企業や組織を運営するにあたり、効率的な経営を進めていくことはとても重要です。中でも「SCM」は経営管理において、商品が最終的に顧客の手元に届くまでのプロセスを把握する上で必須の手法であり、近年多くの企業で導入が進んでいます。
ここでは「SCM」の基礎からプロセスの仕組みや導入のメリット、また最近注目される理由についてまとめています。早速、「SCM」の概念から見ていきましょう。
「SCM」とは?
「SCM」とは「小売業界におけるプロセス全体を管理するシステム」
「SCM」とは、”小売業界におけるプロセス全体を管理するシステムのこと”です。商品の製造過程から販売、そして最終的な顧客管理までを一貫してマネジメントする手法です。
商品に必要な資材の調達、工場での製造、出荷やディスパッチにおける物流行程、小売店での商品販売、さらに最終消費者の情報までをまとめて管理するものです。
また「SCM」は製造過程である工場内でのプロセスやディスパッチを含む物流システムだけに留まらず、親会社、子会社、関連会社などの複数の企業間で構築される総合プロセスのシステムとなります。
「SCM]」とは「Supply Chain Management」の略称
「SCM」は「Supply Chain Management」の頭文字をとった言葉です。日本語では「サプライチェーン・マネジメント」または「供給連鎖管理(きょうきゅうれんさかんり)」と呼ばれ、経営や業務の最適化を実現するために最も重要な手法の一つとして知られています。
ちなみに「SCM」は1982年にアメリカの一流マネジメント・ファーム「Booz Allen Hamilton(ブーズ・アレン・ハミルトン)」のオリーバー氏とウェバー氏によって提唱された言葉です。
「SCM」の目的は「情報をリアルタイムに共有すること」
「SCM」の主なる目的はそれぞれの企業や組織が提供する情報をリアルタイムに共有することです。日に日に変動する情報やニーズを把握しながら、それぞれの業務行程が「無駄のないもの」となるようにすることを主な目的としています。
「SCM」を導入すれば、「調達」「製造」「発送」「販売」などの各プロセスにおいて、在庫管理や滞留時間を削ることができるため、顧客に最短で商品を提供することが可能となります。これは顧客満足につながる軸になる部分とも言えるでしょう。
「SCM」を導入する3つのメリットとは?
企業や組織が「SCM」を導入するメリットとは一体何のでしょうか?業務の効率化に直接結び付く3つのメリットを挙げてみましょう。
業務の効率化と最適化の促進
資材や材料の供給元から顧客や消費者などの最終需要者に至るまで、すべての業務プロセスを「一連のプロセス」として解釈することで、業務の「効率化」と「最適化」を図ることができます。
「SCM」を導入すれば、生産数や発注数に併せて物流の強弱をコントールすることも可能でしょう。全体の業務プロセスの中で、それぞれの企業がどのような動きをしているのかを捉えることができれば、無駄のない業務活動を実現することができます。
リードタイムの縮小
「SCM」の2番目のメリットは資材の調達から発注、納品に至るまでの時間「リードタイム」を大幅に縮小することがです。消費者の手に商品が届くまでの時間を短縮すれば、顧客満足度を上げることにも貢献できます。
もちろん豊富な在庫を持っていればリードタイムは短くなりますが、逆に余剰在庫を抱えてしまうリスクを上げてしまうことにもなりかねません。「SCM」を活用すれば在庫へのリスクを最小限に抑えることができるため、経営での効率化にもつながります。
ビジネスチャンスの継続的な維持
「SCM」の3つ目のメリットは、システムの導入によって「継続的なビジネスチャンスの維持」ができることです。「SCM」を活用してタイムリーな需要と供給が可能になれば顧客満足につながることが期待されるため、結果としてビジネスチャンスの継続的な維持が実現できます。
「SCM」が脚光を浴びる2つの理由とは?
近年「SCM」の導入が盛んになっています。再び、「SCM」が脚光を浴びる理由を2つ挙げてみましょう。
企業のグローバル化
サプライチェーンや小売店、また委託販売店や量販店など、日本国内にある企業のグローバル化が急激に進んでいます。実際、世界の多くの場所で販売・生産拠点を構え、それに合わせて物流網も大幅に広がっているのが現状です。
現在は日本の輸出量も全体の半分を超えているため、「SCM」を導入することで全体の流通システムをできるだけ簡素に管理する必要が出てきているのです。
ビジネススタイルの変化
日本ではオンラインショッピングが全盛期を迎えていますが、「販売」と「運送」のタイミングが一体化し、「正確さ」と「スピード」が何より重要という状況になっています。購入してから即日配達をする企業も珍しくなく、厳しいマーケットで勝ち抜いていくためにはネット取引でのシステム拡張は必須です。
このような状況下で「売る」「届ける」を一体化することが必要となり始めたことから、再び「SCM」の必要性が高まっています。
まとめ
「SCM」とはサプライチェーン・マネジメントのことで、別の言葉では「供給連鎖管理」とも呼ばれています。企業や組織の枠を超え、業務全体の流れや動きを「一連のプロセス」として捉えることができるため、業務の全体における「効率化」「最適化」が期待できるのが最大の特徴でしょう。
経営において「無駄なコスト」「無駄な時間」はできるだけ省いていきたいものです。資材の調達から工場での生産、小売店での仕入れや販売状況、そして顧客への接点を含めた一連の業務行程を把握することで、時代にマッチした経営体制「SCM」を構築していきましょう。