「レイオフ」の意味は?「解雇」との違いやアメリカの事情も解説

「レイオフ」は企業における人事施策の一つですが、一般的にも良いイメージはないように思われます。しかし、「レイオフ」の正しい意味を知っていれば、パニックに陥らず落ち着いた行動をとることができるでしょう。

ここでは「レイオフ」の意味と目的、「レイオフ」がプラスとなる理由、またアメリカにおけるレイオフ事情について解説しています。よく混同されがちな「リストラ」との違いも理解しておきましょう。

レイオフとは?

「レイオフ」の意味は「労働者を一時的に解雇すること」

「レイオフ」の意味は、「労働者を一時的に解雇すること」です。業績が思わしくない企業が、一定のレベルまで業績回復するまでの間、人件費を削減するために行う施策です。

「layoff」は未来に向けて再雇用をするという可能性を持って行われ、完全な「解雇」ではないのが特徴です。「企業が健全な体制に回復するまで一時的に雇用をストップする」というニュアンスが強い言葉となります。

「レイオフ」は英語の「layoff(一時解雇)」のこと

「レイオフ」は英語で「layoff」または「lay-off」と表記し、英語の意味は「一時解雇」「一時休止期間」「一時帰休」となります。

「レイオフ」の目的は「優秀な人材の流出を防ぐこと」

「レイオフ」の目的は「一時的な解雇」により「優秀な人材の流出を防ぐこと」です。業績が悪化した企業は最もコストがかかる「人件費」を削減することが必要となりますが、それでも「優秀な人材」を解雇せず最終的に確保する方法をとるなら「レイオフ」が最も効果的な施策でしょう。

企業が優秀な人材を完全解雇しないのは、経験やスキルを他企業に流出することを防ぐためでもあります。「レイオフ」は「再雇用」が前提となるため、のちのち企業に戻ることが基本的な定義となります。

「レイオフ」の基準は「勤続年数の長さ」

一般的に「レイオフ」は勤続年数の短い労働者から行われ、また再雇用に関しては最も長く勤務する労働者から行われるのが一般的です。つまり、レイオフ期間が最も長いのが「勤務年数が最も短い労働者」、レイオフ期間が最も短いのが「勤務年数が最も長い労働者」となります。

「リストラ(解雇)」との違いは「再雇用を前提とするか」

「リストラ」と「レイオフ」の違いは、「リストラ」は「解雇」、「レイオフ」は「再雇用を前提とする一時解雇」となります。

ちなみに「リストラ」は、英語の「restructuring(再構築)」の略称で、本来なら企業や組織を再構築するという意味で使われるのが適切です。しかし、日本で「リストラ」は結果的に「人員整理のための解雇」と解釈される傾向が強いのが現状と言えます。「レイオフ」との違いと同様に、覚えておくとよいでしょう。

「レイオフ」のメリットとは?

「レイオフ」を「リストラ」と同じようなイメージで捉える人は「リストラ=悪いこと」として受け止めてしまうこともあるでしょう。しかし「レイオフ」は完全に悪いことではありません。ここで「レイオフ」がプラスとなる点について3つ挙げてみます。

「レイオフ」で特別退職金をもらえうこともある

労働者の視点で「レイオフ」を考えると、どうしても「解雇された」とネガティブになりがちです。しかし、「レイオフ」は企業が強制的に施行する策であるため、ある程度のベネフィットがあることも忘れてはいけません。

企業の規模にもよりますが、同じ企業に長年勤めた人であれば「レイオフ」を機に、年収に相当するほどの「特別退職金」をもらえることもあります。

「レイオフ」を前向きに捉えるビジネスパーソンなら、「レイオフ」で仕事を一時的に失っても、次の仕事で能力や経験を認めてもらえれば、給料やボーナスにおける好待遇も夢ではありません。とくに景気の良い時期の「レイオフ」は売り手市場の波にも乗ることも可能でしょう。

企業は「レイオフ」された優秀な人材をハントできるチャンス

「レイオフ」は企業側の視点から考えれば「優秀な人材を積極的にハントできるチャンス」でもあるでしょう。実際、人材不足に悩む企業は「レイオフ」された優秀な人材に「雇用チャンス」を呼びかけ、幅の広い仕事の選択肢を積極的に提供することがあります。

企業と労働者の双方でお互いに「winwin」の関係になれるよう、給料や福利厚生面、仕事環境を含めてお互いにフェアなジョブマッチングが行われることもあるのです。そのため、レイオフされた企業に戻る選択をせず、別の企業へ再就職を決める人もいます。

「レイオフ」で仕事でのストレスにおさらばする人も

多くの企業で配置転換や転勤などの「人事異動」が行われていますが、「行きたくない」「自分に合っていない」と気持ちが落胆してしまうこともあるでしょう。自主的に「退職」を選択する決断もできず、ストレスを貯めながら仕方なく了承してしまうのが現状であると言えます。

しかし、「レイオフ」を言い渡されたことで、かえって気持ちがスッキリするという人も多いようです。「企業の強制命令だから仕方がない」と逆に考えを割り切って、再雇用へのモチベーションを高めたり、人によっては次の就職へのきっかけにつなげることができるでしょう。「レイオフ」では、仕事や人間関係でのストレスに正当な理由を持って断ち切ることができるため、気持ち的にも楽になることが期待されます。

日本とどう違う?アメリカの「レイオフ」事情

日本とアメリカのレイオフ事情はどのように異なるのか、「レイオフ」への捉え方の違いを踏まえ解説していきます。

アメリカでは業績が良くても「レイオフ」を行う

アメリカの大企業では、たとえ業績が好調でも積極的にレイオフをすることがあります。おおむね技術力の高い優秀な人材を多く抱えるのが「大企業」の実態でもありますが、優秀な人材だからこそ、さらなるキャリアップ(収入アップ)を目指し、自己の能力やスキルを高く認めてくれる別の企業を探す傾向が強いと言えます。

このような背景において、アメリカでは業績が良くても、優秀な人材が別の企業に流れないように、計画的に「レイオフ」をすることがあるのです。

アメリカの大手企業で「レイオフ」が続く

アメリカ企業の大手ではマイクロソフトが2017年に米国外を中心に合計で4700名、GM(General Motors)は2018年に米国とカナダを中心に14,800名をレイオフしています。今回のレイオフは「人件費削減」と「顧客やパートナーへのサービス向上のため」とメディアでは発表しています。

まとめ

「レイオフ」は英語の「layoff」のことで、意味は「再雇用を前提とする一時解雇」となります。似たような言葉である「リストラ」の意味は「解雇」となるため、「レイオフ」とは異なり再雇用の可能性はありません。

深刻な経営事情を抱える企業は業績が改善するまで「レイオフ」を施策とすることがありますが、業績が良くても「人材流出を防ぐ」ために「レイオフ」を実行するケースもあります。「レイオフ」を言い渡されたら、慌てず「プラス思考」で将来の選択を考えていきましょう。