「急転直下」という四字熟語は「物事が急に変わる様子」を意味します。何らかの展開があったときによく使う表現で、悪い場合だけでなく、良い意味でも使われます。
「急転直下」の正しい意味と使い方を、類語と対義語とともに明していきます。例文や英語表現も参考にしてください。
「急転直下」の意味とは?
「急転直下」の意味は「様子が急に変わり解決すること」
「急転直下」とは、「物事の様子や状況が急に変化し、解決や結末に向かっている様子」を意味する四字熟語です。読み方は「きゅうてんちょっか」で、「急転」が「様子の変わりよう」を「直下」が「一直線に落ちていく様子」を表しています。
表記違いの「九天直下」に注意
「急転直下」と同じ読み方の言葉に「九天直下」があります。仏教用語である「九天直下」は、天界の1つである「四禅天(しぜんてん)」を、9つに分けた「九天」から転落している様子を表しています。
「急転直下」という言葉ができた由来とも言われていますが、「九天直下」は「転落・堕落」など悪い意味が含まれているため、混同しないように注意してください。
「急転直下」の使い方
「急転直下」は物事が急に解決したときに使う
「直下」が「一直線に落ちている様子」を表していることから、悪い意味で使われがちな「急転直下」ですが、良い意味でも使われます。「物事が急に解決する様子」を意味しているため、解決した先が良い結果であっても一連の出来事は「急転直下」であったと言えます。
結果の良し悪しにかかわらず、物事が急に解決した状況で使えるのが「急転直下」です。
「急転直下の展開」とも使う
「急転直下」の使い方の1つが、「急転直下の展開」です。たとえば、「難航していた事件が、目撃者の証言により急転直下の展開を迎えた」という例文では、「難航していた事件が、目撃者の証言により急に解決へと進んだ」という意味になります。
「急転直下」の類語
「事態が急転する様子」の「光芒一閃」
「事態が急激に変化する様子」を意味する「光芒一閃」という言葉。「こうぼういっせん」と読む「光芒一閃」は、「様子が急に変わる」という点から「急転直下」の類語と言えます。例えば、「このまま同点で試合終了するかと思いきや、光芒一閃、味方の勝利が決まった」という例文。
上記の文章は「引き分けで終わると思っていた試合の流れが、急に変わり、見方が勝利した」という意味になります。
「急に落ちていく様子」の「一落千丈」
「地位・権威・価値などが急激に落ちる様子」を意味した「一落千丈」も、「急転直下」の類語です。読み方は「いちらくせんじょう」です。類語であるものの、「急転直下」は「物事が急に結末へ向かう」様子を表しており、良い意味でも悪い意味でも使われますが、「一落千丈」は「地位や価値が急激に落ちる様子」を表しているため、悪い意味でしか使われません。
「急転直下」の対義語(反対語)
「変化のない様子」を意味する「千古不抜」
「いつまでたっても変化のない様子」を意味する「千古不抜」という四字熟語。「せんこふばつ」と読む「千古不抜」は、「急転直下」の反対語です。「千古」が「長い期間」を表しており、「不抜」が「変化のない様子」を表しています。
例えば、「30年来の友人がいるのだが、わたし達の友情は千古不抜、これからも変わることはないだとう」という例文。上記の文章には、「友情はいつまでたっても変わらない」という意味があります。
「価値が変わらない様子」の「千古不朽」
「いつまでも価値が変わらない様子」を意味する「千古不朽」も、「急転直下」の反対語です。「せんこふきゅう」と読む、「千古不朽」という四字熟語。「千古不抜」は「いつまでも変わらない様子」を意味しているのに対し、「千古不朽」は「【価値】に変化がない様子」を意味しています。
例えば、「有名な画家の作品は、どれも千古不朽、後世にまで受け継がれている」という例文。上記の文章の場合、「有名な画家の作品は、いつまでも価値が変わらずに、後世に受け継がれる」という意味になります。
「急転直下」の英語表現
「急転直下」の英語表現では「suddenly」を使用
「急転直下」は四字熟語であるため、そのものを意味する英単語はありません。英語で表現する場合は、「突然に」という意味を持つ「suddenly」が当てはまります。「物事が急変する」という点で、「suddenly」が適しているのです。
例えば、「This incident was suddenly sorted out.」という例文。上記の例文は「この事件は急転直下、解決された」という意味になります。
まとめ
「様子が急変し解決すること」を意味する「急転直下」という四字熟語。「一直線に落ちて行く様子」を意味する「直下」が含まれていることから、悪い意味をイメージしますが、解決した内容の良し悪しに関係なく使えます。類語には「光芒一閃」や「一落千丈」が当てはまりますが、全く同じ意味ではないため、状況に応じて使用しましょう。