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「虚栄心」の意味とは?類語「自尊心」との違いや対義語・英語も

「虚栄心」という言葉は何となく悪いメージだけど、詳しい意味は知らないという人は多いようです。今回は「虚栄心を満たす」など日常でも良く聞く「虚栄心」という言葉の意味や使い方について解説します。類語「自尊心」との違いや、言い換えに使える「プライド」、対義語や英語にも触れていますので参考にしてください。

「虚栄心」とは?

「虚栄心」の意味は”現実よりも過剰に良く見せようとする気持ち”

「虚栄心」の意味は、”自分を現実よりも過剰に良く見せようとする気持ち”です。人間の心理状態を表す言葉です。読み方は「きょえいしん」です。

「栄えていないのに、栄えているように見せかけたいという心」が”虚栄心”です。たとえば、経済的な余裕がないのに、余裕があるように振る舞ったり、異性から特に人気があるわけではないのに、さも人気があるように振舞ったりすることも「虚栄心」の表れと言われています。

他にも、仕事や家庭などさまざまな場面で持つ「自分が周囲よりも良い状態にあるように見せかけたいという気持ちを表します。

「虚」とは”からっぽ”という意味

「虚栄心」の「虚」は「中身がない」「からっぽ」という意味です。後に来る言葉を否定的に表現する役割をします。そのため、「栄える・繁栄している」という状態は、中身のない虚のものであり、その「虚の栄」を持つ心を「虚栄心」と言います。

「虚栄心」の類義語と対義語とは?

虚栄心の類語は「見栄っ張り」「プライド」

「虚栄心」という言葉には、いくつかの類語があります。中でも、日常で使いやすいのは「見栄っ張り」「プライド」でしょう。

「見栄っ張り」は「虚栄心」の核となる心情をそのまま言葉にしているため、「虚栄心が強い」という言葉と、ほぼイコールの意味として使うことができます。

「彼は虚栄心が強い人だ」は「彼は見栄っ張りだ」、「自分の短所は虚栄心が強いことです」は「自分の短所は見栄っ張りなところです」など、そのまま言い換えられます。

一方「プライド」を「虚栄心」の類語として使う場合は「高すぎる」という表現と一緒に使う必要があります。適度なプライドは「虚栄心」とは言えないためです。

「彼は虚栄心が強い人だ」は「彼のプライドは高すぎる」、「自分の短所は虚栄心が強いことです」は「自分はプライドが高すぎるところがあります」など、やや形を変えて言い換えられます。

「虚栄心」の類語”自尊心”との違い

「虚栄心」とは、人の心理状態を表す名詞です。同じように、人の心理状態を表す言葉に「自尊心」があります。

「自尊心」とは、文字通り「自分を尊いと思う心」であり、簡単に言えば「自分を大切にする気持ち」です。「虚栄心」の根本にある「見栄を張りたい」という気持ちも、「自分を大切に思うからこそ、人から羨まれるように振る舞う」という、ある種の「自分を大切にする気持ち」から生まれています。そういう意味では「虚栄心」と「自尊心」は類語と言えるでしょう。

しかし、「虚栄心」がネガティブな意味でしか使われないことに対して、「自尊心」は比較的ポジティブな意味で使われます。「虚」という偽りを使って無いものをあるように見せかける「虚栄心」と、ものの有る無しにかかわらず自分を大切にしようとする「自尊心」には、「自分を大切にする」という共通点はありながらも、その表現の仕方が異なります

「虚栄心」の対義語は”ありのまま・謙虚”

「虚栄心」という言葉の反対の意味・気持ちとは、自分を現実以上に良く見せようとしない、または自分を省みて等身大でいようとする気持ちなどです。これらは類語で言えば「ありのまま」「謙虚」などでしょう。

「ありのまま」とは、言葉の通り「自分そのまま」「自分があるがまま」という意味で、見た目も気持ちも飾り気がなく、見栄を張らない様子を表します。「彼はいつもありのままで気持ちが良い人だ」「私はありのままでいたいと思っています」などと使うことができます。

「謙虚」とは、「(相手に対して)へりくだり、そこに(悪意など)何も含まない」という意味です。「虚栄心」のように、何か思惑があって振る舞うのではなく、ただへりくだっている様子を指します。「何も含まない」という部分で「自分を過剰に良く見せたいなどの気持ち」も持っていないことを表し、自分以外の人に対してへりくだって接する様子を表しています。「彼は謙虚で感じが良い人です」「私はいつも謙虚で居たいと思っています」などと使います。

「虚栄心」の使い方と例文とは?

見栄を張りたい気持ちを満足させる「虚栄心を満たす」

自分や誰かが持っている「自分を良く見せたい」と思う気持ちを叶えることを「虚栄心を満たす」と言います。

「自分を良く見せたい」という気持ちは、簡単に言えば「見栄」です。見栄を張りたい、という気持ちを、言葉や振る舞い、あるいは持ち物などの物を使って満足させる状態を「虚栄心を満たす」「虚栄心が満たされた」と表すことができます。

  • 「私は後輩に過去の栄光を話して聴かせることで、自分の虚栄心を満たしているのかもしれない」
  • 「彼の虚栄心を満たすために、周囲はいつも彼を持ち上げている」
  • 「部長の虚栄心は、ちょっとやそっとでは満たされないだろう」

恋愛で使われることも多い「虚栄心の強い男(女)」

「虚栄心」を持つことに、男女の違いはありません。男性でも女性でも、虚栄心を持っている人は持っています。その上で「虚栄心の強い男性」あるいは「虚栄心の強い女性」という言い方をすることがあります。

「虚栄心の強い男(女)」という言い方は、性別を強調した意味を持っていることが多く、恋愛の場面や、性別によるその人への非難の気持ちが働いていることが多いようです。

  • 「私は虚栄心の強い男性とのお付き合いはしたくない」
  • 「彼女のような虚栄心の強い女とはやっていく自信がない」
  • 「男(女)のくせに虚栄心が強くて困る」

見栄を張る気持ちが強い人を表す「虚栄心の塊」

「虚栄心」という言葉を使った言葉はたくさんありますが、いずれもその人をネガティブに表現します。その中でも特にその人の虚栄心の強さを表現するときに使われるのが「虚栄心の塊(かたまり)」という言葉です。

「虚栄心の塊」とは、その人の虚栄心が人並み外れて強いことを表す言い方で、その人の言動のすべてが虚栄心から来ている見栄だと言っても良い、というくらい、その人の虚栄心が突出してることを指しています。

  • 「課長はまさに虚栄心の塊だ」
  • 「昔の私は虚栄心の塊で、ありもしないお金がさも潤沢にあるように振る舞っていました」
  • 「彼のような人を、虚栄心の塊というのだろう」

過剰な見栄を克服することを「虚栄心を捨てる」

「虚栄心」は「持つ」「強い」「ない」などの言葉で有無や程度を表します。そして、既に持っている虚栄心を手放すことは「なくす」「捨てる」と表現します。

特に「虚栄心を捨てる」という表現には、虚栄心を手放すことへの強い思いを込めやすく、その人にとって「虚栄心」がいかに不要なものであるか、ということも表すことができます。

  • 「いい加減に虚栄心は捨ててしまいなさい」
  • 「私は虚栄心を捨てる決心をした」
  • 「彼が虚栄心さえ捨ててくれれば、良い付き合いができると思う」

「虚栄心」の英語表現とは?

「虚栄心」は英語で”vanity”や”vein”

「虚栄心」という言葉は、人の心理を表す言葉であるため、英語にも同じ意味を持つ言葉があります。それが「vanity」です。「vanity」は「虚栄心」「うぬぼれ」という意味を持つ名詞ですが、「vein」という形容詞にして使うこともできます。

「She is vein about her wealth」は「彼女は自分が資産を持っていると自慢する」という意味になり、それが本当であっても嘘であっても「それを鼻にかける」というニュアンスで使うことができます。これを日本語の表現に当てはめると「彼女は虚栄心が強い」となり、自分がさも資産家であるように振る舞っている、という状態を説明することができます。

まとめ

「虚栄心」はプライドが高すぎることが原因で起る感情と言われています。しかし、人にとって適度なプライドは必要でもあり、それが自分を律したり、励ましたりしてくれることもあるでしょう。人の感情は目に見えない分、調整が難しいものです。「虚栄心」という言葉を正しく知ることで、自分の感情がプライドなのか、虚栄心なのかを見極められるようになると良いですね。