「矢面に立つ」の意味と語源は?使い方・類語も解説(例文つき)

「矢面に立つ」という慣用句は、日常的なシーンからビジネスシーンまで用いられる機会のある言葉です。「矢」という言葉が入っているだけあって、少々痛い思いをする立場に立たされる、または自ら立つような場面で登場します。今回はその「矢面に立つ」の意味について、語源や使い方も含め詳しく解説していきます。

「矢面に立つ」の意味とは?

「矢面に立つ」の意味は「攻撃を受ける立場に立つ」

「矢面に立つ」は、「矢」と「表」どちらも訓読みをし「やおもてにたつ」と読みます。意味は「攻撃を受ける立場に立つ」です。この“攻撃”には、戦闘シーンで出てくるような武器としての「矢」を表す場合と、精神的ダメージを与えるような“非難”や“質問”、“抗議”などを表す場合があります。

「矢面に立つ」の語源は「敵の矢に立ちはだかる」

「矢面に立つ」の語源は、「敵の“矢”が飛んでくる“正面”に立つ」という姿から来ています。戦場では「矢」は攻撃するための武器であり、相手を傷つけるものです。その攻撃に立ちはだかる姿がたとえられ、そして派生し、「集中して攻撃(質問や非難)を浴びる立場になる」のような意味で使われるようになりました。

「矢面に立つ」は「矢表に立つ」とも表現できる

「矢面に立つ」は、「面」と同じ“正面”という意味を持つ「表」を使って表現することもできます。読み方も意味も全く同じですが、「矢面に立つ」の表記で使われることの方が多いです。

「矢面に立つ」の使い方と例文

「矢面に立つ」は誰かから攻撃を受ける立場になるときに使う

「矢面に立つ」は、誰かから質問や非難などの攻撃を受ける立場になるときに使います。「矢面に立つ」には、覚悟を持ち自らの意思でその役を買って出る“自己犠牲”の場合と、仕方なくその立場になる場合の2つのニュアンスがあり、使い方次第で伝わり方が変わります。

「矢面に立つ精神」「矢面に立つリーダー」はビジネスでよく使う

「矢面に立つ精神」や「矢面に立つリーダー」は、ビジネスシーンで用いられることが多い言葉です。

「矢面に立つ精神」は、「皆で“矢面に立つ精神”を持ちながら仕事をしましょう」のような会社の理念として使われることがあります。大きな成果を挙げるには、誰一人怠けることもできない、1人1人の力が大事であることを表現しています。

「矢面に立つリーダー」は、いざという時にチームをしっかりとサポートしてくれるような責任感のある理想的なリーダー像を表現した言葉です。「矢面に立つリーダー」は一種の褒め言葉でもあります。言われた方は多くの人から慕われている、または頼られているはずでしょう。

「矢面に立つ」の例文

  • 「矢面に立つ覚悟もないのに、私はチームのリーダーになっていた」
  • 「影響力がある人には憧れるが、何か問題がおきて矢面に立たされるのはごめんだ」
  • 「恩人を守るために、僕は矢面に立つと決めた」
  • 「矢面に立った経験があったからこそ、今の自分がいる」
  • 「一度矢面に立ったことがある人は、人の痛みをわかることができる」

「矢面に立つ」の類語や類似表現は?

「矢面に立つ」の類語は「矛先が向く」

「矢面に立つ」の類語には「矛先が向く」(ほこさきがむく)という言葉があります。意味は「攻撃(批判など)の対象になる」で、「人々から集中攻撃を受ける」という意味合いは同じです。「矢面に立つ」は自ら動くニュアンスがありますが、「矛先が向く」は他動的なニュアンスが強いです。

「身代わりとなる」「ターゲットになる」は似た意味を持つ言葉

「身代わりになる」や「ターゲットになる」も、「矢面に立つ」と似た意味を持つ言葉としてあげられます。

「身代わりになる」は「矢面に立つ」と同じく、自己犠牲のある「攻撃を受ける立場になる」という意味があります。覚悟を持ち、自らの意思でその役を買って出る場合のニュアンスと非常に近い言葉です。

「ターゲットになる」は、「攻撃の対象になる」という部分で似た意味を持った言葉です。「矢面に立つ」と同じで“自己犠牲”の場合と、意図せず攻撃対象になってしまう場合の2つのニュアンスがあります。

「矢面に立つ」の英語表現は?

「矢面に立つ」の英語表現は「bear the brunt」

「矢面に立つ」は、「矛先」の意味を持つ”brunt”を使って「bear the brunt」と表現します。「bear the brunt of」(〜の矢面に立つ)とイディオムで使う場合もあり、「of」の後に何の矢面なのかわかるよう具体的な単語を入れます。

「矢面に立つ」(bear the brunt)の例文

  • 「攻撃の矢面に立つ」

“bear the brunt of the attack”

  • 「非難の矢面に立つ」

“bear the brunt of blame”

  • 「批判の矢面に立つ」

“bear the brunt of criticism”

まとめ

「矢面に立つ」には、「敵の攻撃に立ち向かう」と「質問や非難の攻撃を受ける」という2つの意味があります。しかし、現代社会で使われているのは精神的ダメージの意味合いがある「質問や非難の攻撃」の場合が多いです。会社の理念などビジネスシーンにも用いられる言葉ですので、ここでしっかりと意味と使い方を覚えておくといいでしょう。