ビジネスで「思います」はNG?「思う」の敬語表現と英語表現

日本語には様々な敬語表現があり、言葉ひとつ、表現ひとつで相手への伝わり方や印象は大きく変わります。時と場合により、適切でない敬語表現をしてしまうと失礼にあたることも。ビジネスを行う上では正しい敬語の使用を求められることがあるため、普段から適切な敬語表現が使えるように意識しましょう。



「思う」の敬語表現と使い方

丁寧語は「思います」

「思います」は「思う」に「ます」を付けた丁寧語です。敬語表現は大きく分けて丁寧語・謙譲語・尊敬語・丁重語(謙譲語Ⅱ)・美化語があります。以下ではビジネスで使うことの多い「謙譲語」と「尊敬語」で表現する様々な「思う」について解説します。

謙譲語は「存じる」「所存」

「思う」の謙譲語は「存じる」「所存」などが挙げられます。謙譲語は相手や第三者にへりくだり、自分が下に立つ表現方法で、自分が動作の主体になる「動詞」、物事に使う「固有名詞・名詞」、状態に使う「形容詞・形容動詞」に用いて表現が可能です。

尊敬語は「お思いになる」「思われる」

「思う」の尊敬語は「お思いになる」「思われる」などが挙げられます。尊敬語は相手や第三者を敬い、相手を上に立てる表現方法で、相手が動作の主体になる動詞や形容詞・形容動詞などに用いて表現が可能です。「思し召し(おぼしめし)」も「思う」の尊敬語にあたりますが、あまり使われるケースがないため今回は割愛します。

尊敬語は語尾に「~れる」を付ける場合や、「お~になる」を付ける場合に加え、言葉自体が別の言葉に置き換わる場合もありますが、「思う」の尊敬語では前2点が適切な表現方法です。

謙譲語・尊敬語と丁寧語を組み合わせる

謙譲語は「所存」「存じる」、尊敬語は「お思いになる」「思われる」と先述しましたが、これらの敬語表現に丁寧語である「です・ます」の表現を組み合わせることで、より丁寧な敬語に変化させることが可能です。

丁寧語を組み合わせる例
所存→所存です・所存であります
存じる→存じます・存じ上げます(対象が人の場合)
思われる→思われます

「思います」を仕事で使うときの注意点

使いすぎはNG?「したいと思います」

「思います」は「思う」の丁寧語のため、必ずしもビジネスで使用してはいけないということではありませんが、ビジネスでは「意思の言い切り」を求められることがあります。「~したいと思います」という表現には「責任感が伴わない」「思うだけで実行しない」「主体性がない」「消極的」「逃げ腰」などのマイナスな印象を与えることがあるため、ビジネスの世界では好ましくない表現になります。

反対に、行動に移すか否かは別として「思っている」という意思表示で終わるのではなく、「今後の行動や意思を言い切る」ことで責任感や実行力がある印象を与えられる可能性が高くなります。「思っています」「思いました」などが口癖になって多様してしまう前に、言い切る表現を頭に入れておくことが大切です。

言い換え例
・提出しようと思います→提出します
・努力しようと思います→努力します
・したいと思っています→します
・できると思います→できます

二重敬語に注意「お思いになられる」

さまざまな敬語表現を組み合わせると先述しましたが、二重敬語にならないように気をつけなければなりません。表題の「お思いになられる」は、一見丁寧な表現に感じることもありますが「お~になる」と「~れる」がどちらも尊敬語にあたるため、「二重敬語」になってしまいます。この場合は「お思いになる」「思われる」のどちらかが適切な表現となります。

また、「存じておられる」や「存じていらっしゃる」などにも注意しましょう。「存じる」は謙譲語=自分の行動や状態などをへりくだる表現のため、尊敬語を組み合わせるのは適切ではありません。基本的には自分に関する表現のうち「と思います」の部分を「と存じます」に置き換えると覚えておきましょう。

類語と言い換え表現を覚える

ここまで記載してきた「思う」の尊敬語や謙譲語はバリエーションが多くはありません。何度も繰り返し使用すると違和感のある文章になってしまう可能性もあります。「思う」に近い意味を持つ表現を一部紹介しますので、相手や場面に応じた使い分け・言い換えの参考にしてみてください。

意味が近い単語
考える
感じる
想像できる
見える
印象を受ける
印象に残る
理解する
分かる
感想を持つ
頭に浮かべる
所感
考察

「思います」を英語で表現する方法

「思います」の敬語表現を英語で表す場合はどのような文法が適切なのでしょうか。

英語の敬語表現

英語には日本語のような複雑な敬語表現はありませんが、相手に応じて距離感をつくることで丁寧な表現をする方法はあります。日本語での敬語表現は英語に比べて身近な存在で、意識して使うことで自然に身につくことがあるため、ここからはビジネス英語で表現する「思います」に重点を置きピックアップします。

肯定意見「私は~と思います」の例文

相手への肯定意見として「私はそれが良いと思います」を英語で表現する場合の例を挙げます。「私はそれが良いと思います」をそのまま英訳すると「I think it’s a good thing.」になりますが、「I think~」はカジュアルな印象のためビジネスにはあまり適していません。以下の表現例では「it’s a good thing」の部分を状況に応じて言い換えることで様々な「思います」に応用可能です。

肯定意見の表現例
I guess it’s a good thing.」…guess=推測
「良いとは思っているが、少し良くないかもしれない」というニュアンスも含まれています。

I suppose it’s a good thing.」…suppose=想定
「guess」と似た意味合いですが書き言葉にもよく使用され、フォーマルなニュアンスが含まれています。

I believe it’s a good thing.」…believe=信じる
強い期待を込めている場合や、何かの根拠がある場合などに使います。

I bet it’s a good thing.」…bet=賭ける
betは「賭ける」という意味ではあるものの、口語的な会話では「確信して思う」というニュアンスで使われます。

I agree it’s a good thing.」…agree=同意
「そう思います」の場合は「I agree with you.」として相手を立てる表現も。

否定意見「私は~と思いません」の例文

先述の例を元に、相手への否定意見を「私は良いと思いません」=「私は良くないと思う」として例を挙げます。そのまま英訳をすると「I think it’s no good thing.」や「I think it’s not good thing.」になりますが、肯定意見と同様にあまり適切ではない表現となります。

英語で否定(反対)をする場合は「I think+否定」でも文法的には間違いではありませんが、「I don’t think+肯定」の文法が一般的です。肯定意見の「I」の後に「don’t」を付けると否定意見になると覚えておきましょう。

反対意見の表現例
I don’t guess it’s a good thing.
「良くないとは思っているが、少し良いかもしれない」というニュアンスも。

I don’t suppose it’s a good thing.」guessよりフォーマルな表現

I don’t believe it’s a good thing.」何かの根拠がある場合など。

I don’t bet it’s a good thing.」…「確信して思う」というニュアンス。

まとめ

日本語の「思います」、英語の「I think~」、どちらもビジネス上ではあまり適切ではない表現であるといえます。日本語における敬語表現も英語の丁寧な表現方法も「相手との距離感」が共通していることを頭に入れておき、状況に応じた言い換え方法や適切な敬語表現で自分の意見を述べられるように、敬語について理解を深めましょう。