「自給自足」の意味とは?類語や「半自給自足生活」も解説

スローライフへの意識の高まりから「自給自足」の生活が注目されています。「自給自足」とは具体的にどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?

この記事では、「自給自足」の意味や類語・英語を紹介し、あわせて「半自給自足生活」についても紹介します。

「自給自足」の意味や英語表現とは?

「自給自足」の意味は”必要なものを自分で間に合わせること”

四字熟語「自給自足」の意味は、”必要なものを自分で作るなどして間に合わせたり、生産したりすること”です。「自給」とは自分で自分に供給するという意味で、「自足」とは自分で自分を満足させるという意味です。

「自給自足」は英語で”self-sufficiency”

十分な、足りる、という意味の「sufficiency」が「自給」の英語表現にあたります。「自給自足」の名詞は「self-sufficiency」、形容詞「自給自足の」は「self-sufficient」です。

  • 「私は自給自足の生活を楽しんでいる」I enjoy self-sufficient life.
  • 「私は自給自足の生活を送っている。」I live self-sufficiency.

「自給自足生活」とはどんなもの?

「自給自足生活」とは”手作りの生活スタイル”

「自給自足生活」とは、自らの手で生活に必要なものを生産しながら生活するスタイルのことをいいます。「手作りの生活」と言い換えることができます。

現代においてはすべてを自給することは難しいため、部分的な自給自足生活であってもそう呼ぶこともあります。農業や養鶏などによる食糧生産のみを自給する生活や、太陽光発電や井戸水の利用などから電気や水も自給して生活するスタイルもあり、また釣りや狩猟などによって魚や肉を自給する生活もあります。

「自給自足生活」の例

アメリカの「アーミッシュ」が自給自足生活の代表例

完全な自給自足生活という意味では、アメリカに生活する集団「アーミッシュ」が古くから知られています。ドイツ系の移民たちが、移民当時の生活スタイルを守って電気や通信機器などを使用せず、近代以前の農耕や牧畜を行い自給自足生活を送っています。

「パーマカルチャー」「エコビレッジ」が日本にも広がる

「農的暮らし」とも称される「パーマカルチャー」は、1970年代にオーストラリアで始まった、独自の手法による持続的な農業をベースにした暮らし方の思想概念です。地球環境への配慮や再生可能な資源の利用などの思想がベースにあります。

パーマカルチャーのような持続可能な暮らしのコンセプトに従って生活をともにするコミュニティを「エコビレッジ」といいます。単独では難しい自給自足の生活を集団で行うものです。

パーマカルチャーやエコビレッジは90年代から日本にも広まりはじめ、現在でも各地でワークショップが行われたり実践されたりしています。

「自給自足」の類語とは?

「自助自立」「自主独立」は他者に頼らないという意味

「自助自立」とは、他者に頼らず、自分の力だけで物事をなしとげることをいい、生活スタイルではなく精神論的な意味や経済的な自立の意味で使われます。「自主独立」とは、他者の保護や干渉を受けずに自分の力と責任で物事を行うことをいいます。

「自助自立」「自主独立」とも他者の力を借りないという意味を含みますが、「自給自足」にはその概念は含まれていないといえます。

「スローライフ」は”ゆったりした暮らし”のこと

「自給自足」の関連語に「スローライフ」があります。「ファストフード」に対してイタリアで提唱されたスローフード運動から派生して造られた和製造語です。

スローフード運動とは、地産池消の促進や、その土地の伝統的な食文化を見直そうという活動です。スローライフには明確な定義はありませんが、スローライフの概念を取り入れた、のんびりとした暮らし方を指します。

「自給自足生活」をするには?そしてする意味とは?

「自給自足生活」をするためにはどうすればよいのでしょうか?またその暮らしの意味を考えてみましょう。

「自給自足生活」にも収入は必要

自給自足生活を行うために田舎に移住しようとしたとき、田舎には空き家や耕作放棄地などが多く、家賃や土地代も安いため、移住するハードルは低いといえます。ただし、家や土地を手に入れるハードルは低くとも、自給農業が軌道に乗るまでに時間もかかり、また生活に必要なものすべてを自給することは難しいため、現金収入は必要です。

しかし田舎の生活で一番の問題は、現金収入を得るための仕事が少ないということです。そのため資金繰りがうまくいかず、田舎生活を断念するケースも多いようです。しかしながら近年はインターネット環境が整ったことにより、自宅でできる仕事が増えたことから収入の選択肢は広がっており、新しいライフスタイルにチャレンジしやすくなったといえます。

「半自給自足生活」という方法がおすすめ

大きな災害や経済環境の変化に左右されない、完全な自給自足生活を望む人は多いですが、農業や田舎暮らしを全く経験したことのない人がいきなり完全な自給自足生活を始めるのは困難だといえます。そのため、今の仕事を続けながら、あるいは仕事をセーブしながら、まずは家庭菜園などの小さい自給システムを構築する「半自給自足生活」から始めようという傾向が最近広まっています。

家庭菜園から始める半自給自足生活は、都市の生活スタイルを維持しながら都市近郊でも始めることができるため、失敗のリスクが少ないといえます。

自給や半自給という「生産手段を持つことでリスクを回避」できる

自給や半自給の生活は健康的なライフスタイルにつながりますが、面倒なことも多いといえます。しかし、2011年におこった原発事故を契機に、電気に頼りきる生活スタイルに不安を感じる人が増え、さらに行き過ぎた資本社会の弊害として都市の労働環境の悪化などもあり、都市生活に疑問や不安を感じる人が多くなりました。

自給や半自給の生活は、自ら生活に必要なものを生産する手段を持つことによって、近代社会のシステムへの完全な依存から脱却し、災害や経済変動のリスクに備えることができるといえます。

まとめ

「自給自足」とは「必要なものを自分で間に合わせること」という意味で、一般的に自給自足の生活スタイルのことをいいます。都会生活の不満や不安から、田舎に移住して生活環境を改善したいと望む人が増えており、その動きとあわせて自給自足の暮らし方が注目されています。

自給自足生活の最初の一歩として、家庭菜園から始める半自給自足生活を検討してみるのもよいかもしれません。