「腰が抜ける」の意味や語源とは?使い方の例文や類語・英語も解説

「腰が抜ける」「腰を抜かす」は重たいものを持ち上げたり、何かに驚いたときに急に立てなくなる状態を表した慣用句です。今回はそんな「腰が抜ける」の意味について、語源や使い方・例文、英語表現もあわせて詳しく解説していきます。

「腰が抜ける」の意味や語源とは?

「腰が抜ける」の意味は”立つことができない状態”

「腰が抜ける」の意味は、”立つことができない状態”です。何かしらの強いダメージによって「気力がなくなる」状態を表しています。そのダメージには2種類あり、“身体的なもの”と“精神的なもの”があります。

・身体的ダメージの場合
身体的なダメージの場合は、腰の骨の関節が外れてしまったり、腰に力が入らなくなることで立てなくなります。重いものを無理して持ち上げようとしたり、長時間同じ姿勢や動作を続けたときに起こりやすく、場合によっては病院で診てもらう必要があるでしょう。

・精神的ダメージの場合
精神的なダメージの場合は、突然心に大きな衝撃を受けたことで全身の力が抜け立っていられない状態になります。衝撃には“恐怖”や“驚き”があり、喜ばしい場面でも、肝試しのような怖さのある場面でも使われます。精神的ダメージによる「腰が抜ける」は、心が落ち着けば立てるようになります。

「腰が抜ける」には”気力がなくなる”の意味も

「腰が抜ける」には、実際に立てなくなる以外に「気力がなくなる」という状態を表すこともあります。この状態は、頼りにしていた心や物事の支えを急に失ったときに起こります。

「腰が抜ける」の語源は”支えがない状態”

「腰が抜ける」は、立っているために必要な“腰”の部分に力が入らない、つまり「下半身を支えるものがない状態」を“力が抜ける”という慣用句を用いて表現したことが語源です。

「腰が抜ける」の使い方と例文とは?

重いものを持ったときや驚いた様子に使える

日常でよく使うシーンは、重いものを持ったときに「腰が抜けそうだ」と表現する場合です。ほかにも全身の力が抜けるほどに驚いたり、衝撃を受けた場面でも「〇〇のせいで腰が抜けた」と言えます。

「腰が抜ける」は主語と動詞でできている慣用句なので、場面によって単体で使ったり文章に組み込んで使います。過去形や現在形、未来形とあらゆる時制に変換できます。

「腰が抜ける」を使った例文

「腰が抜ける」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • そんなに重いものを持ったら腰が抜けてしまうよ
  • あまりの恐怖に腰が抜けた
  • もし〇〇さんが結婚ってことになったら、僕は腰が抜けるだろう
  • 遠距離中の彼女が突然現れて、腰が抜けた
  • 唯一の癒やしだった猫が失踪してしまい、腰が抜ける

「腰が抜ける」の類語・類似表現とは?

類語は「足がすくむ」「立ちすくむ」

「腰が抜ける」の類語には、「足がすくむ」「立ちすくむ」という慣用句があります。

「足がすくむ」は、精神的ダメージを受けた場合の「腰が抜ける」と似た“極度の不安や恐怖によって体が思うように動かなくなる状態”を表します。異なる点は、自由がきかない部分が“腰”ではなく“足”で表現されていることと、喜ばしい・めでたい場面では使われないということです。

「立ちすくむ」も、精神的ダメージを受けた場合の「腰が抜ける」と似た状態を表します。異なる点は、体の自由がきかない部分が体全体であり、立ったまま身動きが取れない状態を表していることです。「腰が抜ける」と違い、恐怖や不安という感情以外にも、恥ずかしさからこの状態になる場合もあります。

「腰が抜ける」と「腰を抜かす」は類似表現の慣用句

「腰を抜かす」は「腰が抜ける」とほぼ同じ意味です。ただ「腰が抜ける」は自動詞、「腰を抜かす」は他動詞を用いているので、主語である“腰”が動作する側なのか、影響を受ける側なのかと少し伝わり方が変わります。

「腰が抜ける」の英語表現とは?

英語では「weak at the knees」「be unable to stand」

身体的ダメージによる「腰が抜ける」の英語表現は、“立ち上がることができない”の意味を持つ「be unable to stand」、精神的ダメージによる場合は“強い感情を受けて立てなくなる”という意味を持つ「weak at the knees」が適切です。

「腰が抜ける」の英語例文

「腰が抜ける」の英語例文をご紹介しましょう。

  • 「重たい荷物を持ち上げたら腰が抜けた」
    “I was unable to stand up after I lifted a heavy baggage.”
  • 「トミーはその女性を見たら腰が抜けてしまった」
    “Tommy went weak at the knees when he saw the lady.”
  • 「その衝撃的な場面を見て腰が抜けた」
    “Seeing the shocking scene made me go weak at the knees.”

まとめ

「腰が抜ける」は、“身体的・精神的ダメージを受けたことで立つことが困難になった状態”、また「気力がなくなる」など“内面的に支えがなくなっている状態”を表現します。極度の恐怖や緊張による不安定な精神状態のときに使われることが多く、身体的ダメージの場合は“ギックリ腰”や“体が動かない”など別の言葉で言い換えられることがあります。

「腰が抜ける」は使い方や使う場面によって、その人がどんな状況に置かれているのか伝わり方が変わります。間違った解釈をしないためにも、用法はきちんと理解しておくといいでしょう。