「弱肉強食」の意味とは?正しい使い方と自然の摂理について

「弱肉強食」は「弱いものの犠牲の上に強いものが栄える」という意味の四字熟語で、野生動物の世界や現代社会を説明するときに使われることがあります。ところで、その使い方は正しいのでしょうか。

そこで今回は「弱肉強食」の意味や使い方を説明し、弱肉強食が自然の摂理を説明しているのか考察します。

「弱肉強食」の意味と由来

「弱肉強食」は「力が強いものが栄える」の意味

「じゃくにくきょうしょく」と読む「弱肉強食」は、「力が強いものが弱いものを餌食として、力の強いものが栄える」という意味です。

「弱の肉は、強の食なり」と訓読することで、弱いものが強いものの犠牲にされるという意味だということがわかります。

由来は漢文にあり

「弱肉強食」は、中国は唐の時代800年前後に活躍した文人である韓愈(かんゆ)の作品である「送浮屠文暢師序」から生まれたとされています。

韓愈が旅立つ僧の文暢(ぶんちょう)に送った言葉の中に、「弱之肉、彊之食」というフレーズがあります。その意味は、「弱いものの肉は、強いものの食物である」です。

これが由来となり、「弱肉強食」という四字熟語になったと言われています。

「弱肉強食」の使い方と例文

弱肉強食の「弱者を犠牲にして力の強いものが栄える」という意味から、現代の世相と当てはめた使いまわしがよくみられます。

そこでそうした意味合いで使われている例文をいくつか挙げてみましょう。

  • 「現代社会は弱肉強食になった」
  • 「恵まれているように見えるけれど、実際の世の中は弱肉強食だ」
  • 「企業の吸収合併が増える昨今、弱肉強食の時代になったと言わざる負えない」
  • 「弱肉強食の世の中を、どのように生き抜いていこうか」

「弱肉強食」は自然の摂理?

強い動物が弱い動物を捕獲するから弱肉強食

強い動物が弱い動物を捕獲する光景を見て、動物の摂理は弱肉強食だと語られることがあります。しかし動物が別の動物を捕獲するというのは生き残るための手段なのですから、自然の摂理として弱肉強食だ言い切ることは偏った見方だと言えるでしょう。

適者生存こそ自然の摂理

実際の野生動物の世界では、強い動物が弱い動物をいかに捕まえるか、弱い動物はいかに強い動物に捕まらないようにするかという攻防が起きています。

もしも弱肉強食が動物の摂理だというのなら、弱い動物はとうの昔に絶滅していることでしょう。しかし実際には弱い動物も生き残っています。

このことから動物の摂理とは弱肉強食というよりも、生態系に適応したかどうか、つまり「適者生存」という考え方の方が相応しいと言えます。

「人間の世界が弱肉強食」とは現代の思想

私たちの社会とは本来であればお互いを蹴倒してのし上がっていくという構造ではなく、それぞれの生活要求を満たされれることで成り立つという社会構造をしています。

しかし実際の生活からそのように感じられずに弱肉強食だと感じられる状況が数多くあるのが現代社会の一面だとも言えるでしょう。

そのようなとき「人間の世界が弱肉強食だ」と言い回されることがあります。

類語は「優勝劣敗」/対義語は「共存共栄」

「優勝劣敗」の意味

弱肉強食の類語は、「優勝劣敗」(ゆうしょうれっぱい)です。

その意味は、「力の強いものが勝ち残り、劣っているものが負けること」で、弱肉強食により強者が残り、弱者が滅びるといった状況が同じです。

「弱肉強食」と「優勝劣敗」の違い

ただし、「弱肉強食」には強者が弱者を餌食にするという意味があるのに対して、「優勝劣敗」にはその意味は含まれていません。

「弱肉強食」では強者が弱者を犠牲にして生き残るのに対して、「優勝劣敗」はどのように強いものが勝ち残ったのかは説明されずに、単に結果として、力が強いものが勝ち弱いものが負けたことを表しているという違いがあります。

対義語は「共存共栄」(きょうそんきょうえい)

「弱肉強食」の対義語とされるのが、「共存共栄」(きょうそんきょうえい)です。

その意味は、二つ以上のものが「ともに生き、栄えること」です。争いを好まず、もちろんお互いに敵対することもない共存の状態を「共存共栄」と言います。

「きょうぞん」と濁って発音しないように注意しましょう。

「弱肉強食」は英語で「the law of the jungle」

英語で「ジャングルの掟」が「弱肉強食」

英語で「弱肉強食」を言い表すのなら、一番最初に覚えておきたいフレーズが「the law of the jungle」です。その意味は「ジャングルの掟」です。

様々な英語表現

「弱肉強食」の意味を表す英語表現は、ほかにもいくつかあります。代表的なものを挙げてみましょう。

  • “survival of the fittest”:
    「強いものが生き残る」という意味。
    進化論を提唱したダーウィンの影響を受けた英国出身の哲学者「ハーバート・スペンサー」が言い表した表現です。
  • “survival of the strongest”:
    上記の”survival of the fittest”の言い換え表現で、強いものの表現が「the strongest」に代わっています。
  • “The stronger prey upon the weaker.”:
    「強いものが弱いものを食いものにする」という意味。

まとめ

「弱肉強食」とは弱いものが強いものの犠牲となり、強いものが繁栄するという意味の四字熟語です。その意味から、野生動物の世界や現代社会を説明する表現として使われることも多いようです。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。