「同床異夢」の意味と使い方とは?語源や類語・対義語表現も解説

グループや集団における個々の考え方について述べる時、「同床異夢」という言葉を使うことがあります。職場でも使われることがありますが、ビジネスパーソンとしても意味を理解して正しく言葉を使っていきたいものです。

ここでは「同床異夢」の意味と語源、使い方と例文、類語と対義語を英語表現を含めて解説しています。表現の幅を深めるためにも、ぜひ意味や使い方をマスターしましょう。

「同床異夢」の意味と語源とは?

「同床異夢」の意味は”一緒に行動していても内心は異なること”

四字熟語「同床異夢」の意味は、“床が同じでも、それぞれ考え方や意見が異なる・一緒に行動していても内心は異なる”です。

職場では、同じ部署やチームで協力しながら仕事をしていても、それぞれのメンバーが内心では違った考えや主張を持っていることもあるでしょう。職場という同じ舞台で、同じゴールや目標を掲げていても、心の中では「納得できない」「間違っている」などと、密かに思うことがあるかもしれません。

「同床異夢」は同じ屋根の下にいながら、協力して何かをしようとする時に、それぞれが別の思いを抱いていることを指しています。

「同床異夢」の語源は”陳亮‐与朱元晦書”

「同床異夢」は中国の書物「陳亮‐与朱元晦書」から生まれた言葉です。「陳亮‐与朱元晦書」は南宋時代に中国の思想家「陳亮(ちんりょう)」が書き記したもので、原文「同床各做梦 周公且不能学得 何必 到孔明哉」の部分が語源となります。意味は「寝床を同じくしても別の夢を見れば、たとえ周公且であっても、お互いの考えや意見は理解できない」です。

南宋時代、陳亮と「朱熹(しゅき)」という別の儒学者は一般的には仲が良く見えても、二人の思想がぶつかりあうことは多かったとも言われ、「頻繁に意見が異なる二人」としても知られていました。

「同床異夢」の使い方と例文とは?

「同床異夢」は悪い意味でも良い意味でも使われる

「同床異夢」で理解しておきたいのは、悪い意味でも良い意味でも、どちらの意味でも使われるという点です。

たとえば、職場で同じチームでもライバル視している人がいるなら、たとえチームワークが大切であっても「ライバルを蹴落としてやろう」と心の中で企んでいるかもしれません。

一方、同じジムに通う仲間でも、真剣に「体重を落としたい」という人もいれば、純粋に「身体を鍛えたい」、また心ときめくような「出会いを求めている」という人もいるでしょう。こちらの例は純粋に目的が異なるというだけで悪い意味ではありません。

「同床異夢」を使った例文

「同床異夢」を使った例文をご紹介しましょう。

  • イベント開催で3つの協力会社が集まったが、内容についてはどうやら同床異夢のようだ。
  • たとえ親子であろうとも、経営手法については父と息子の考えが同床異夢である。
  • 同床異夢にならないように、アイデアと問題点の共有は必要ではないか?

「同床異夢」の類語と対義語とは?

「同床異夢」の類語は”同床各夢”

「同床異夢」の類語は「同床各夢(どうしょうかくむ)」です。「同じ床にいても、各々がそれぞれの夢を見る」という意味を持ち、ほぼ「同床異夢」と同じニュアンスで使われます。

「同床異夢」の対義語は”異榻同夢”

「同床異夢」の対義語は「異榻同夢(いとうどうむ)」です。「異榻同夢」の「榻」は「こしかけ」のことで「腰掛」を指し、全体の意味は「異なる環境にいても、同じ夢を見る」となります。つまり「異なる場所や立場にいても、同じ意見や主張、価値観やゴールを抱く」というニュアンスを持って使われる表現です。

「同床異夢」の英語表現とは?

「同床異夢」の英語表現は状況や文脈によって表現が異なる

「同床異夢」の英語表現は、状況や文脈によって表現が異なります。以下に例文を挙げてみましょう。

  • 同棲しているのに意見が異なる場合:cohabiting but live in different world.
  • 同じチームなのに目標が異なる場合:working in the same team but see different goal.
  • 親子なのに考えが異なる場合:We are father and son but stick with different idea.

まとめ

「同床異夢」は「寝床を同じくしても、異なる夢を見ること」という意味が転じ、「同じ立場にいながら、思想や主張が異なること」「一緒に協力してものごとを行いながら、内心では別の事を考えていること」を指す言葉となります。

たとえ家族同士であっても、同じ職場の仲間同士でも、それぞれ心の中では違う思想を持ち、別の事を考えていることは珍しいことではありません。

職場においての「同床異夢」は、時として言い争いや仕事の遅れにつながることがあります。できるだけ考えや思いを一つにし、チーム一丸となって目標達成へと走っていくように心がけていきましょう。