珍しい漢字がならんでいる「有耶無耶」という言葉。読み方や意味をご存知でしょうか。今回は、「有耶無耶」についてご紹介します。読み方や意味だけでなく、珍しい漢字を使っている由来や、似ている言葉「あやふや」との違い、類語と対義語も紹介いたしますので、参考にしてください。
「有耶無耶」の意味や読み方とは?
「有耶無耶」の意味は”はっきりしない”
四字熟語「有耶無耶」の意味は、“物事がはっきりしないこと・あいまいな様子”です。「有る」と「無し」を表す「有無」に、疑問を表す「耶」を加えた漢字で、「有るのか無いのかはっきりしない」という意味から「物事がはっきりしない」という意味になっています。
「有耶無耶」の読み方は”うやむや”
「有耶無耶」の読み方は、“うやむや”です。「有」と「無」は、「有無」を「うむ」と読むときと同じ読み方です。
「耶」は、人名以外にあまり使われない漢字で、「や」と読みます。疑問を表す漢字です。「有耶無耶」以外には、「耶馬台国(やまたいこく)」と使われることがあります。
漢字で「有耶無耶」と書くこともありますが、ひらがなで「うやむや」と使うことも多いため、両方覚えておくとよいでしょう。
「有耶無耶」の語源とは?
「有耶無耶」の語源は、秋田にある”有耶無耶の関”
「有耶無耶」の語源には諸説あります。一説によると、秋田県と山形県の県境にある「有耶無耶の関」が語源です。
昔話ですが、秋田県と山形県の県境の山には、人喰い鬼が住んでおり、大きな被害がありました。そこで、山の神がカラスを遣いに出し、人喰い鬼が現れた時には「有や」、現れない時には「無や」と鳴かせて、人々に知らせたと言われています。
つまり、「有や」「無や」と鳴くカラスがいるので「有耶無耶の関」と名付けられたというお話です。
「有耶無耶」と「あやふや」の違いとは?
「有耶無耶」と似ている言葉に「あやふや」があります。どちらも「はっきりしない」という意味を持っており、使い分けに迷うこともあるのではないでしょうか。ここでは、「有耶無耶」と「あやふや」の違いを紹介します。
「あやふや」の意味は”あてにならない”
「あやふや」の意味は、「物事がはっきりしないこと」「あてにならない様子」「あいまいで不確かな様子」です。
例えば、「記憶があやふや」という言葉は、「自分の記憶がはっきりしていない」「記憶があいまいで不確か」という意味になります。
「有耶無耶」と「あやふや」の違いは”意図的かどうか”
「有耶無耶」と「あやふや」には、どちらも”物事がはっきりしないこと”という意味があります。使い分けるときには、物事がはっきりしない原因が、意図的かどうかで見分けます。
「有耶無耶」は、「有耶無耶にする」と使うことが多く、意図的にはっきりしない状態にするときに使います。例えば、「不都合なことを隠すために、話を有耶無耶にしてごまかした。」などです。
これに対して「あやふや」は「あやふやになる」と使うことが多いです。意図的ではなく、物事がはっきりしない状態になってしまったときや、元からはっきりしていないときに「あやふやになる」や「あやふやである」と使います。例えば、「飲みすぎて昨夜の記憶があやふやだ」となります。
「有耶無耶」と「あやふや」の例文
「有耶無耶」や「あやふや」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 有耶無耶にしても、いずれ嘘は公になる。
- 悪事を有耶無耶にしようと言い訳をしたが、すべて見透かされていた。
- 彼の言動は、わざと有耶無耶にしようとしているように見える。
- お酒を飲みすぎてしまい、記憶があやふやだ。
- 1回目の講義の知識があやふやになってしまい、2回目についていけるか心配だ。
- 古い話なので、あやふやで思い出せない。
- 「有耶無耶」の語源や由来は?
「有耶無耶」の類語・対義語とは?
「有耶無耶」の類語は”曖昧・不確定”
「有耶無耶」の類語は、「曖昧」「不確定」などです。物事がはっきりと定義されていないことや、明確に表現されていないという意味の言葉が類語です。
このほかにも、「不分明」「中ぶらりん」「漠然たる」などの類語があります。また、先ほど紹介した「あやふや」も類語の1つです。
「有耶無耶」の対義語は”一目瞭然・明明白白”
「有耶無耶」の対義語には、「一目瞭然」や「明明白白」などがあります。「一目瞭然」とは、「一目見ただけではっきりとわかる」という意味で、「明明白白」とは、「誰が見てもはっきりしていて、疑いようがない」という意味です。
どちらも、「はっきりとしていることがよくわかる」という内容の言葉で、「物事がはっきりしない」という意味の「有耶無耶」の対義語になっています。
まとめ
「有耶無耶」は「うやむや」と読み、「物事がはっきりしないこと」や「あいまいな様子」を表す言葉です。意図的に物事をはっきりさせないときに使います。似ている言葉に「あやふや」がありますが、自分の意図とは関係なくはっきりさせることができない場合に使いますので、違いを覚えておきましょう。類語や対義語なども参考になれば幸いです。