「面従腹背」とは?サラリーマンの心情を切なく語る言葉の意味

社会人ともなると、上司の指示や命令に嫌々従わなければならない状況に必ずぶつかります。表向きは笑顔でも、心の中では「何で?」と反発心でいっぱいな時もあるでしょう。このような状況こそが「面従腹背」です。

ここでは「面従腹背」の由来と意味、類語と対義語、英語での表現を中心にまとめています。サラリーマンの心を表現する「面従腹背」について解説していきましょう。

「面従腹背」の由来と意味は?

最初に「面従腹背」の由来と意味をみていきます。

「面従腹背」の読み方は「めんじゅうふくはい」

「面従腹背」の読み方は「めんじゅうふくはい」となります。「面中」と「腹背」の二つの言葉が組み合わさってできた言葉ですが、「腹背」の部分を「はらせ」と読まないように気を付けましょう。

「面従腹背」の由来は「明治以降の書籍」

四字熟語には中国の漢文や故事が由来とされるものが多いですが、「面従腹背」に至ってはそうではないようです。

「文明開化の音がする」と言われた明治時代には、さまざまな小説や表論文などに多く見られるようになりました。その中で頻繁に使われていたのが「面従腹誹(めんじゅうふくひ)」という四字熟語で、いつのまにか「面従腹背」と語尾の二語を読み違え、そのまま使われるようになったのが始まりだと言われています。

「面従腹背」の意味は「人前で従うも心の中で背いていること」

「面従腹背」の意味は「人前では言うことを聞いているように見せかけて、心の中では反発していること」となります。つまり、態度と気持ちが反対である状態であり、一言で言えば「心裏腹」ということです。

ちなみに「面従腹背」の「面従」には「うわべや見せかけで従うように取り繕うこと」「人前で従うふりをすること」、また「腹背」には「内心背いていること、反発していること」という意味がそれぞれあります。

「面従腹背」を英語で表現すると?

「面従腹背」は日本独特の観念ではありますが、英語環境でも複雑な人間関係による「心裏腹」は存在します。そして「面従腹背」は英語で「Many kiss the hand they wish to cut off」ということわざを使うことが多いです。

意味は「手を切り落としたいほど憎い相手でも、手にキスをする人は多い」となり「嫌いな相手にうわべの愛情を示す」という意味になります。英語環境でこの表現を耳にしたら、部下は上司の命令や考えに納得していないけれど、良好な上下関係を保つために、仕方なく笑顔で接していると解釈できます。

「面従腹背」の類語と対義語は?

続いて「面従腹背」の類義語と対義語についてみてみましょう。

「面従腹背」の類義語は「腹黒い」「二心ある」

「面従腹背」の類義語には、笑顔でありながら腹の中では別のことをシメシメと考えることを意味する「腹黒い」、表向きの顔と内心で思う心の2つが存在することを意味する「二心ある」などが挙げられます。

また、「二枚舌」は「内心を見せず、矛盾を並べることで自分のいいように話を進める様子」を意味し、「相手を嘘で翻弄する」という点で「面従腹背」と似ている言葉だと言えるでしょう。

「面従腹背」の対義語は「如実知見」

「面従腹背」の対義語だと考えらえるのは、上記で紹介した「眼横鼻直」の他に、禅語の「如実知見(にょじつちけん)」が挙げられます。意味は「現実のままであること」で、嘘偽りなく、現実をそのまま見抜くことを指しています。

「面従腹背」はいつの時代もサラリーマンの宿命なのか?

「面従腹背」をサラリーマンの切ない心情になぞえることができますが、現代においては考え方や理想も少しずつ変ってきているようです。

「面従腹背」はサラリーマンの心情を語る言葉?

サラリーマンのみなさんは戦うビジネスパーソンとして、否が応でも「Yes」と言わなければならない場面にさらされることもあるでしょう。本当は違うのに「正解です」と認めなければならない状況、また自分はそう思わないのに、上司に言われたから仕方なく同意しなければならな環境は、健全に仕事に打ち込むサラリーマンの心を苦しめているかもしれません。

周知の通り、サラリーマンの実情はやはり「面従腹背」であることが多いですが、やはり批判や反発を避けようとする日本人である以上、この姿勢は変わりにくいものと考えられます。

上司に従う運命にある部下でも「眼横鼻直」が理想的?

「面従腹背」の文化はそのまま持続してしまうのでしょうか。内心とは反対の態度を取ることが求められる社会に対し、「心と態度が一致する社会」はどれだけ「自然」であるか、ふと感慨にふけることもあるはずです。

ここで注目したいのが禅語の一つ「眼横鼻直(がんのうびちょく)」です。意味は「目は横にあり、鼻は縦についている」、つまり「「当たり前の事」「自然であること」となります。

自分の思うことをそのまま態度で示すことは、シンプルにごく当たり前のことです。複雑な人間係や上下関係などが存在する現代社会であっても、「眼横鼻直」への理解が深まれば、うわべだけ従って、内心は反発しなくてもよい環境が生まれるかもしれません。

まとめ

「面従腹背」は「上っ面では従順な態度をとりながら、心の中では反発していること」を表す四字熟語です。上司の命令に笑顔で答えながら、心の中では反発心で一杯であることを指し、腹黒い状態を表す四字熟語となります。

「面従腹背」と聞くと、現代のサラリーマン、とくに「部下」の立場にいる人の心情が真っ先に思い浮かびますが、時代の流れとともに文化が移り変わり、心と態度が一致する「眼横鼻直」が人間として自然であるという風潮になれば、自身への喪失感や無力感も薄れることでしょう。さて、あなたは「面従腹背」の社会を変える勇気はありますか?