「一陽来復」とはなんとも縁起が良さそうに聞こえる四字熟語ですが、その意味も果たして縁起のいいものなのでしょうか。またこの言葉はどのような語源で産まれた言葉でしょうか。
そこで今回は「一陽来復」の意味と由来、それから使い方や類語、英語表現を例文を使いながら解説します。
「一陽来復」とは?
「一陽来復」の意味は”冬至・冬が去り春が来ること・運が向いてくること”
「一陽来復」の意味は、”冬至・冬が去り春が来ること・運が向いてくること”です。読み方は、「いちようらいふく」です。
「冬至」の意味は、気が回復するタイミングだから
「一陽来復」に「冬至」の意味がある理由は、陰から陽へと気が回復してくるタイミングは冬至だからです。
陽の気が始まる陰暦11月とは、太陽暦の11月下旬から1月上旬までです。そして太陽暦の12月22日頃にある冬至で、陽の気へと移っていきます。
気の回復から「春が来る」「運が向く」の意味にも
この陰から陽の気が回復するということも、「一陽来復」の”春が来る”や”運が向く”の意味につながります。
「冬が終わり春が来ること」や「悪いことが続いていたがいいことが起こるようになる」など、暗いイメージから明るいイメージへと私たちのおかれている環境が変わっていくという意味が生まれていきます。
「一陽来復」の由来は易経にあり
中国の古代より伝わっている易経(えききょう)は儒教の5大経書(きょうしょ)のひとつで、陰と陽の2つのしるしで自然や人生の変化について解説した書物です。
これを基にした吉凶を判断する占いが現代にも伝わっています。
この易では、陰暦10月が陰の気が極まり、陰暦11月から陽となる積極的であったり能動的な良い気が戻ってくるとされています。
「一陽来復」とはこの気が陰から陽へと移り変わることを表した言葉です。
「一陽来復」の使い方と例文とは?
「一陽来復」はいいことが起こり始める状況で使われる
悪いことが続いて起こっていたが、その流れが終わり、いいことが起こり始めるといった状況で「一陽来復」が使われます。
病気の友人に宛てて励ます「一陽来復」
「これからいいことが始まる」という意味から、「一陽来復」は病気の友人や元気のない友達を励ますのに使うことできるでしょう。
今までは大変だったがこれからは良いことが起こることを願い励ますために、この言葉をかけることができます。
春が来たことを伝える「一陽来復の春」
冬が終わって春が来たという季節の移り変わりを表現するのに「一陽来復の春」を使えます。
「一陽来復」の類語とは?
「一陽来復」の類語は”南至”や”中夜”など
- 「冬至」(とうじ)
一陽来復の意味である冬至が、そのまま類語になります。
- 「南至」(なんし)
冬至の別称です。
秋分の日から太陽が南の方へと回ることになり、冬至にはその極みに達すること、すなわち「冬至」です。
- 「中夜」(ちゅうや)
冬至の別称ですが、それとは別に「夜中」の意味もあります。
「一陽来復」の英語表現とは?
「運が向いてくること」の英訳は”I feel I’m in luck”
「一陽来復」の意味のひとつである「(悪いことが続いていたが終わり)運が向いてくる」の英訳にはいろいろな表現が考えられます。
- “Fortune smiled on him at last.”
「ついに運が彼の方に向いてきた」 - “Luck has finally come my way.”
「ついに運が向いてきた」 - “I feel I’m in luck.”
「運が向いている」
英語で「運」とは「luck」や「fortune」が使われて、それらを主語にして「向く」という意味の「come」や運を擬人化して微笑みかけるという意味の「smile」などを使い言い表します。
「冬至」は英語で”the winter solstice”
「冬至」は英語で「the winter solstice」です。
「solstice」の意味は「極点」や「最高点」という意味です。つまり「the winter solstice」と言えば、太陽が最も低い位置という意味になります。
またこの表現で難しいのであれば、当時を日が最も短い日と言い換えて、「the shortest day of the year」と言い換えることもできます。
ちなみに「冬至」の対極にある「夏至」は英語で「the summer solstice」であり「the longest day of the year」と言い換えられます。
「春が来ること」の英訳は”Spring is here”
「春が来る」とは次のような英訳があります。
- “Spring is here.”
- “Spring comes.”
「一陽来復お守り」とは?
早稲田穴八幡宮で金運アップのお守りがもらえる
金運アップ・商売繁盛のお守りとして有名なのが、東京・西早稲田にある早稲田穴八幡宮の「一陽来復お守り」です。
冬至から節分の日までのわずか一ヵ月半の間だけ頒布されて、頒布が始まる当日は行列ができるほどの人気ぶりです。
いただいたお守りは、冬至・大みそか・節分のいずれかの深夜12時に、その年の恵方に向けて柱や壁などの高いところにお祀りします。貼ったお札が剥がれ落ちると御利益がなくなるので、しっかりと貼り付けます。
まとめ
「一陽来復」とは悪いことが続いていたがその流れも終わり、これからいいことが続くようになるという運が良い方に向かうという意味の四字熟語です。元気のよくない人や病気の人などにも送りたい良い運を運んできそうな言葉です。
「悪いこと続きだったが、やっと一陽来復の兆しがある」
「凍り付いていた心に、一陽来復の春が来た」