「一刀両断」の意味とは?例文や類語「快刀乱麻」との違いも紹介

「一刀両断」という言葉は日常会話だけでなく、歌の歌詞などにも使われる有名な四字熟語です。でも、文字面から何となくイメージだけで理解している、という人は多いようです。今回は「一刀両断」の意味や語源などについて解説します。「一刀両断」の類語の「快刀乱麻を断つ」や、「一刀両断」を使った例文もご紹介します。

「一刀両断」の意味や語源とは?

「一刀両断」の意味は”ためらわずに決断すること”

「一刀両断」の意味は、”ためらわずに素早く決断すること・毅然とした態度で対処すること”です。「いっとうりょうだん」と読みます。

物事を決断するときにあれこれと迷ったり、はっきりしない態度で物事に対処したりすることがなく、まるで刀で木を真っ二つにするような潔さを表します。

日常生活では「はっきりとした態度」「文句を言う隙もないような」というニュアンスで使われることが多く、相手の態度に感心したり一方的に負かされたりする状態で使われることが多いでしょう。

「一刀両断」は朱子の言葉を語源とした四字熟語

「一刀両断」は中国の故事成語が由来となっています。中国の「朱子(しゅし)」という儒学者の言葉で「自分の欲望を抑制するには根源からの一刀両断に限る」というものがあり、これが「一刀両断」という四字熟語の由来とされているようです。

この朱子が言った「一刀両断」の「一刀」は「一太刀(ひとたち)」を意味しています。一太刀とは「太い刀を大きく振り下ろす」という意味です。「両断」とは「物を二つに切る」という意味なので、「一刀両断」は「一太刀で物を二つに切る」ということを表します。

太い刀で物を二つに切ってしまうような、思いきりの良さ、勢いなどを「物事への素早い決断」「毅然とした態度」という、人間の動作や行いに当てはめていると考えられます。

「一刀両断」の使い方とは?

「一刀両断」を”古い関係を断つ”という意味で使う

「一刀両断」は、言葉自体の意味の幅が比較的広く、その分使える場面も多い言葉です。「ためらわずに素早く決断する」「毅然とした態度で対処する」という意味以外にも、いくつか使い方があります。

そのひとつが「古い関係を断つ」という意味です。この場合の「古い関係」とは、人間関係や企業、物などとの関係です。

相手が人間であっても、物であってもある程度長い時間を共に過ごして来た仲であれば、その関係を断つことに躊躇する人は多いでしょう。これを思い切って断ち切ることも「一刀両断」という言葉で表すことができます。

「一刀両断」を”見事に解決する”という意味で使う

「一刀両断」という言葉を感嘆・感心の心情で使うこともできます。「何らかの事件やもめごとなどを見事に解決すること」も一刀両断で表します。この場合の事件やもめごとに制限はなく、自分や周囲の人が困り、解決方法を見いだせない、と感じることであれば「一刀両断」を当てはめることができます。

その件に関わっている人や、周囲の人がなかなか言い出せないことをズバッと言ってくれたり、みんなが迷っていることを思い切って決断してくれた人の行動を「一刀両断」で表すことで、その人に感心している様子が伝わります。

「一刀両断」を使った例文

「一刀両断」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「社員旅行の行き先はみんな迷っていたけど、部長が一刀両断して北海道に決まったらしい」
  • 「取引先からの無茶な要求は、課長が一刀両断して断ったようだ」
  • 「残業時間が足りないことを係長に相談したが、一刀両断されたよ」
  • 「彼とは学生時代からの付き合いだったが、彼の利己主義についていけず一刀両断した」
  • 「先月から続いていた社内のもめごとは、田中さんが一刀両断してくれて感心した」

「一刀両断」の類語とは?

一刀両断の類語①「快刀乱麻を断つ」

「一刀両断」という言葉は意味の幅が広いため、意味によってそれぞれに類語があります。中でも意味が似ているのは「物事を見事に解決する」という意味での類語「快刀乱麻を断つ」です。

「快刀乱麻を断つ」とは故事成語を由来とすることわざで、「切れ味の良い刀で絡まった麻糸を断ち切るように、問題を鮮やかに解決する」という意味を持っています。

しかし、「一刀両断」のように「決断する」「毅然と対処する」という意味はありません。「物事や問題を解決する」という意味においてだけの「一刀両断」の類語、と認識しておきましょう。

一刀両断の類語②「問答無用」

「一刀両断」が日常で使われるときの「はっきりした態度」「文句を言う隙もないような」、という意味での類語は「問答無用」です。

「問答無用」の「問答」とは「問うたり答えたりするやりとり」で、「無用」は「要らない・禁ずる」という意味を持っています。つまり「意見をしたり、文句を言ったりすることは求めていない、してはならない」という意味で、「一刀両断」と似ています。

しかし、「問答無用」に「問題を解決する」「古い関係を断つ」などの意味はありません。「問答無用」は、人の毅然とした態度を表す場合に使える類語、と認識しておくと良いでしょう。

「一刀両断」の英語表現とは?

「一刀両断」の英語表現は”in a single sweep”

「一刀両断」は中国の故事成語が元になっている言葉なので、英語圏で使う場合は英訳する必要があります。直訳すると「cut in two with a single stroke of a sword」となりますが、これでは「一つの刀でものを二つに切る」という意味に留まります。

一方「in a single sweep」は「ひと掃きする」という意味で「一度に片づける」というニュアンスで使うことができます。日本語の「一刀両断」にある「ためらわずに決断する」「問題を見事に解決する」という意味に近い表現をすることができるでしょう。

まとめ

「一刀両断」とは、刀や断という文字が入っているだけあって、とても鋭いニュアンスを持つ言葉です。誰かの勢いある行動や、思いきった決断などを伝えるときに「一刀両断」を使うと、話に臨場感を出すこともできるでしょう。ぜひこの機会に「一刀両断」が持つ意味を把握して、日常会話などで使ってみてください。