「一気呵成」とは「一気に文章を書きあげること」や「一気に物事を成し遂げること」ですが、どのように使えばいいのかわかりにくい言葉です。
そこで「一気呵成」の意味と併せてその語源も解説し、使い方・例文も紹介します。また気になる類語や英語表現も解説します。
「一気呵成」の意味とは?
「一気呵成」の意味は2つある
「一気呵成」(いっきかせい)の意味には2つあります。
- 「文章を一気に書き上げること」
- 「物事を大急ぎで成し遂げること」
「一気呵成」の意味を理解するうえで大切なのが、頭文字にある「一気」です。何かを成し遂げるにしても、たった一呼吸のような短い間でするというのがポイントです。
「一気」には「一呼吸」の意味がある
「一気呵成」の「一気」には「一呼吸」という意味があります。「呵」の字ははっと息を吹きかけるという意味以外にも、かっと怒鳴るという意味もあります。
それに続く「成」が「なにかを成し遂げる」という意味から、「一気呵成」は「一気に書き上げる」または「一気に物事を成し遂げる」という意味になります。
「一気呵成」の由来は「凍った筆を息で温めたこと」から
「一気呵成」は「凍った筆に息をかけて温めて、その間に一気に文章を書きあげる」という背景から生まれた言葉です。この「一気呵成」の出典元は、17世紀に書かれた中国の書物「詩藪」(しそう)の内篇です。
「一気可成」や「一気化成」は書き間違い
「いっきかせい」という読み方から、「一気可成」や「一気化成」と書き間違えられることが多いようです。正しくは「一気呵成」ですので書き間違えには気をつけてください。
「一気呵成」の使い方と例文
レポートや書類などを「一気に書き上げる」ときに使う
「一気呵成」の「一気に書き上げる」という意味から、途中で中断することなく集中して最後まで書き上げたというような状況でこの四字熟語は使われます。書いた本人からすると、そのように書き上げられてよかったという充実した気持ちになっていることでしょう。
「物事を一気に成し遂げる」という意志や結果に使う
「物事を一気に成し遂げる」という意味の「一気呵成」は、勢いよく物事を成し遂げることの強い意志が感じられる言葉です。そのため「一気呵成」を使う場合には、「何かをやるぞ」または「やったぞ」という肯定的な場面に使われます。
「一気呵成」を使った例文
- 「レポートを一気呵成に書き上げる」
- 「昨日はなかなか書き進まなかった論文だが、今日になって一気呵成に仕上げられた」
- 「一気呵成に仕事をやり遂げた」
- 「人員を増やして一気呵成に工事を終わらせるめどを立ててください」
- 「ここぞという試合の局面で一気呵成に攻め込み、勝利へと導いた」
「一気呵成」の類語
類語は「一息に」「息つく間もなく」「ぶっ通しで」
「一気呵成」の類語として「物事を途中でやめることなく一度にする」という意味から、「一息に」「息つく間もなく」「ぶっ通しで」などの表現が挙げられます。
これらの類語には「文章を書く」の意味はありませんので、文章を書くことを表すのであれば「一息に文章を書き上げる」のように、何をしたのか説明するようにしましょう。
類語の四字熟語は「一瀉千里」
「一瀉千里(いっしゃせんり)」とは「物事が速やかにはかどって進むこと」という意味や「文章や弁舌がよどみないこと」を例えた表現です。川の水が一度に流れ出すと、あっという間に千里ほども遠くまで流れていく様から生まれた四字熟語です。
「一気呵成」のように文章が一気に書き上がるという意味はないものの、物事が速やかにはかどるという点では同義語だと言えます。
- 「仕事を一瀉千里に片づける」
「一気呵成」の英語表現
「一気呵成」は英語で「at a stretch」
「一気呵成」の意味全体を表現する英語のフレーズはありませんが、「一気呵成」の意味でも「一気に○○をする」という意味の「一気に」を英語では「at a stretch」や「at/in one sitting」のように表現します。
「仕事を一気に仕上げる」と言いたければ、次のように英訳します。
- “I finish my work at a stretch.”
- “I finish my work at one sitting.”
また「一気に」を「すぐに」という意味にとらえて、「at a stretch」の代わりに「at once」を使ってもいいでしょう。
「レポートを一気に書き上げる」なら「write off」
レポートなどの文章を一気に書き上げるという意味なら、「write off」が使えます。
- “She writes off a report.”「彼女はレポートを一気に書き上げる」
まとめ
「一気呵成」には「一気に文章を書きあげる」という意味と「一気に物事を成し遂げる」という二つの意味があります。途中で途切れることなく最後まで集中して終わらせるという点がポイントとなる「一気呵成」ですが、漢字の書き間違いも多い四字熟語なので気をつけて覚えるようにしましょう。