「生殺与奪」とは「生きる・殺す」「与える・奪う」という言葉の成り立ちから、「他人を思い通りにする」という意味を持つ四字熟語です。「生殺与奪の権を持つ」と使えば、自分以外の第三者に対して絶対的な主導権を持っていることを言います。
ここでは「生殺与奪」の読み方と意味、使い方や例文、類語、英語表現もご紹介します。
「生殺与奪」の意味や読み方とは?
「生殺与奪」の意味は”他人を自分の思い通りにすること”
四字熟語「生殺与奪」の意味は、“他人を自分の思い通りにすること”です。「生殺」「与奪」という相反する言葉からの成り立ちからもわかるように、他人を「生かしたり殺したり、また与えたり奪い取ったりする」こと、つまり他人に主導権を与えない状態を示す言葉です。
「生殺与奪」の読み方は”せいさつよだつ”
「生殺与奪」という四字熟語の読み方は“せいさつよだつ”となります。「生殺」の部分を「しょうさつ」「きさつ」と読まないように気を付けましょう。
「生殺与奪」の使い方や例文とは?
「生殺与奪の権を握る」と使う場合が多い
四字熟語として「生殺与奪」を使う場合、「生殺与奪の権を握る」「生殺与奪の権利を持つ」といった表現をします。これは他人を思い通りに動かす権利を握っていること、つまり絶対的主導権を持っていることを意味します。
たとえば、「Aさんの生殺与奪の権は、Bさんにある」といえば、Aさんの命運の全てはBさんの手の中にある、と言えるのです。こういった表現はよく小説や漫画、映画などの創作内でも使われます。
「攻撃的な言葉」なので日常会話ではあまり使わない
「生殺与奪」という言葉は、漢字一つひとつのイメージからもわかるように攻撃的なニュアンスを持ちます。そのため日常会話の中ではあまり使わない表現だと言えるでしょう。のちに言い換え表現を挙げますが、「生かすも殺すも(思いのまま)」「運命を決める」などを使うとマイルドな印象になります。
「生殺与奪」を使った例文
「生殺与奪」を使った例文をご紹介しましょう。
- 生殺与奪の権を、絶対に敵に奪われてはいけない。
- このプロジェクトでAさんをどう扱うか、生殺与奪の権利は会社側にあるとも言えるだろう。
「生殺与奪」の類語とは?
言い換えできる類語は「手玉に取る」「活殺自在」
「生殺与奪」と言い換えのできる類語は「手玉に取る」「活殺自在(かっさつじざい)」、また「生かすも殺すも思いのまま」などになります。
「手玉に取る」は会話でもよく使われる表現で「相手を思いの通りにする」、また「活殺自在」は「自分が相手より優れていることで、思いのままに勝ち負けが決定できる状況のこと」を意味する言葉です。
「舵を取る」「カギを握る」も似た表現
「舵を取る」は「ものごとの取り決める際に主導権を持つこと」という意味があり、「相手を生死を自分の意思に委ねる」というニュアンスがあります。
また「カギを握る」「行方を握る」「運命を決める」も、「カギを握る」と同じような意味でよく使われますが、「生殺与奪」よりも言葉の意味合いがやわらかく、会話の中で好んで使われるのが特徴です。
「生殺与奪」は上司が理解しておくべき言葉?
職場で人の上に立つ上司やリーダーは、部下を指導する際、「生殺与奪」の意味を踏まえて行動することが求められています。
「生殺与奪」は人間の権利に関係する言葉でもある
「生殺与奪」は「生殺与奪の権を握る」というように、人間の権利に関係する言葉でもあります。
また「生殺与奪」は言ってみれば「支配」「コントロール」という言葉と深い結びつきがあるとも言えるでしょう。そのため、職場をはじめ、あらゆる社会生活など人間関係が存在するシーンでは「生殺与奪」の状況を生まないようにすることが大切です。
上司として「生殺与奪」の意味を理解する
「部下」を持つ上司にとっては、生活環境や考え方の異なる部下に対し、個人の感情を全く抜きにして接してくことは簡単なことではないでしょう。
部下の成果によっても評価される立場にある「上司」や「チームリーダー」は、焦りが加速して「部下」の意思や考えや尊重せず、攻撃的に支配してしまうことがあるかもしれません。つまり、上司が部下に対して「お前をどうにでもできる」と威圧的な態度で接したり、条件を掲げてノーと言えない状況に追いやったりすることです。
しかし「生殺与奪」の言葉からも学べるように、部下を自分の意のままに支配することは、業務管理者として適切な姿ではないと言えます。
「生殺与奪」を使う時は相手に気を付ける
「生殺与奪」という言葉を使う時は、相手との良好な関係を崩してしまうことが考えらえれるため、権利や権限を著しく奪われてしまったり、人権を侵害されてしまった際など、よほどの事情が絡む時のみに使うようにして下さい。
「生殺与奪」の英語表現とは?
「生殺与奪」は英語で”power of life or death”
第三者的に会話で「生殺与奪」という言葉を使う場合は“power of life or death”となります。
ただし、英語圏では人の命や人権に対する表現に非常にシビアです。英語で「生殺与奪」を表現する時は、使う相手や状況を選んで使うようにして下さい。
まとめ
「生殺与奪」は「他人を生きるも殺すも思いのままにすること」「第三者の権利や権限を与えたり奪ったりすること」を意味し、総じて「人を意のままに支配する」ことを指す言葉です。
ビジネスの場では、労働の権利や休暇を取得するさまざまな「権利」の他、部下に指示をしたり命令をしたりするさまざまな権限が数多く存在しています。管理職はもちろん、上司やリーダーである立場の人は部下それぞれが持つ状況や考えを理解し、公平な職場環境で働けるよう心がけていきましょう。