文、教育における「孟母三遷」の効力と子供を育てるために大切な6つの環境について紹介しましょう。

「孟母三遷」とは?

まず「孟母三遷」の意味と語源から解説します。

「孟母三遷」の意味は「教育には環境が大切である」ということ

「孟母三遷」は「子供の教育には環境を整えることが大切である」という意味を持つ言葉です。子供は周囲を取り巻く人や言動などの「環境」によって大きく左右されますが、その影響力は絶大なものです。子供の脳はスポンジのようにやわらかく、良かれあしかれ何でも吸収してしまいます。

このことから、「孟母三遷」は環境によっていくらでも子供は変わってしまうということの教えでもあるのです。ちなみに「孟母三遷」の「三遷」とは「住居を三度移し替えること」を意味しているため、「孟母三遷」で「孟子の母が三度住居を変える」と読みほどくことができます。

「孟母三遷」は故事成語の一つ

「孟母三遷」は故事が元に生まれた熟語「故事成語」の一つです。故事成語は、おおむね中国の漢書や古典に記された故事が元になり、古からの言い伝えや教えを説くものとなっています。「孟母三遷」は「孟母三遷の教え」としても知られ、現在の生活に役立つ心得として浸透しています。

「孟母三遷」の由来は「孟子の母が行った三度の引越し」

「孟母三遷」の由来は中国の古典「列女伝」の中にあります。

中国で性善説を唱えた孟子(もうし)の母は、合計3度の引越しをしました。最初の場所は墓地の近くだったため、孟子は葬式のマネばかりしていたそうです。2度目の引越しで街の市場近くに住むも、孟子は商売のマネばかりし、3度目の引越しで学校近くに移り、生徒のマネをして読書をしたり勉強をするようになったという話です。

ここでは墓地という好ましくない環境から、市場、そして学校と環境の質が好転しているのがわかります。孟子の母は3度目の場所が気に入り、最終的な住居としたそうですが、子供がいかに容易に環境の色に染まるかが理解できるでしょう。これが「孟母三遷」の由来となります。

「孟母三遷」は教育の原点?

「孟母三遷」を教育における観点から見てみましょう。

「孟母三遷」は理想的な教育を始める土台

「孟母三遷」は理想とする教育を実践する上で大切な教えの一つです。それは子供を勉強させるためだけの環境作りではなく、子供がすくすくと素直に育ち、大人になってから必要な秩序を学びながら成長するための必須ツールでもあります。

たとえば、子供が動物に興味あったとしましょう。いくら勉強をしたくても、動物図鑑やパソコンなどの調べるツールがない、勉強したことをまとめる机と椅子、ノートと鉛筆がない、質問を聞いてくれる人が近くにいない…。このような状況では子供の熱心な好奇心を膨らませてあげることはできません。

また、子供が成長してから求められるマナーや時間厳守のルールなどは、周囲にだらしない大人ばかりいては学ぶことはできないでしょう。

「孟母三遷」で整えるべき6つの環境

「孟母三遷」を実践する時に考慮したい環境は、大きく分けて6つの種類があります。

  • 家庭環境:愛情あふれる家庭環境こそが、子供の最終的あなセーフティネットである。
  • 地域環境:家から学校までの道のりが安全であることは大切。登下校時に目にする景色にも影響される。
  • 教育環境:学校で学ぶ楽しみを与え、未来への展望や夢につながる。
  • 交友環境:子供に悪い影響を与える場合は、距離を置くように話をする。親友は宝ともなり得る。
  • 食育環境:できるだけ家族揃って食事をし会話を楽しむ。原産地や栄養価の話をしたり食べ物に感謝する気持ちを刷り込む。
  • 情報環境:好ましい情報だけを入手できるような環境づくりが大切。不要な情報の閲覧防止とともに、興味のある分野の情報を選んであげる。

「孟母三遷」で子供も大人も変わる

時代が進むにつれ、生活をする環境は多様化、複雑化、また高速化する傾向にあります。今まで以上にたくさんの文化や価値観と共存していかければならないこの時代に、子供を育てる環境の重要性は高くなるばかりです。

しかし「孟母三遷」が与える子供への影響は、実際は親や大人にもあることを認識しておきましょう。なぜなら、子供を育てるのは親であり、周囲にいる大人たちであるからです。子供が理想的に成長すれば、おのずと親も周囲の大人も「よかった」と安心し、環境の大切さを身に染みて感じることができるでしょう。「孟母三遷」は子供にも大人にも変化を与える教えでもあることが理解できます。

「孟母三遷」の類義語と英語表現は?

「孟母三遷」と言い換えのできる類義語と英語表現を挙げてみましょう。

「孟母三遷」の四字熟語での類語は「慈母三遷」「孟母三居」

「孟母三遷」と同じような意味を持つ四字熟語は「慈母三遷(じぼさんせん)」「孟母三居(もうぼさんきょ)」です。「慈母三遷」の「慈母」とは「子供を大切に思う母親のこと」で、「孟母三居」の「三居」は「三度住む場所を変えること」を意味しています。

「孟母三遷」の英語表現

「孟母三遷」を英語で表現するにはいくつかの文章が考えられますが、最も一般的で意味が通じる表現は以下のようになります。

The importance of organizing an environment can conductive to a child learning.
「子供の教育で大切なのは環境である」

まとめ

「孟母三遷」は「子供の教育に大切なのは環境である」という意味で、子供に適切な環境を整えることで、理想的な教育が実践できるという教えでもあります。

子供が落ち着かなかったり、学業に没頭できないのは、もしかしたら上記に挙げた6つの環境の中でいくつかが欠けているからかもしれません。自室で勉強するよりも、リビングで勉強をしたほうが成績が上がる確率が高いというデータもありますが、その背景には家族のぬくもりがある「ホッとした環境」が出来上がっているからでしょう。

ビジネスに絡めて言えば、現在の職場環境はどうでしょうか?転職を三度繰り返して、やっと自分らしい仕事ができる環境が手に入れば、それは「孟母三遷」の教えに習った結果だと言えますね。