「一粒万倍」とは?正しい意味や仏滅・天赦日との関係も解説

「一粒万倍」は社訓から能の演目、縁起担ぎまで幅広い分野で使われている言葉です。でもふと考えてみると「一粒万倍」にどんな意味があるのか?という人は多いのではないでしょうか。今回は「一粒万倍」や、物事の始まりに適していると言われる「一粒万倍日」と仏滅・天赦日との関係などについても解説します。

「一粒万倍」の意味や語源・由来とは?

「一粒万倍」の意味は”わずかなものが大きく成長する”

「一粒万倍」の意味は、”わずかなものが大きく成長すること”です。読み方は、「いちりゅうまんばい」です。昔からとても縁起の良い言葉として使われてきました。「一粒万倍」の「一粒」とはお米の元である「籾(もみ)」のことで、「一粒の籾が何万倍にも実る稲穂になる」というところから来ている言葉です。

わずかなものや、小さなものが大きく、または多くに育つという意味として、物事の始まりや仕事の開始、お金にまつわることなどに影響を与えると考えられています。

「一粒万倍」の語源・由来は”報恩経”

「一粒万倍」という言葉は、元々はお経の中に出てきたと言われています。「報恩経(ほうおんぎょう)」というお経の中で「世間求レ利、莫レ先二耕レ田者一、種レ一万倍」と、「少しのものからでも、何万倍の収穫が得られるから、どんな小さなことも大切にせよ」という戒めの意味で使われています。

「一粒万倍」の使い方と例文とは?

「一粒万倍」は戒めの意味としての教訓に

四字熟語としての「一粒万倍」は会社の社訓などにも使われています。一般的な「一粒万倍」は縁起の良い言葉として使われますが、社訓などに使われる場合は「報恩経」での意味である戒めとしての意味が強いようです。

主には、仕事についての在り方として「どんな小さなことも、大切にすれば何万倍に育つのだから、些細なことも大事に仕事をしよう」という意味で「一粒万倍」という言葉が使われています。

「一粒万倍」を使った例文

「一粒万倍」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「日々の小さな気付きがヒントになる、一粒万倍の気持ちで臨んでください」
  • 「あなたの一粒万倍の視点が、今回の大きなきっかけとなりました」
  • 「どんな大きなプロジェクトも、小さな出来事が大切です、一粒万倍を心がけてください」
  • 「些細なことだとバカにせず、一粒万倍の心構えでないと」
  • 「課長はいつも一粒万倍で考えているから、どんなことも耳を傾けてくれる」

「一粒万倍日」の意味と天赦日・仏滅との関係とは?

「一粒万倍日」は一粒万倍を歴に当てた日を意味する

「一粒万倍」は、とても縁起の良い言葉ですが、この「一粒万倍」を暦に当てた日を「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」と言います。「一粒万倍日」は「一粒万倍」の意味通り、物事を始めたり、仕事やお金にまつわることに向いていると言われています。

特に「小さなものを大きく増やす」という「一粒万倍」の意味が当てはまる「宝くじ」や「貯金」などに縁起が良いと言われているようです。

反対に、同じお金にまつわることでも「借金」などを「一粒万倍日」にすると、「わずかな借金も大きく増える」と解釈され、縁起が悪いとも言われています。

「一粒万倍日」は”天赦日”と並ぶ吉日

「一粒万倍日」は月に平均して5.6回ありますが、縁起が良いと言われる日は他にもあります。それが「天赦日(てんしゃにち)」です。「天赦日」は天が全ての罪を許すと言われている吉日です。「一粒万倍日」と「天赦日」が重なった日は大変縁起が良い吉日と言われています。

しかしいずれの吉日も「不成就日」と重なると、転じて凶日となるとも言われています。

「一粒万倍日」は”仏滅”とは相性が悪い

「一粒万倍日」は一般的な現代のカレンダーには記載がありませんが、昔の太陰太陽暦の暦には記載がされていたと言われています。そのため、日本で昔から縁起が悪いと言われている「仏滅」との関係を気にする人も多いようです。

一般的には「仏滅」は全てに対しての凶日ですので、「一粒万倍日」の縁起の良さも半減すると言われています。

一粒万倍日に使い始めるのが「一粒万倍財布」

「一粒万倍日」はお金にまつわる事柄で気にされることが多い言葉です。

「一粒万倍」の「わずかなものが大きく育つ」という意味から、「新しい財布を使い始める日」として選ばれることも多いでしょう。

お金を増やせるような、縁起の良い財布にしたい、と考える人が持つ一粒万倍財布は「一粒万倍日」に使い始めると良いとも言われているようです。

「一粒万倍」の英語表現とは?

「一粒万倍」は英語で”A single seed can eventually produce a great harvest”

「一粒万倍」という言葉を、熟語や慣用句で訳すことは通常はありません。そのため、直訳とはなりますが「a single seed can eventually produce a great harvest」となります。

「a single seed can eventually produce a great harvest」は、「一粒の種が大きな収穫に繋がる」という意味で、「一粒万倍」の意味を伝えることができます。

まとめ

「一粒万倍」はわずかなものが大きくなる、というとても縁起の良い言葉です。どんな物事も最初から大きく育っているということはなく、それが小さくわずかだったときから大事にされているからこそ大きく育ちます。どんなことに対しても「一粒万倍」の気持ちがあれば、思わぬ収穫を得る未来を迎えられるかもしれません。