「才色兼備」の意味と例文を紹介!男性に使える類語や対義語も

「才色兼備」とは女性を称賛する言葉として使われる四字熟語ですが、具体的に何を褒める言葉なのでしょうか?また、男性に対して使える称賛の四字熟語はあるのでしょうか?

この記事では「才色兼備」の意味や使い方を紹介し、あわせて男性にも使える類語についても紹介します。対義語や英語も紹介しています。

「才色兼備」とは?

「才色兼備」の意味は”才知と美貌の両方を兼ね備えていること”

「才色兼備」の意味は、“才知と美貌の両方を兼ね備えていること”です。「才色」とは”女性の才知と美貌”という意味で、「兼備」とは”兼ね備える”という意味です。

「才色兼備」とは、すぐれた才能をもち、顔や姿も美しい女性のことをいいます。「才色兼備の花嫁」などと古くから女性に対する最高の誉め言葉として使われてきたといえます。

「才色兼備」は慣習的に女性にのみ使われてきましたが、その背景に「男は男らしく、女は女らしく」するのが一番よいことだ、とする考え方が根底にあったといえます。近年は価値観の多様化から、男性の美しさを表だって称賛することも珍しくなくなりましたが、男性に対して「才色兼備」と表現するのは、一般的に違和感があるといえるでしょう。

「才色兼備」の読み方は”さいしょくけんび”

「才色兼備」の読み方は“さいしょくけんび”です。

女性を称賛する「才色兼備」の使い方を例文で紹介

「才色兼備」の使い方を例文で紹介します。

  • ミス・コンテストを勝ち抜くためには美貌だけでなく、才色兼備であることが求められる。
  • 頭の回転が早いうえに美貌も備えた才色兼備のニュースキャスターは憧れの的だ。
  • 天は二物を与えずというが、才色兼備の女性は珍しくない。

「才色兼備」の類語とは?

「才色兼備」と同じように、姿や能力を称賛する言葉にはどのようなものがあるのでしょうか?また、男性を称賛する言葉にはどのような熟語があるのでしょうか?

「才媛」「才女」とは「才知の優れた女性」という意味

才知のすぐれた女性のことを「才媛(さいえん)」や「才女(さいじょ)」といいます。「才媛」は教養が高いことも表すため、結婚式のスピーチで新婦を褒めるときに「才媛の誉れ高く」などと使われてきました。「才媛」「才女」には容姿の美しさは含まれません。

「容姿端麗」とは「顔や姿が整って美しい」という意味

「容姿端麗」(ようしたんれい)とは、顔や姿が整って美しいという意味で、一般的に女性に対して使われます。「端麗」とは、形が整って美しいという意味で、「端麗な青年」などと男性に対しても使われます。

「眉目秀麗」は「容貌がすぐれて美しい」という意味で男性に使われる

「眉目秀麗」(びもくしゅうれい)は、「容貌がすぐれて美しい」という意味で、男性に対して使われます。

「眉目」とは、まゆと目のことで、転じて顔かたちのことを指します。「秀麗」は他にくらべて一段と立派で美しいという意味です。「秀麗な富士山の姿」などとよく言われるように、立派な姿というニュアンスがあります。

「文武両道」は「勉学とスポーツに秀でた人」として使われる

「文武両道」(ぶんぶりょうどう)とは、もともとは学芸と武芸の両道に研鑽し、秀でている人のことをいう言葉でしたが、現代では勉学とスポーツの両方に秀でた人物をいいます。一般的に女性にはあまり使われず、男性に対して使われます。

女性を称賛する「才色兼備」は「才知と美貌」であるのに対し、男性の称賛は「学芸と武芸」であることが、古来からの日本人の価値観を物語っているといえます。

「文美両道」は新しい価値観の四字熟語

「文美両道」(ぶんびりょうどう)という、いわば当て字のような四字熟語が最近使われはじめています。「文武両道」の「文武」を「文美」に言い換えた言葉だといえますが、辞書などには掲載されておらず、メディアにおいてキャッチコピー的に使用されるなどしています。

学歴や専門性が高く、かつ美貌を兼ね備えた女性や、すぐれた才能を持ち、顔や姿も美しい男性のことを表す適当な熟語がないことから、時代の価値観に合わせて造語された言葉だといえます。

「才色兼備」の対義語とは?

優れた能力と容姿を称賛する言葉である「才色兼備」とは逆に、能力などを評価しないときに使われる言葉を紹介します。

「天は二物を与えず」は「完璧な人間はいない」という意味

「天は二物(にぶつ)を与えず」とは、「天は一人の人間に、多くの長所を与えない」という意味です。特に、一つの秀でた特性があるが、それ以外はあまりぱっとしない特徴を持つ人物に対して使われます。

もともとは、何もかもが秀でた完璧な人間はいないという意味です。逆に、優れた特性を複数持つ人物に対して「天は二物を与えた」と、言葉をもじって使われることもあります。

「蛙の子は蛙」とは「凡人の子は凡人にしかなれない」という意味

「蛙の子は蛙」とは、子の能力は親に似るものだ、という意味で、そのことから凡人の子は凡人にしかなれないものだ、という意味で使われます。「所詮は蛙の子は蛙」というように、ネガティブな意味で使われる言葉です。「さすが、蛙の子は蛙ですね」などと称賛する意味で使うのは誤用です。

「才色兼備」の英語表現とは?

英語では「She has both wit and beauty.」

「彼女は才色兼備だ」という英語表現をいくつかあげてみましょう。

  • She is gifted with both intelligence and beauty.
  • She has both wit and beauty.
  • She combines wit and beauty.

まとめ

「才色兼備」とは、才知と美貌の両方を兼ね備えた人という意味で、特に女性を称賛する言葉として使われてきました。男性に対する称賛の言葉には、「文武両道」という、文芸と武道の両方に秀でているという意味の言葉が古来から使われています。

そのような女性用と男性用に分かれた言葉を使うことに、最近は違和感を感じる人もいるのではないでしょうか。「文美両道」という、いわばジェンダーレスな四字熟語がインターネットやテレビなどのメディアで使われ始めていることは、時代の空気を表しているようにも思えます。