「閑古鳥」とは?「閑古鳥が鳴く」の意味や由来に使い方を解説

閑散とした店内を見て「閑古鳥(かんこどり)が鳴く」ということがありますが、ところでこの「閑古鳥」とはどんな鳥なのでしょうか。そもそも実在するのでしょうか。

そこで今回は「閑古鳥」がいるのかいないのか、いるのならどんな鳥のなのかを解説して、成句「閑古鳥が鳴く」の意味やその言葉の由来に使い方、さらにはその英語表現も紹介します。

「閑古鳥」とは?

「閑古鳥」の意味は”「かっこう」の別称”

「閑古鳥」の意味は、“「かっこう」の別称”です。そのため実在する鳥です。読み方は「かんこどり」です。

「かっこう」は漢字で「郭公」と書き表すこともできます。

全長約35センチほどで、翼と尾が長い鳥です。全体に灰色ですが腹部は白く、不規則ですが細い黒の横じまがあります。

日本では夏鳥として渡来して、街中よりは高原などでその姿が見られます。

「閑古鳥」以外にも「合法鳥」(がっぽうどり)という呼び名もあります。

「閑古鳥」の鳴き声は寂しい印象

閑古鳥と呼ばれる「かっこう」の鳴き声は格別もの悲しい印象に聞こえることが多いようです。

かの有名な俳人も閑古鳥について句を詠んでいます。

”憂き我を寂しがらせよ閑古鳥”━松尾芭蕉

閑古鳥の鳴き声に同調して寂しい気持ちになるのが、閑古鳥の鳴き声のようです。

「閑古鳥」の季語は夏

閑古鳥はかっこうと同じく、俳句では夏の季語です。

なぜ夏かと言えば、初夏である6月ごろに飛来してくる鳥だからでしょう。

古語では「呼子鳥(よぶこどり)」

閑古鳥の古語として「呼子鳥」(よぶこどり)という呼び名もありました。ただし呼子鳥は閑古鳥以外の鳥も、呼子鳥と言われていたという説があります。

呼子鳥とは「鳴き声が人を呼ぶときのように聞こえる鳥」のことで、閑古鳥のことだというのが有力説ですが、それ以外にも鶯(うぐいす)やホトトギスなども呼子鳥だったとも言われています。

「閑古鳥が鳴く」の意味と使い方とは?

「閑古鳥が鳴く」の意味は”たいへん静かで物寂しい”

「閑古鳥が鳴く」とは「たいへん静かで物寂しい」といった状態を表す成句です。

特に、お客が入らなくて流行っていない店など商売などが流行らない状態を例える表現としてよく使われています。

「閑古鳥が鳴く」がどうしてこういう意味で使われるかと言うと、閑古鳥の鳴き声が切なくもの悲しい気分を誘うからだと言われています。

「閑古鳥が鳴く」の使い方と例文

「閑古鳥が鳴く」の一般的な使われ方は、お店や商売で「さびれている」「繁盛していない様子」を言い表すときに使われます。

かっこうの物寂しい鳴き声が、お店がさびれた様子を象徴しているのでしょう。

例文:
「あの店は閑古鳥が鳴いている」
「不景気続きで、閑古鳥が鳴くようになってからもう数カ月が経った」

「暇がある」という意味での誤用に注意

閑古鳥の「閑」という字には、「静かなさま」という意味と同時に「暇」という意味もあります。

そのためかも知れませんが「閑古鳥が鳴く」の意味を「暇がある」という意味で誤用されることがあります。しかし「閑古鳥が鳴く」には暇のような「仕事がなくやることがない」という意味はありません。

「閑古鳥が鳴く」とは物寂しい状態か、または商売などが流行っていないという意味で使われます。

誤用の例文:「ちょうど看護鳥が鳴いていたところだ。一緒に飲みにでも行こうか」

「閑古鳥が鳴く」の類語と対義語とは?

類語は「門前雀羅を張る」

  • 「門前雀羅を張る」(もんぜんじゃくらをはる)

人気がなく、さびれていることのたとえ。

尋ねる人があまりに老いないので、門前に雀を捕まえるためのアミを張ることできないほど寂しいという意味で、史記の「門外可設雀羅」からの出典です。

対義語は「門前市を成す」

  • 「門前市を成す」(もんぜんいちをなす)

その家に人の出入りが多い様子を指します。そのことから、商売が繁盛しているさまの意味です。

「閑古鳥が鳴く」の英語表現とは?

「閑古鳥が鳴く」は”繁盛していない”を英訳

「閑古鳥が鳴く」をそのまま英語に直訳しても店が「さびれている」や「繁盛していない」という意味にはなりません。そのため「繁盛していない」を英訳する必要があります。

その意味の英訳は、次のようになります。

  • “to be quiet”「静かだ」
  • “to in a slump of a business”「ビジネスがスランプ状態だ」
  • “to have hardly customers”「客がほとんどいない」

直訳は「cuckoo sings」

「閑古鳥が鳴く」を直訳すると、「閑古鳥」が「cuckoo」で、「鳴く」は「sing」です。

鳥が鳴くという英単語には、「cry」やカラスや蛙がガーガー・ケロケロと騒がしく鳴くなら「croak」もありますが、閑古鳥であるかっこうがその美声を響かせて鳴いているのであれば、「歌う」という意味の「sing」がいいでしょう。

まとめ

「閑古鳥」とは「かっこう」のことで実在する鳥でした。また「閑古鳥が鳴く」というと、その鳴き声の物寂しさから「寂しい様子」や「店が繁盛していない様子」のことを指します。

決して暇だという意味ではなくポジティブな意味もありませんので、「閑古鳥が鳴く」を使うときには周囲の目も配慮して使うようにしましょう。

 

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。