「以心伝心」の意味とは?使い方や類語も解説(例文あり)

人間関係や恋愛の話で「以心伝心」という言葉を耳にしたことはありませんか。何となく「仲が良い」という意味であると分かっていても、具体的には理解できていないという人は多いかもしれません。今回は「以心伝心」の意味や使い方について解説します。知っておくと便利な類語や対義語もご紹介するので参考にしてください。

「以心伝心」の意味と読み方

「以心伝心」とは「言葉にしなくても伝わる気持ち」

「以心伝心」は「いしんでんしん」と読みます。「以心伝心」には「言葉にしなくても、お互いに相手の気持ちや言いたいことが伝わる」という意味があり、気心の知れた仲であることを表す場合に良く使われます。

「以心伝心」の「以」には「~を用いて」という意味があります。「以心」は「心を用いて」、「伝心」は「心に伝える」、つまり「以心伝心」で「心を用いて、(お互いの)心に伝える」ということです。

「以心伝心」の由来・語源は仏教

「以心伝心」という言葉は、四字熟語として古くから使われていますが、言葉の由来は仏教にあると言われています。

仏教では、師から弟子へとさまざまな禅の奥義が伝承されます。「以心伝心」はその伝承方法の一つです。師と弟子が、お互いに相手の表情や仕草、日頃からの考え方などを頼りに、言葉にしないことを読み取り、伝える、という伝承方法を「以心伝心」と言った、と言われています。

「以心伝心」の使い方

「以心伝心」はポジティブな意味で使う

四字熟語はたくさんありますが、大きく3種類に分けることができます。主にポジティブな意味で使われるもの、ネガティブな意味で使われるもの、どちらの意味でも使われるもの、です。「以心伝心」は「主にポジティブな意味で使われるもの」に属します。

相手と自分がお互いの心を読み取ることができ、「言葉にしないコミュニケーションを取ることができる」という状態に親しみや喜びの気持ちを込めて「以心伝心」を使います。

「以心伝心」は気心が知れた間で使う

「以心伝心」はポジティブな意味を持つ四字熟語です。そのため、これからコミュニケーションを深めたい、と感じる相手に使いたくなることもあるかもしれません。しかし、基本的に「以心伝心」は気心が知れた間で使います。お互いの距離が縮まっていない状況で「以心伝心」を使うと、相手の受け取り方によっては不快な思いをする可能性があります。

尚、傍から見て「この二人は以心伝心だな」と、第三者として感じた場合に「お二人は以心伝心ですね」などと使う分には問題ありません。

「以心伝心」の例文

  • 「僕と彼は同期入社で、苦楽をともにしてきた以心伝心の仲だ」
  • 「課長の療養中は、課長と以心伝心の課長補佐が代理をするから安心だ」
  • 「お二人は息がぴったりで、さすが以心伝心ですね」
  • 「部長と田中様のような以心伝心の関係を築けるよう努力したいと思っています」
  • 「私と妻は以心伝心、とまではいきませんが、コミュニケーションは取れていると思います」

「以心伝心」の類語と対義語

以心伝心の類語は「馬が合う」「あうんの呼吸」など

「以心伝心」という、お互いの心の距離が近いことを表す言葉は他にもあります。中でも「馬が合う」「あうんの呼吸」などは、良く使われる表現です。

「馬が合う」というのは「気が合う」という意味で、元々は乗馬で使われていた言葉と言われています。騎手と馬の息が合うことで、お互いの持つ力が十分に発揮されたことから、お互いの気や息が合う、ということを「馬が合う」と言います。

「以心伝心」よりも少しライトな印象で「彼とは馬が合いそうだ」など、「何となく気が合いそうな気がする」という意味でも使うことができます。

「あうんの呼吸」「気が合う」という意味で使われる言葉です。漢字では「阿吽の呼吸」と書きます。「片方が”あ”と言えば、もう片方が”うん”と言うほど仲が良い」という意味に間違われることが多い言葉ですが、実際の阿吽は「物事の始まりと終わり」という意味で、「阿吽の呼吸」は「お互いの始まりと終わりがぴったりと合う」という状態を表します。

このことから「言わなくても相手に伝わる」と解釈され、「以心伝心」と同じ意味として使われています。

以心伝心の対義語は「隔靴掻痒」

「以心伝心」の反対の意味は「言葉にしないと伝わらない」「思いが伝わらずもどかしい」というものです。四字熟語では「隔靴掻痒(かくかそうよう)」と言います。

「隔靴掻痒」とは「かゆいところに手が届かず、もどかしい思い」という意味です。「言葉にしなくても伝わる」という意味の「以心伝心」の対義語として使うことができます。思っていることが上手く相手に伝わらず、歯がゆいと感じる気持ちを表しています。

「以心伝心」の英語・韓国語表現

以心伝心の英語表現は「in tune with each other」「テレパシー」

「以心伝心」は日本語なので、英語で伝えたい場合は英訳が必要です。「以心伝心」は「in tune with each other」という言葉で伝えることができます。「in tune with each other」で「お互いの気持ちがわかる」と解釈できます。「tune」は「調和」「(相手に)合わせる」という意味で、お互いが相手に合わせることで以心伝心ができている、という意味です。

また、英語表現ではシンプルに「telepathy(テレパシー)」と表すこともできます。「テレパシー」は日本語の中でも良く使われる言葉なので、相手へ「以心伝心」の意味をシンプルに伝えたい場合は比較的気軽に使いやすいでしょう。

以心伝心の韓国語表現は「이심전심」

「以心伝心」という概念は日本や英語圏だけでなく、韓国にもあります。「以心伝心」を韓国語にすると「이심전심(イシムジョンシム)」となります。「イシムジョンシム」は「言葉で表現しなくても、相手に伝わること」という意味で、日本の以心伝心と同じ解釈が可能です。

まとめ

「とても仲が良い」「お互いの気持ちがわかる」よりも「私たちは以心伝心です」と言われた方が、当人同士がどれだけお互いのことを理解しているのか、ということが伝わりやすいものです。四字熟語は何となく難しく感じてしまう、という人もまずは「以心伝心」から使ってみましょう。きっと「以心伝心」という言葉がしっくり来る感覚を得ることができますよ。