「棚からぼたもち」の意味と由来とは?例文を紹介!類語や英語も

日常会話で何気なく使うこともある「棚ぼた」(たなぼた)は、幸運を表す「棚からぼたもち」(棚から牡丹餅)ということわざを略した言葉です。しかし、なぜぼたもちが棚から落ちることを幸運とまで言うのかをご存知でしょうか?今回は「棚からぼたもち」の詳しい意味と由来を紹介します。また使い方の例文や類語・英語表現も解説します。

「棚からぼたもち」の意味・語源や由来とは?

「棚からぼたもち」の意味は”思いがけず幸運にめぐり合う”

「棚からぼたもち」の意味は、”思いがけず幸運がやってくる・苦労せずに幸運をつかむ”です。同僚や友人・家族との日常会話において「棚からぼたもち」を略した「棚ぼた」という言葉を使ったことがある方もいることでしょう。

「棚からぼたもち」の由来と語源・起源

「棚からぼたもち」は、棚からぼたもちが落ちて棚の下に眠っている人の口の中に入る様子を元にした言葉です。

滅多に起こることがなく思いがけない状況であることは理解できても、ぼたもちが幸運につながることについてすぐにピンと来ない方もいることでしょう。幸運の意味は、昔砂糖が貴重品であったことに由来しています。庶民が甘いものを口にできる機会は滅多になかった昔は、貴重品であるぼたもちが偶然口に入ることは、思いがけない幸運を手に入れた状況であると言うことができたのです。

「棚からぼたもち」の使い方と例文とは?

「棚からぼたもち」は幸運の度合いに関わらず使うことができる

「棚からぼたもち」を使うのは、思いがけずに幸運を手に入れた場合や、苦労をしないのに幸運がやってきたときです。些細なものから大きなものまで幸運の度合いに関わらず「棚からぼたもち」の言葉を使うことができます。

「棚からぼたもち」を使った例文

「棚からぼたもち」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 来週のプレゼンで我が社が勝てる見込みはほぼなかった。しかしこのタイミングでA社のキーマンが退職したことは、棚からぼたもちと言えるだろう。
  • 無料の食事につられて参加した合コンで彼女までゲットできたのは、棚からぼたもちだったよ。
  • 棚からぼたもちなことに、適当に張ったヤマがテストで大当たりして合格点をとることができた。

「棚からぼたもち」の類語・類義語とは?

類語は「開いた口へ牡丹餅」「開いた口へ餅」

「棚からぼた餅」という言葉は、「開いた口へ餅牡丹餅」「開いた口へ餅」と言いかえることができます。どちらも日常生活で耳にする機会は少ない言葉ですが、「棚からぼたもち」と同じ意味を持っています。

「勿怪の幸い」「鴨が葱を背負ってくる」も類語

「勿怪の幸い」(もっけのさいわい)という言葉も、「棚からぼたもち」と同じ意味を持っています。「勿怪」とは「思いがけないこと」を意味する言葉で、「勿怪の幸い」とは「棚からぼたもち」同様の「思いがけない幸運が訪れること」を表しています。

「鴨が葱を背負ってくる」は、鴨が葱を背負ってくることにより鴨鍋の材料が揃うことを例えた「自分にとって都合が良いことが起こる」ことを意味します。「棚からぼたもち」は事柄に対して使いますが、「鴨が葱を背負ってくる」は相手の行動に対して使う言葉です。受け取り手にとっては、「棚からぼた餅」同様に幸運であることを表す言葉ですが、鴨が鴨鍋の材料を自ら持ってくることから「お人好し」と揶揄するニュアンスも含んでいます。

「棚からぼたもち」の対義語とは?

対義語は「棚から牡丹餅は落ちてこない」

「棚から牡丹餅は落ちてこない」という言葉は、「棚からぼたもち」の反対の意味を持つ言葉(対義語)となる言葉です。「思いがけない幸運がやって来ることはない」という「棚からぼたもち」の反対の意味を持ちます。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「蒔かぬ種は生えぬ」も対義語

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「蒔かぬ種は生えぬ」という言葉は、「棚からぼたもち」の「苦労せずに幸運をつかむ」の反対の意味を持つ対義語です。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とは、虎の子供(虎児)を見つけるためには、虎の穴に入らないといけないことを例えとしています。また、「蒔かぬ種は生えぬ」は蒔いていない種から芽がでることがあり得ないことを例えとしています。どちらも「何もしていないのに成果を得ることはない」ことを表し、「棚からぼたもち」が何もしなくても幸運をつかむのに対し苦労が必要であることを意味する言葉です。

「棚からぼたもち」の英語表現とは?

「棚からぼたもち」の英語は「receiving a windfall

英語で「棚からぼたもち」を表現する場合は、「receiving a windfall」を使うのが適しています。「receive」は「受け取る」を、「windfall」は「風によって落ちたくだもの」や「思いがけず手に入ったもの」をそれぞれ意味し、「棚からぼたもち」の意味として使うことができます。

「棚からぼたもち」の意味を持つ英語のことわざ

「棚からぼたもち」の意味を持つ英語のことわざを紹介します。

「pennies from heaven」は直訳すると「天(heaven)から降ってきたペニー硬貨」となり、「棚からぼたもち」と同じ「思いがけない幸運」を表すことわざです。しかし、単に運が良いというだけでなく「天からの恵み」というニュアンスを持っています。

「He thinks that roasted larks will fall into his mouth」ということわざは、直訳すると「彼は自分の口にヒバリのローストした肉が落ちて来ないかと考えていた」の意味となります。棚からぼたもちが落ちてきたように、自分の口に肉が落ちてくる幸運が起こることを願っていることを表すことわざです。

まとめ

「棚からぼたもち」という言葉は、思いがけず幸運がやってくることを表す言葉。「棚からぼたもち」な出来事が自分に起こったときには嬉しい気持ちになりますが、幸運は待っているだけではやって来るとは限りません。棚からぼたもちが落ちるのをずっと待っているだけではなく、自分から幸運を掴み取るための行動を起こすことこそ大切ではないでしょうか。