「甲斐性」の意味とは?「甲斐性なし」や語源・類語についても解説

「甲斐性」という言葉が持つ本当の意味を知っている、という人は多くないかもしれません。今回は「甲斐性」の意味や読み方、由来や類語について解説します。「甲斐性がない」とはどういう意味なのか、「甲斐性がある男・女」とはどういう人のことを指しているのか、などについてもお伝えしますので、参考にしてください。

「甲斐性」の意味と読み方とは?

「甲斐性」の意味は”やる気にあふれた性質”

「甲斐性」の意味は、“やる気にあふれた性質・健気な様子”です。これは「甲斐性」の意味を既にある程度認識している人にとっては、少し意外かもしれません。

「甲斐性」という言葉は「甲斐性がある」「甲斐性がない」などと使われることが多く、いずれの場合も「その人がやるべき役割を果たす力」というニュアンスで用いられます。その人のお金や仕事、異性関係などへの接し方を表す、根本的な性質を指す言葉です。

「甲斐性」の読み方は”かいしょう”

「甲斐性」の読み方は”かいしょう”と”かいしょ”です。主には「かいしょう」と読みます。

「かいしょ」という読み方は正式なものではないため、パソコンの漢字変換などでも「甲斐性」とすることはできません。「かいしょう」という読み方の、最後の「う」が聞こえにくかったり、消えたりすることが多く「かいしょ」でも通じるようになったと言われています。

「甲斐性」の使い方と例文とは?

「甲斐性なし」「甲斐性がない」はお金にだらしない様子

「甲斐性」という言葉を使った表現はさまざまありますが、中でも頻繁に耳にするのは「甲斐性なし」「甲斐性がない」でしょう。

「甲斐性なし」「甲斐性がない」はいずれも、主に「お金にだらしがない様子」を指しています。「甲斐性」の意味である「やる気にあふれた性質」や「健気な様子」がないことによって、生活に必要なお金が足りなくなったり、生活のために一生懸命働かない人を「甲斐性なし」「甲斐性がない人」と言います。

例文
  • 「彼には家族を養うような甲斐性がないんだよ」
  • 「甲斐性なしと結婚したことが不運の始まりだった」
  • 「彼は仕事も異性関係も甲斐性がないから困る」

お金以外の「仕事」や「異性関係」などについても「甲斐性なし」「甲斐性がない」は使われ、いずれも「だらしがない」という意味です。

「甲斐性のある男・甲斐性のある女」とは責任感がある人

「甲斐性」という言葉を使って、男性の責任感や器の大きさを表すこともあります。「甲斐性のある男」と言えば、仕事や家庭に対して責任感が強い人、器の大きな人、という意味です。

「甲斐性のある女」という表現も、同じように責任感が強く、人としての器が大きな女性を表すこともできます。

例文
  • 「彼は甲斐性のある男だから、どんな仕事も安心して任せられるよ」
  • 「君は毎日忙しいのに、家庭のこともきちんと顧みて、本当に甲斐性のある男だね」
  • 「彼女は家事も仕事もきちんとこなすし、お金の管理も上手で、甲斐性のある女だよ」

しかし、「甲斐性のある女」という言葉は「甲斐性のある男」に比べると、これまで使われてきた機会が少ないため、補足として言葉を添えなければ、相手に意味を理解してもらえないかもしれません。

「甲斐性」の由来・語源とは?

「甲斐性」の由来は諸説ある

「甲斐性」に限らず、現代使われている言葉にはそれぞれの由来や語源があります。しかし、古くから使われている言葉ほど、正確な由来や語源は諸説あり、これが由来と決定づけることが難しいものです。

「甲斐性」の由来・語源もその一つで、現代で「甲斐性の由来」と言われている説はいくつも存在しています。

中でも「甲斐の国(現在の山梨県)で質の良い金が産出されていたことから、お金に余裕がある様子を甲斐性と言った」「亀の甲羅の模様のように、規則正しい生活をできることから甲斐性と言った」「甲斐性は”買う”から来ていて、お金を出して買うほど値打ちがあるものを甲斐性と言った」、この3つが有力と言われているようです。

どの説も「お金」にまつわっていることから、現代でも「甲斐性」は主に「お金に対しての姿勢」という意味で使われているようです。

「甲斐性」の類語と対義語とは?

「甲斐性」の類語は”根性・心根”

「甲斐性」と似た意味を持つ言葉はいくつかありますが、中でも言い換えに使いやすいのは「根性」「心根(こころね)」などです。

「根性」は比較的身近な言葉で、意味の把握をしやすいでしょう。「根性がある、根性がない」など、「甲斐性」と同じように「ある・ない」で程度を表すことができます。「根性がある」と言えば、頼りがいがあり、頼もしい様子、「根性がない」はその逆です。

「心根」は、その人が持つ気持ちの根底の部分を指す言葉で、「心根が優しい」「心根が良くない」などと使います。「心根」には「本当はこういう人」というニュアンスがあり、普段のその人の振る舞いからは、想像できない性質を表すときにも使われます。

「甲斐性」の対義語は”人任せ・傲慢”

「甲斐性」という言葉は、後に続く言葉次第で良い意味にも、悪い意味にもなるため、反対語や対義語と言いきれるものは見当たりません。

しかし、「甲斐性」が持つ意味の対義語という意味であれば「人任せ」「傲慢」などを挙げることができます。「甲斐性」の「やる気にあふれた性質」という面の対義語は「人任せ」です。本人にやる気が感じられず、何でも人に任せてしまう様子を表すことができます。

「健気な様子」という面の対義語は「傲慢」です。自分がやろう、という気持ちがなく、人を見下して、誰かにやらせたり、押し付けたりする様子を表すことができます。

「甲斐性」の英語表現とは?

「甲斐性」は英語で”resourcefulness”

「甲斐性」という言葉をそのまま英語にすることはできませんが、「甲斐性」の有無の要因となる「性質」「能力」ということであれば、英語にすることができます。

日本語の「甲斐性」にあたる「性質」や「能力」のことを「resourcefulness」と言います。「a man of great resourcefulness」とすれば「その人は能力に富んでいる」という意味となります。

他にも「feckless」という言い方もあり、「うだつが上がらない」という意味で「甲斐性がない」に近づけることもできます。「She is a feckless character」とすれば「彼女はうだつが上がらない性格」となります。

まとめ

「甲斐性」は、その人の性質を包括的に表現することができる言葉です。特に「甲斐性がない」という言葉は、ネガティブな要素を一つひとつ挙げて行かなくても、その人の特徴をある程度の大枠で伝えられるので、知っておくととても便利です。ぜひこの機会に「甲斐性」という言葉を覚えて、自分や誰かのことを「甲斐性」という言葉を使って表してみましょう。